事実
CHANGES DESTINY...
【3】
「さぁ掴まっていて。」
「わわ;;」
レゴラスの乗る馬上に引っ張り上げてもらい何とか馬の背に掴まる。
馬になど乗ったことの無い彼女にとっては恐怖らしく慌てて彼の腕にすがっている。
その様を見てスランドゥイルは笑みを浮かべた。
「レゴラス。くれぐれもに悪戯をせんようにな。」
「失礼だな。わたしは父上とは違う。」
笑顔で息子を咎める父に更に爽やかな笑みでさらりと毒づくレゴラス。
スランドゥイルだけではなく森中のエルフ達が集まっているようだ。
に向かい話しかけたりしている。
その時不意にスランドゥイルは馬上の王子に耳打ちした。
「レゴラス。」
「なんです?」
「くれぐれもが他の男に連れ攫われる事などないようにな?特に人間には…。」
レゴラスはスランドゥイルが意図している事に気付き深い笑みを浮かべる。
「もちろん。彼女は無事に、ここ闇の森に連れ帰りますよ。」
レゴラスの言葉にスランドゥイルもまた笑みを深める。
「レゴラス様。そろそろ行きましょう。」
「えぇ。それでは父上。」
「あぁ。行って来い。」
「スランドゥイル様!!」
「…。」
「あの、お体にお気をつけて!もしまた…いいえきっと会いにきます!それまでお元気で!」
「あぁ。お前も気をつけて‥。」
は他のエルフ達にも同様に挨拶している。
ゆっくりと二人を乗せた馬は森を離れていく。
「身体に気をつけて…か。全く。我々は不死だというのに。」
自分達は不死を生きる者。そんな自分達にそのような言葉を心から言えるお前は本当に救世主やもしれぬ。
「レゴラス〜。裂け谷まで何日くらい掛かるの?」
「う〜ん…私もこれが行くのは初めてだからね…。」
「そっか…。ね。思ったんだけどさ…。」
「ん?」
「私後ろに乗ったほうが良くないかな?」
今はレゴラスの前に座っている。
彼が彼女を抱き支えるような形だ。そのため密着している。
どうも彼女は極度の接触が苦手らしく、散々弓の練習などでレゴラスにからかわれていた。
「私と一緒に乗るのは嫌かい?」
「そっそうじゃなくて;;操作しずらいんじゃないかなって」
「大丈夫だよ。は小さいし視野も十分だしね。」
レゴラスはの頭を撫でながら笑みを浮かべる。
そんな彼に少々むっとしながらも彼女も前を見据える。
それから山を越え野宿をしながらレゴラス達はエルロンド卿の治める裂け谷へと到着した。
「綺麗…。」
「本当に美しいね…。」
「うん…。闇の森とはまた違って…すごい…。」
馬を下りたレゴラスとの元に一人のエルフが近寄ってくる。
「闇の森の王子レゴラス様。そして異世界からの迷い人様。エルロンド卿がお待ちです。」
「はい。」
「あっよろしくお願いします。」
慌ててお辞儀するに彼はニコリと笑みを浮かべ先に歩き出す。
「ねっレゴラス。裂け谷のエルフさん達も髪の色金髪なの?」
「いいや。確か黒髪だったはずだけど。」
その時前を歩いていた先ほどのエルフが振り返りを見つめ優しく説明し始める。
「私の生まれは此処ではありません。わたしは此処から離れたロスロリアンから来たエルフです。」
「ロスロリアン?(ってガラドリエル様の?)」
「エルフにとって聖域のような場所だよ。私も行った事は無いんだ。」
「へぇ〜…。あっあのお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あぁ。失礼しました。わたしのなはグロールフィンデルです。フィンデルとお呼び下さい。」
「宜しくお願いしますフィンデルさん。」
会話をしているうちに裂け谷の王、エルロンド卿の部屋にまで来ていた。
其処には黒髪に秀麗なエルフの姿、頭には植物を模した金の輪を付け、静かに佇んでいる。
その姿は治める者としての威厳とまた慈愛を秘めていた。彼の隣には彼に良く似たエルフの女性がいる。
