稽古と小人






CHANGES DESTINY...


【8】


















「って私アラゴルンと何処で待ち合わせとか決めて無いじゃん…;;」


次の日の早朝。早々と目を覚ましたは動きやすい服装に着替え剣を握りいざ部屋を出ようとしていた。


「う〜ん…庭園辺りをぶらぶらしてたら見つかるかなぁ‥。」


まいっか。と短絡的に考えるとはそのまま部屋を駆け出した。
ベランダに来るとタンッと軽い音を立てて階下へ飛び降りる。


「わぁすげぇ!?」

「へ?」


羽が生えたかのようにふわりと着地したの目の前には小さな人。
目を丸くして彼女を見つめている。


「ピピン!なにしてんだ!」

「(メリーとピピンだ…。サムは…フロドのところかな‥。)」


ピピンと呼ばれた小人の後ろからもう一人此方へ駆けて来る。


「貴方達がホビットさん?」

「そうだよ!僕はペレグリン・トゥック!ピピンって読んで下さいエルフのお姫様。」

「あはは。私はお姫様じゃないよ。」

「えぇ!?そんなに可愛いのに?」

「ありがとうピピンさん。」

「ピピンでいいよ〜。君の名前は?」

「私はといいます。」

「おい!ピピン失礼だぞ!!」


其処にようやく到着したもう一人の小人が割り込んでくる。


「あっメリー!こっちはだよ。でこっちがメリアドク・ブランディバック。メリーだよ!!」

「メリーさん?」

「始めまして。エルフの姫君!」


仰々しく礼をするメリーに慌てては頭を下げる。


「姫君じゃないですって;;でいいですから。」

「それでは僕のこともメリーと呼んでくださいね!」

「うっうん。」


メリーとピピンの輝くばかりの眼差しに押されつつもこくこくと頷く。


「そういえばはエルフだよね?」

「あ〜…ハーフエルフなの。」

「そっかぁ…でもなんだかエルフっぽくないよね。」

「話しやすいというか…。」

「そっかなぁ‥?あ〜お父様とかは威厳があるもんね。」

「「お父様???」」

「エルロンド卿のことだよ。私のお父様。」

「「えぇ!?やっぱりお姫様じゃん!!」」

「え〜‥違うと思うけど…あっそうだ。二人はアラゴルン知らないかな?」

「アラゴルン?」

「ストライダーのこと?」

「うん。剣の稽古に付き合ってもらいたいんだけど…。」

「じゃあ僕らが連れて行ってあげるよ!」

「行こう!!」

「わわ;;ちょっとまってぇ!?」


メリーとピピンはの両の手を掴みそのまま駆け出す。









「ほらここだよ!!」

「ぁ!?」


彼等に引っ張られたままやってきたのは小さな小川が流れる庭園。
川の近くに植えられた大樹に寄りかかり瞳を閉じたアラゴルンの姿。


「アラゴルン!!」

「………ん?」


顔を上げたアラゴルンはを見、笑みを浮かべ彼女の両腕にしがみ付いたメリーとピピンに苦笑する。
ゆっくりと立ち上がる。


「早速仲良くなったようだな。」

「あはは。うん!友達になれちゃったみたいvv」

「ストライダーとが仲がいいなんて知らなかったなぁ。」

「ほんとほんと。」

「仲がいいというか;;」

「あっ!?」

「どうしたの?」

「僕らフロドの所に行こうと思ってたんだ。」

「忘れてたな。」


慌てたようにに手をふり館のほうへ駆けて行く小さな二人の影を見ながらは笑みを浮かべた。


「では始めるか?」

「うん!レゴラスに見つかる前に早くしないと…。」

「見つかったらいけないのか?」

「剣の稽古は怪我をするっていってやらせてくれないの‥。」

「ハハ‥そうか。」


すらりと自身の剣を抜き放ったは凛としてアラゴルンを見据える。
適当に距離を保った二人は向き合い互いの剣を合わせる。
すっと瞳を閉じたはゆっくりと瞳を開く。


「っ!?」


先程まで談笑していた柔らかな彼女はそこにはいなかった。
射すように強い緊張。
向かい合っている自身の腕が緊張で白くなるのを感じる。


「それじゃあいきます。」


場に相応しくない落ち着いた口調で彼女は一気にアラゴルンの間合いに入る。
キィンッと乾いた音が響き、何とかすばやい突きを抑えた。


「はっ!!」

「くっ!」


そのまま前へ勢いをつけて切り込むとアラゴルンは力で押し返してきた。
流石に純粋な力比べでは細身で華奢なには分が悪い。
彼の力を横へ流す。
空気が止まる。


「まいったな…。」

「いえいえ。」


アラゴルンの喉元には彼女の剣が光っていた。
彼の剣を横へ流した瞬間そのまま自身の剣を滑らせ、一気にアラゴルンまで伸ばしたのだった。
もし、稽古でなければ確実にアラゴルンの首は飛んでいただろう。
冷たい汗が背を流れるのを自覚してしまった。
剣をおろしながら彼女は何時もの愛らしい笑みを浮かべる。


「アラゴルンの剣は我流なんですね。」

「あぁ。」

「私もなんです。剣道って私の世界の武術なんですけど。戦いのものではなく見せる剣なので。」

「見せる剣戯か…。それにしては実践向きだな。」

「自己流ですから;でも荒いのが難点なんですよね〜。」

「だが、の剣は滑らかだった。」

「アラゴルンが”動”なら私は”静”ってことですよ。」

「ほぉ。」


彼女の解説に剣を腰元に掴んだまま感心してしまう。
恐らく彼女は止めるレゴラスを何とかして自己流で剣の稽古をしていたのだろう。


「で…あの出来ればアラゴルンがここにいる間だけでも相手してもらえないかと…。」


おずおずと上目遣いで(身長差の為必然)見上げるに彼は苦笑すると彼女の頭をその大きな掌でわしゃわしゃと撫でた。


「あぁ。私でよければ相手をしよう。」

「本当!?やった!!」


は彼の言葉に喜んでぎゅっと彼に抱きつく。
アラゴルンは多少動揺しながらも彼女の頭を撫でてやる。


っ!!!」


此方に恐ろしい速度で駆けて来る金髪の麗しいエルフ。
息一つ乱さず二人の元にやってきたレゴラスはを見てアラゴルンを見る。
因みに今だ彼等は抱き合ったまま。


「…何をしているのかな?エステル…。」

「なにって…なぁ?」

「ねぇ。アハハ‥は;;」

。後でゆっくり話そう。さぁおいで?」


いっ今なんかレゴラス…背後に黒い物が見えたような気が…;;;


何時も通り穏やかに微笑むレゴラスとは裏腹に何やら鬼気迫るものを感じ取ったはおずおずとレゴラスへ近づく。
レゴラスはの手を握るとにっこりと笑みを浮かべた。


「あぁエステルにも後で話がある。……逃げるなよ。じゃあね。」

「う"っ…あっあぁ…。(青冷)」


それから彼女は何処に行くにもレゴラスが付いてきてまっとうに剣の練習が出来たか謎である。
そしてアラゴルンはというと…暫くの間不意打ちで何処からともなく矢が飛んでくるという怪異に見舞われることになる。

































後記

ホビッツ!!出せましたvvまだフロドとサムがいないんですけどねvv
違うかもしれませんけど俺的にはボロミアがやってきてから少ししてフロドが目覚める!
と半ば無理やりに設定致します(笑)




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