出会い
CHANGES DESTINY...
【1】...時空を越えて運命を変える者が現れる。悲劇を歓喜に…
『ボロミアっ!!??』
「っ‥ふ‥。」
「また泣いてるのお姉ちゃん…。」
「っだって…。」
ポロポロと大きな瞳から涙を零しながら画面を食い入るように見つめる少女に呆れ顔の幼い少女が問いかける。
彼女には聞こえていないのかひたすら画面を見つめる。
「全くよく飽きないね〜それ何回目?」
「………8回目。」
「………はぁ。ねぇお姉ちゃん?それは映画なんだからね?分ってる?」
「…分ってるよ。でも…。」
「早く寝なよ〜明日も早いんでしょ?」
「………うん。」
「じゃあ私もう行くよ。おやすみ〜。」
「オヤスミ‥。」
妹である麻奈はさっさと部屋を出て行く。今日家にはと妹しかいないのだがその麻奈も友達の家に泊まりに行くとの事。
実質この家にはしかいない。自分よりはるかに大人びた妹の背を見つめながらゆっくりと立ち上がる。
画面は何時しかボロミアを弔う旅の仲間達の場面へと変わっていた。少女はそれを見届けるとテレビの電源を落とす。
瞳を赤くなるほど擦りながら居間を出る。
「そんな事言ったって…。哀しいものは哀しいよ…。」
自室へ戻るとばふっとベットに倒れこむ。
天井見つめ哀しげにその瞳を震わせる。
「映画だからって割り切れないよ。もしかしたら助けれれるかもしれないのに…」
もう少し仲間が早くボロミアの元に行っていたら?
あの時ハルディアの後ろに仲間の一人が援護していたら?
「死なずにすんだかもしれないのに…。」
それが何かしらの影響を齎すかもしれないけれど…。
でもそれでも死んで欲しくなかった。
「助けられたらいいのに…」
少女はそのまま涙を流しゆっくりと瞳を閉じる。
ゆるい眠りに落ちながらも何かの声を聞いたような気がした。
ただそれにも気付かずに…。
『守れたら。助けられたら。』
【助けられるならどうする?】
『助けたい。私の力が無力でも。』
【‥指輪に連なる救世主よ。あるべき場所に戻るのだ‥】
『え?』
「ん……。」
「ねぇ?‥大丈‥い?」
「んぅ…まだぁ…早い…。」
「………仕方…い。」
何だろう?なんだかふわふわする。
それになんだかいい香り。
暖かい…。
「ふ…?…朝…。」
はゆっくりと身体を起こす。
今だ寝惚けた思考を何とか叩き起こすとふと自分の寝ているベットに目をやる。
「ぇ…?……。なっ!!?」
白いシーツにふわふわのマット。
頬を撫でる風は優しく薄いカーテンを靡かせる。
窓からは温かい光が差し、鳥達の声が聞こえる。
「ここ…何処?」
其処は彼女の見知った自分の部屋ではなかった。
細かな細工の施された見るからに高級そうな家具や調度品。
辺りに満ちる空気までもが何処か違う。
疑問符でハテナ顔のは辺りをきょろきょろと見渡す。その時不意に一人の青年が部屋に入ってくる。
「目が覚めたようだね。」
「ぇ?……っ!!?」
「大丈夫かい?」
「ぁ…はっはい…。」
あれ?この人…どっかで見たことある………ぇ!?