レゴラスはエルロンド達にエルフ式の挨拶をし、暫し彼らに見惚れていたも慌てて頭を下げる。
エルロンドは静かにレゴラスの挨拶に返すと彼女の前に行く。
「スランドゥイルから話は聞いている。歓迎しよう異世界からの救世主よ。」
「あっはい!宜しくお願いします。」
「これはこれは…話には聞いておったが本当に若い娘さんじゃな。」
「?」
「ミスランディア!!」
突然の言葉には慌てて入り口を見ると灰色のローブに身を包み、杖を持った老人が静かに佇んでいた。
その顔は優しさと寛大さに満ちている。
「えっと?」
「わしは灰色のガンダルフ。魔法使いじゃよ。」
「魔法使い!?」
「そうじゃ…。スランドゥイルから話は聞いておるよ…ふむ…これは…。」
ガンダルフはの前にまで来ると長身の身体を屈め彼女の瞳を見つめる。
「もしや…」
「ガンダルフ…。まさか。」
「??あの〜?」
当の本人そっちのけで顔を見合わせ何事か思案しているエルロンドとガンダルフにはハテナ顔。
レゴラスも不安げに見ている。
「…ちょっと良いかのぉ…。」
「レゴラス‥部屋に案内させよう。」
「えっ!ですがは…。」
エルロンドの言葉にレゴラスは焦ったような声を出す。
それを静かに嗜めると、レゴラスは部屋を出て行く。部屋を出るとき不安げなの顔を見つめながら。
「あの?お話は…?」
「驚くかもしれんが‥わしは其方に良く似た者を知っておる。」
「ぇ……。」
「レゴラスたちは気付いてはいないようだが…其方から感じる力は人間の物ではない。」
二人の言葉に困惑したような顔で彼らを見据える。
ガンダルフは静かに彼女に諭すように話す。
「人間じゃない…?」
「そう…其方にはエルフの血が流れておる。」
「エルフ!!?」
「この世界に来て、異常な程に聴力が良くなり夜目も利き、視力が良くはならないか?」
「ぁ…確かに…。前から割りと良かったけど…」
「じゃが完璧なエルフではない…ハーフエルフかのぉ…うむこれが一番合っておるわい‥。」
「あっあの私に良く似た人って?」
「伝承や詩で語り継がれている。一人の救世主だ…彼女と其方は良く似ている…。」
「でっでも伝説の人なんでしょう?」
「この世界での伝説は真実でもある。」
「今、其方が此処に来た事には確実に意味がある。そう…この時に。」
「意味‥」
「は‥此処に来た意味は何だと思う?」
「私は…私は助けたい人達がいてそれで此処に着たいと…強く願ったから‥。」
「それが其方の意味じゃの…指輪に繋がる救世主よ。」
「指輪…。」
「其方は知っているのだろう?これから起こり得ることを…。」
「はい…最後はハッピーエンド‥でも私は納得できなかったんです。」
「何故?」
「死んではいけない人達が死んでしまったから。それだけは納得できなかったんです。」
はその時の光景を思い出したようでふと哀しげな瞳をする。
ボロミア…ハルディア…。
「…其方は自分の意思で此処に来た。其方の成し遂げるべきことを思うがままにするがいい。」
エルロンドは優しく彼女の髪を撫でながら言葉を紡ぐ。
は彼の言葉にうっすらと涙を浮かべそのままそっと彼の胸へしがみつく。
エルロンドはそんなを娘に接するかのように優しく抱き締めた。
ガンダルフは彼女を見つめニコニコと笑みを浮かべている。
「私は…此処にいていいんですよね?」
「あぁもちろんじゃ。辛き運命を栄光へと変える救世主よ…其方の居場所は此処じゃよ。」
「歓迎しよう。よ。」
「…はい…。」
部屋には優しい光が満ち、は涙を流しながらにっこりと笑みを浮かべた。
後記
ようやく裂け谷に到着!!!あ〜これでようやくレゴラス以外とも
絡める(笑)そうそう主人公さんがなぜガンダルフを知らない様な素振りをしたのか・・
とりあえず場の雰囲気的にだと思われますね。
一応…ってことです;;
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