実力






CHANGES DESTINY...


【2】

















「まずはその服を如何にかしなくてはね。」


そう言うとレゴラスは数人の女性を連れて来て何事か言っている。
因みにエルフ語なので分らない。


。湯浴をしてから此処の服に着替えるといい。」

「あっ。はい‥ありがとうございます。」

「敬語じゃなくていいよ。わたしの事はレゴラスと呼んで。」

「うっうん。」


それじゃあと言って部屋を出て行くレゴラスと入れ替わるように先程の女性達が入ってくる。
やっぱり男女区別なく綺麗だなぁ…。


「それでは様。お召し物をお脱ぎ下さい。」

「えっと…はい。」


柔らかい笑みを浮かべた美しい女性に囲まれて脱ぐのって…。物凄く恥ずかしいんですが;;






「う〜…此処何処だろ;;」


湯浴を終えエルフ達の用意した服に着替えたは早速道に迷っていた。
部屋に居るのもつまらないとレゴラスを探して外に出たのはいいが土地勘もなく館内はとても広い。
途方に暮れテラスに置かれたベンチに腰を下ろす。


「にしても…エルフの服って何でひらひらばっかなんだろう‥。」


彼女が今着ている服は淡いグリーンのワンピースのような服だ。
薄布を幾重にも重ねたような形のその服は僅かに色が違う布を重ねグラデーションの様になっている。
裾の部分には蔓を模った細かい刺繍が施されている。
袖が長く肩が出る作りだ。


「レゴラス何処だろ…。」

?」

「あっレゴラス!!」

「部屋に行ったら居なくて心配したんだよ。」

「そうなの?ごめんなさい。」

「いいえ。声が聞こえたから。」

「はぇ?声??」

「エルフは耳がいいんだよ。」

「あっそうだったね。」


レゴラスはの隣に腰掛ける。
彼の金糸の髪が風に靡きはその髪を目を細め眩しげに見つめる。
午後の柔らかな光が寄り一層彼の美貌を彩る。


「…?何だい?」

「うぇ!?あっ/////」

「何かあった?」

「ううん‥。ただレゴラスが綺麗だな―って…髪の毛とかすごい綺麗だし…。」

「フフ…そう?でももとても綺麗だよ?エルフと見間違えるほどに‥ね。」

「そんな事無いよ////」


レゴラスはふっと笑みを浮かべ彼女の長く黒い髪を一房取りゆっくりと口付ける。
はその行動に更に頬を染める。


「本当に王子様みたいだね…あっみたいじゃないくて本当にだった…。」

「ありがとうと言うべきかな。」

「そうだ!私レゴラスに教えてもらおうと思って!」

「何をだい?」

「エルフ語!あと…弓矢の使い方。」

「‥何故?君は戦う必要など‥」

「違う!…私は此処に戦いに来たんだと思う。どうしても助けたい人達が居て。彼らを助ける為には戦わないといけないから。」

「………。」


レゴラスは必死に話すを哀しげな瞳で見つめている。
彼女の瞳はレゴラスの瞳をしっかりと捉え意思ある強い眼差しで見つめ返す。


「私の今の存在理由は彼らを助ける事。だから…。少しでも此処流の戦い方を学んでおきたい。」

「…分かったよ。君が其処まで言うんだ。私に止める事は出来ない。」

「それじゃあ教えてくれる?」

「あぁ。…但し。早朝の2〜3時間だけだよ?」

「なっ何で?」

「可愛いお姫様はエルフ語もお勉強したいんでしょう?」

「あっ…;」

「それに君の体力を考えないといけないしね。」


つまりあんまり無理するな…と?


「でも…此れでも一応多少腕に覚えはあるんだよ?」

「へぇ…。」

「えっとね…合気道と‥剣道なら。」

「??」

「あっ;えっと……私の世界の剣術と武術のことだよ。だから基礎の方は大丈夫!」

「そうか…それではどうする?少し手合わせでもしておくかい?それともお茶にする?」

「う〜ん…お茶してからじゃ駄目かな?」


下から見上げる彼女の視線にレゴラスは苦笑すると彼女の腕を引き歩き出した。









その後小さなお茶会を楽しんだ二人は森の中の少し開けた場所に来ていた。
の服装は始めに来ていたエルフのドレスではなく。レゴラスの着ている物に良く似た服を着ている。
深緑の上着にこげ茶のズボンと簡素な物だ。彼女の長い黒髪は一つに束ねられている。


