会議
CHANGES DESTINY...
【13】
「ふぁあ〜……。」
は大きく伸びをすると朝日が差し込む窓を見た。
「今日…か。」
「?起きているかい?」
「はいは〜い。起きてますよ〜。」
「失礼するよ。」
「如何したのレゴラス?」
「分かってるだろ?今日は…。」
「うん。分かってるよ。」
「そう。一緒に行こうと思って。」
「ちょっと待ってて着替えるから。」
「了解。」
レゴラスは普段の軽装ではなく銀色の長いローブのような物を着ている。
恐らく正装だろう。
彼女も寝巻きとして着ている服を脱ぎ捨て着替える。
軽く髪を梳かし扉を開ける。
「お待たせしました。」
「いいえ。さぁ行こうか。」
レゴラスは柔らかな朝日に包まれその金糸の髪を輝かせ、は眩しそうに彼を見上げる。
彼の差し出した手を取ると歩き出す。
「そういえば…今日みんなに私のことも話すんだよね?」
「多分ね‥でも、。エステルには話したんだろ?」
「うん…彼にはね…。(王様だし)」
「大丈夫かい?」
「うん…ちょっと心配だけどね。」
は力無く笑う。
レゴラスはその美しい白眉を顰め彼女の頭を優しく撫でる。
「大丈夫だよ。私も卿も驚いたけど今はすんなり受け入れているだろう?」
「そうだね…アラゴルンだって…そうだったし。うん。頑張ってみる。」
「あぁ。」
お互いニッコリと微笑み合うとゆっくりと会議へ歩いて行く。
暫く歩き広いポーチへと出る。
其処には円形のテーブルを囲むように椅子が並べられちらほらと会議に出るものが集まっている。
に気が付きアラゴルンが近寄ってくる。
彼は相変わらずの服装だ。
「おはよう。アラゴルン。」
「あぁ。大丈夫か?」
アラゴルンは不躾にの額を指で突付く。
「なっ!なにするの〜。」
「いや。変に緊張してるなと‥」
「今ので緊張が取れました。」
ぷ〜っと頬を膨らませるにアラゴルンは微笑を浮かべる。
ぽんっと軽く彼女の頭に手を乗せる。
「なに?」
「いや。別に?」
「エステル…いい加減にから離れない?」
「あぁ。居たのかレゴラス。」
「…………。」
笑顔を貼り付けたまま妙に黒いオーラを醸し出すレゴラスと。
其れに対峙して何やら妙に強気のアラゴルンは暫し睨み合う。
はそそくさと二人から離れ、先に来ていた者達の方へと進む。
「おはようございます。フィンデルさんにエレストールさん。」
「おはようございます様。」
「良く眠れましたか?」
「はい…あっお父様!!」
にこにこと二人と会話しているとエルロンド卿の姿を見つける。
彼に駆け寄り思いっきり抱きつく。
「おっ‥と。これは朝から元気がいいな。」
「おはようございます!」
「あぁ。おはよう。」
エルロンド卿は彼女を軽々と抱き支え、笑みを浮かべる。
「…今日はお前のことも触れねばならん。大丈夫か?」
「みんなさっきから心配ばっかですよ;;平気です!」
「そうか…。」
「あっ他の人にも挨拶してきます!」
は快活な返事をして新しく来た者の元へ駆けて行く。
「ボロミアっ!!」
「…。」
ポーチに姿を現したボロミアに駆け寄ると花のように微笑む。
ボロミアも彼女の姿を捉え笑みを浮かべる。
「おはよう。どうした?いつもより元気だな…。」
「そっかな?まぁ…色々あるのさv」
「そうなのか?全くお前は面白いな…。」
「それは褒めてますか〜??」
「多分な。」
「む〜〜…。」
ボロミアと談笑していると不意に後ろからエルロンドに呼ばれる。
「。そろそろ座りなさい。会議が始まる。」
「はい!じゃあボロミア、後でね!」
「あぁ。」
はエルロンドの隣の席に座る。
良く良く見ると、エルフの他に恐らくギムリ達であろうドワーフ族。
そして人間。
だが、ガンダルフとフロドが居ない。
会議が始まる鐘が鳴り響くとフロドとガンダルフがやってきた。
エルロンドは皆が集まったことを確認し会議の始まりを告げた。
「遠来からの客人たちに古き友よ。今日はモルドールの脅威について話し合おう。そして…。」
「はい。」
エルロンドの隣には佇み周りを見渡す。
卿はを一瞥し浪々と響く声で語る。
「彼女は私の娘となっただ。皆も知っていよう。彼女についてまず話さねばならん。」
皆は深刻そうにエルロンド卿を見、フロドとボロミアはを見る。
「はこの世界の…中つ国の外の世界から来た者だ。」
ザワッ…
エルロンドの一言に辺りはざわめく。
ちらりとフロドとボロミアを盗み見ると彼等は驚いた表情で辺りに視線を這わせている。
「彼女は此処中つ国に帰るべくして来た。皆も彼
の唄は知っていよう。」
エルロンドの声はポーチ中に響く。
「指輪に連なる救世主か…。」
「だが、彼女はエルフだったはず…。」
ざわめきの中何処からとも無く声が上がる。
エルロンドはその声を発した方へ視線を向かわせはっきりと言う。
「彼女は何らかの力により別の世界に生を受けた。だが、中つ国に…今このモルドールの脅威に晒される中再び現れた。」
「は…彼女はハーフエルフです。」
レゴラスの声が卿の言葉を追うように響く。
そしてガンダルフが立ち上がる。
「は此方に来てから人間ではなくなったのじゃ。眠っていた力が本来あるべき此処に来て目覚めたのじゃ。」
「についての話は此処で終わる。…本題に入ろう。。座りなさい。」
「はい。」
は静かに席に着き恐る恐るフロドやボロミア、他の者達へ視線を向けた。
視線の合ったエルフの数人は此方に深くお辞儀をし口だけを動かして言葉を紡いだ。
『お帰りなさい。』
『貴女を待ち侘びていました。』
『我らがメシア。』
も慌てて彼等に頭を下げる。彼等は柔らかく微笑んでくれた。
ドワーフ族たちは元々エルフに対して嫌悪を抱いているのであまり見ないようにした。
フロドはというと驚いた表情から力が抜けたのかを見て笑みを浮かべ。
ボロミアも、何故だか全て知っていたとの感じで彼女に微笑んだ。
彼女は軽く俯き、その白い頬を涙が伝う。
「ありがとう…」
小さく呟いた言葉が風に消えた。
後記
自分の存在理由。主人公さんには其れが一番不安だったのでしょう。
否定されるのではないか、とかね。でもドワーフ以外(笑)みんな彼女を必要としてくれているようです。
次は本題ですね!
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