会議U






CHANGES DESTINY...


【14】

















エルロンドは周りを見渡しを見、話し出した。


「皆も知っている通り。今中つ国は滅亡の危機に瀕している。モルドールの悪夢が蘇ろうとしているのだ。」


卿の言葉に周囲は水を打ったかのように静まり返り皆一様に真剣な面持ちになる。


「フロド…指輪を此処へ…。」


フロドは立ち上がった後意を決したかのように円卓へ向かう。
小さな金属音がいやに耳に付く。


「指輪だっ!!」


誰かの囁きが響いた。
フロドは指輪から遠ざかり席に着くとほぉっと溜息を付く。
はフロドを見、彼もまた彼女を見た。


『だ・い・じ・ょ・う・ぶ?』


口パクで呟いた後微笑むと彼もコクンと頷き微笑み返す。
は指輪に視線を向ける。
鈍く輝く指輪。


あの指輪が皆を不安にさせ‥ボロミアを…っ。


はギンっと指輪を睨みつける。
指輪の光の中に赤黒い炎を見た気がした。


「授かり物だ!」

「!」


の視線は指輪から離れボロミアへ。
先ほどまで談笑していた彼とは明らかに違う。
寧ろ狂気を感じるその瞳。


「我が父デネソールは長らくモルドールの勢力と戦ってきた。我らが民の代価に此処にいる者達は守られてきたのだ!」

ボロミア…っ…。


徐に立ち上がり拳を振るい話す彼は。
普段とは全く別人のようで。
彼女は悲しげに眉を寄せた。


「ゴンドールに敵の武器を与えよ!我らがその力で打ち勝ってやろう!」


そんなボロミアを見ていられなくなったは顔を背ける。
彼の言葉を止めたのはアラゴルンだった。


「指輪は誰にも従わない。指輪の主だけにその力を示す。」


ボロミアはアラゴルンを睨み、言葉を吐き出す。


「卑しい流離人 ( さすらいびと ) 風情が。」


その時、レゴラスが啖呵を切った。
その声は怒りに震えている。


「只の流離人ではない!彼はアラゴルン。アラソルンの息子…お前の主君の家系だ。」


レゴラスの言葉にボロミアは、はっとアラゴルンを見る。
その顔には先程までの狂気ではなく、驚きと怯えが見て取れる。


「イシルドァの末裔…だと?」

「ゴンドールの王座を継ぐ者だ。」

『座れレゴラス。』


未だに激昂冷めやらぬレゴラスにアラゴルンがエルフ語話す。
レゴラスは渋々といった感じで席に着く。


「ゴンドールに王は必要ない。」


あれ…私…なんで?


ボロミアの呟きを聞きつつは困惑していた。
確かにこの世界に来てレゴラスにエルフ語を習っていたが簡単な用語のみしか解していないはずだった。
だが、彼女はアラゴルンの言葉も、先程のエルフ達の言葉もはっきりと理解できた。


ハーフエルフに…近づいてるのかな?


は其処で一旦考える事を止め会議に集中する。
結局エルロンドが話を纏めようとしたのだが指輪を誰が棄てるかで討論が始まり結局各種族同士の言い争いになってしまった。


「ちょっ。冷静に!!ッ…フロド?」


が気付いた視線。
それは最も小さな種族の青年。
彼はキュッと拳を握り指輪を睨む。
そして良く通る声で言葉を発した。


「僕が…僕が棄てに行きます!!」


彼の一言にしんっと周りが静まり返る。
視線はフロドに集中する。は掠れる声で問いかけた。


「フロド?」

「でも…場所が分からない…。」


頭を垂れたフロドには何処か悲しそうな顔を見せる。
同じように悲しそうな顔をしたのはだけではなかった。
彼女はそっとフロドに近寄ると真正面から彼をぎゅっと抱きしめた。


「ッ?」

「フロドだけ行かせない。…私も行くよ。守りたいから。」

「フロド…おぬしだけに重荷を背負わせはせん。」


の隣からガンダルフがそっと彼の肩に手を置いた。
すると話を聞いていたアラゴルンがフロドに近寄った。


「私はこの剣にかけて君を守ろう。」


彼に続くようにレゴラスとドワーフのギムリが近づいた。


「私は弓に誓おう。」

「俺は斧に。」


最後にボロミアが立ち上がり近づいてきた。


「指輪を棄てに行くのは最も小さき人か、それならばゴンドールも従おう。」


そういいきった彼の瞳は指輪に囚われてはいない何時もの澄んだ瞳をしていた。
その後こっそりフロド達の様子を伺っていた庭師のサムと。
ピピンとメリーが加わり指輪に繋がる10人の旅の仲間が決まった。


































後記

ふー…長かった!次は旅に出れますよね?
いかんDVD借りてこないと…。
微妙にボロミー難しい(泣)