「レゴラス。…これで着方あってる?」

「うん大丈夫だよ。…それではまずは基礎である武術からだね。」

「はい!」


レゴラスは館から持ってきたであろう二対の長剣と弓矢を近くに置き彼女を見据える。
は元気良く返事をし、構えを作る。


「あっでも私の世界のとは違うよね?」

「まぁやってみればわかるさ。」

「うん!じゃあ行きます!」


は構えから瞬時にレゴラスの前に行くと拳を叩き込む。
彼女の動きの滑らかさに驚嘆しつつもそれを防ぐと、すぐさま第二撃の裏拳が入る。


「ッ!?」

「はっ!!」


それを何とか防ぎ飛び退こうとした時彼女の回し蹴りが放たれる。
両手の手で何とか防ぎその威力と速さに目を見開く。


「ッ〜…すごいね‥。」

「あっごめん;大丈夫?」

「あぁ、平気だよ。十分な実力だね。」

「そっかな。実戦経験は無いんだよね;」

「戦いの雰囲気に飲み込まれなければ大丈夫だよ。じゃあ次だ。」


レゴラスは地に置いていた剣を取り彼女に渡す。


「君の居た世界での剣術はどのようなものなの?」

「戦いの物では無かったよ。元々は人を切る為の物だったけど。」


は両手で剣を握り、その瞳は雑談していた時とは全く違う。
戦う者の瞳。鋭さを持って剣を振るう。


「私の習っていたのは見せる剣技。剣舞みたいなものかな…。」


ザッと剣を振るい、舞い散る葉の一枚を両断する。


「…教える必要はないかな?」

「でも実践と見せる剣舞は違うでしょ?」

「まぁね。でも基礎はしっかりしているから問題は戦闘の空気に慣れる事だよ。」

「そうだね。ようは…実践あるのみ…かぁ…。」


レゴラスは彼女の武術の数々を見、哀しげに見つめていた。
このような幼い少女が戦いに身を投じようとしている様。
その身にそぐわぬ、実力。
はそんなレゴラスの思惑にも気付かずニッコリと笑みを浮かべる。


「あっでも私、弓は使った事無いから…それはレゴラスに教えてもらわなきゃね!」

「ん‥そうだね。」


は弓と矢を持ち嬉々として触っている。
先ほどまでの彼女の雰囲気とはがらりと違う。そうまるでおもちゃを与えられた子供の様に。
レゴラスはクスリと笑うと彼女に弓の握り方を教え始めた。


「もうちょっと腕を引いてみて。」

「うっうん////」


というか…あの…近いんですが////


はレゴラスの言葉を聴きつつも恥ずかしげに肩を揺らし落ち着かない。
先ほどまでの真剣さに欠くの動きにレゴラスは眉を顰め彼女の耳元で問いかける。


「どうしたんだい?…集中しなければ上手くならないよ?」

「わっわかってるんだけどね////あの…;」

「ん?」

「もうちょっと…離れない?」

「………。」


彼女は頭を垂れ頬を染め呟く。もちろんエルフであるレゴラスの耳にはしっかり届いているが。
ようはレゴラスが弓を教える為彼女に急接近しているのに意識が行ってしまっているようだ。
レゴラスはの言葉を聴き人の悪い笑みを浮かべ彼女の身体に更に密着する。


「わっ!!」

「どうして?こうして手を取り教えなければ分らないだろう?」

「あっあああでっでもさ////ちっ近過ぎだよ!!」


レゴラスはの手を握り耳元で囁く。


「そんなこと言うなら教えてあげないよ?」

「う"っ…それは困る…。う〜っ分った!!教えてください!」

「いい子だね。」

「きゃっ////」


赤面しつつも渋々レゴラスの言葉に頷いた彼女の頬に掠めるよなキスをし、矢を持たせる。


「(レゴラス…ちょっと苦手かもしれない////)」

「ほら。弓をしっかり見つめて?」

「はっはい!」


その後も早朝に弓の練習に励む二人の姿が良く見られたとか。
ただそのときのレゴラス王子は何処か彼女をからかって楽しんでいるようにも見えたと、某日警備のエルフが語っていた。





































後記

レゴラス夢と化したこのお話。
う〜ん…喋り方あってるのかなぁ…。
まだまだ先は長いですな!
エルフのセクハラに負けるな!!




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