「レゴ‥ラス?」
「え?何故わたしの名を?」
「っ!?」
はばっと顔を上げベットに腰掛、彼女の顔を不思議そうに見つめてくる青年に顔を向ける。
彼女は彼の顔を見知っていた。否。見ていた。
「あっあのッ。」
風に流れる絹の様な金糸の髪に青緑の瞳。
キメ細かな肌、彼はの瞳を見つめ静かに問いかける。
「私は…。といいます。えっと…此処は?」
「あぁ。ごめんね。君が眠っていたから此処まで連れて来たのだけど‥。」
「寝てた?」
「うん。此処は闇の森だよ。君は何処から来たんだい?」
「わたしは…。家で寝てたんです。」
私はレゴラスの視線にどもりながらも此れまでの事を話し出した。
「此処とは違う世界です。私の世界には貴方の様な人は居ません。」
「君は人間だよね?」
「はい。でも…エルフ…ですよね?レゴラスさんは。」
「そうだよ。」
「あの…私一体何処にいたんですか?」
「あぁ‥ちゃんと説明しなければね。」
の不安げな顔を見たレゴラスは彼女を怖がらせないように柔らかな笑みを浮かべる。
「森から不思議な感じ…ん―…雰囲気がして気配を辿って行ったら白樺の大樹の根元に君が眠っていたんだ。」
「寝てましたか…。」
「うん。起そうとしたんだけどね。」
「すいませんッ。」
「ううん。良く見れば服装も見慣れないしまして闇の森に人間がいるのは滅多にないからね。」
「そうなんですか…ぁ…。」
良く良く自身の服装を見てみたら確かにベットに入った時と同じ水色のパジャマ姿。
僅かに彼の視線に恥ずかしさを覚えながらも何故自分がこんな事になったのか考えてみる。
「そういえば何故私の名を?」
「えっと…。」
「レゴラス。」
「!?」
彼女がどうしようかと迷っていた矢先急に聞こえた声にびくりと反応する。
見ると戸口の所に一人の男性が立っている。
その姿はレゴラスと同じ豊かな金髪は緩くウエーブがかかりふわりと風に靡いている。
「父上…。急に声を掛けないで下さい。が驚いてしまいます。あっ。こっちが私の父だよ。」
「はぁ…。」
レゴラスは一瞬眉を顰めたもののそのまま父‥闇の森の王スランドゥイルから視線を外しへ向ける。
スランドゥイルはゆっくりとした足取りで彼女の居るベットへ近づく。
「レゴラス‥。この者が先ほど言っていた姫君かな?」
「ぇ?」
「父上‥お戯れはお止め下さい!彼女は…どうやらこの中つ国の者では無いようです。」
「ほぉ…。姫君どうゆうことだね?」
「あっ…えっとあの私は姫ではありません。スランドゥイル様。私の名は=と申します。」
は出来るだけ丁寧な言葉を選び彼に対してお辞儀をした。
彼は笑みを浮かべ彼女の頭を優しく撫でてやる。
彼が動くたびに柔らかな花々の香りが流れる。
「こんなにも美しい者を姫と言わず何と言おう?」
「あ…。」
彼の柔らかい笑みのせいで頬を染め動揺している。
すかさずレゴラスが間に入る。
「父上!」
「分っておる。」
それからスランドゥイルに今までの経緯と自分の居た世界のこと、"指輪物語"の事を説明した。
静かに聞いていたレゴラスは多少動揺したように彼女を見つめていた。
「…昔の唄にあった。」
「歌‥ですか?」
「異世界からの迷い人は世界を救うという内容の‥な。まさに今の状況に相応しい。」
「すっ救うって言われても私には何の力も…」
「"力"だけが全てではない。其れは分っていよう?」
「はい…。」
「何かしら其方が果たすべき目的があるはず…。」
「目的……まさか…。」
は思い当たる事があった。寝る前に強く思ったこと。
助けたい。自分の力が非力でも。
あの時に自分が居たら死なずにすんだ人を…助けたい。
「スランドゥイル様。」
「何だ?」
「私の目的…それは助ける事です。」
「‥?何をだ?」
「死すべき運命の者を‥です。」
「死すべき運命の者…か。ふっ。お前ならば出来よう異世界からの救世主よ。」
「はい!」
「今はまだ弱くとも…其方に与えられた恩恵は素晴らしいものだろう。」
ニッコリと笑みを浮かべたにスランドゥイルもまた綺麗な笑みを返す。
「そうだな…其方なら変えれるやもしれぬ。よ。お前はレゴラスと共に裂け谷で行われる会議に出席してもらおう。」
「裂け谷…。」
「それに魔法使いの方がわしより詳しかろう。」
「はい…。」
「発つまで日がある。それまでにこの世界の事を学ぶと良い。」
「ありがとうございます!」
スランドゥイルが部屋を出て行くと其れまで黙っていたレゴラスが言葉を発した。
後記
わ〜とうとう書いてしまいました指輪夢;;
またまた超大作に手を出しちまいました;
にしても主人公さんの特殊能力とかどうしようかなぁ…あっ暫くは
闇の森での生活編ですv
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