宴会
CHANGES DESTINY...
【12】
その晩フロドの回帰祝いにとエルロンドの言葉により盛大な宴会が開かれることになった。
涼やかな鐘の音が裂け谷に響き皆が館へと集まる。
「アルウェン姉様?‥あの;;;」
「にはやっぱり白がいいかしら‥あぁでも青もいいわねぇvv」
「あの;;」
姉、アルウェンの部屋に引っ張り込まれたは困り果てたように鏡台の前の椅子に座っている。
アルウェンは嬉々として本日のドレスを選んでいる。
薄化粧をし紅を塗ったは普段の愛らしい印象のままに艶が掛かり美しい。
アルウェンが夕闇姫だとしたらは陽光姫であろう。
「そうね!の髪は綺麗な黒だからドレスは白がいいわv」
「はぁ‥。」
「「愛しの妹よ〜まだか―い??」」
「お兄様達!少し静かにして下さいません?」
「「は〜い。」」
二人の愛しい妹が部屋から出てくるのを今か今かと待ちわびている双子の声が響く。
は苦笑するとアルウェンに渡されたドレスに袖を通す。
アルウェンはの長い黒髪を細かく結い上げ装飾を施していく。
「あぁvvやっぱり可愛いわ!!」
「はっ恥ずかしい///」
のドレスは薄い白の布を幾重にも重ねた形で。
細く白い肩が露出している。
腰の辺りと胸の辺りに大輪の白い花を飾りつけ動くたびに光がキラキラと反射して眩いほどだ。
その漆黒の髪は前髪から後ろへ緩く三つ編みにし髪と花や蔓を結っている。
黒い髪に白い花飾りが美しい。
は頬を染めて鏡に映る自分の姿を見つめた。
アルウェンはの手を取りゆっくりと歩き出す。
「さぁお披露目よv」
「あぅう。」
扉を開けアルウェンを先頭に歩みだす。
「「おお!!」」
エルラダンとエルロヒアはアルウェンを見た後にを見、歓喜の声を上げる。
ぎゅっと両端から彼女を抱き締める。
「わっ///」
「あぁなんて愛らしいんだいv」
「愛らしいだけじゃない!今日はなんて艶やかなんだv」
普段の狩りの服装ではなく正装した双子には更に赤面してしまう。
アルウェンは双子を引き離すと宴会へと足を速める。
会場へ向かう際に会うエルフ達の視線にはドギマギしている。
会場に着くとまず目に付くのは沢山のエルフ達。
はこんなにも大勢のエルフを見たことが無かった。
中にはちらほらとドワーフの姿も見て取れる。
会場でも一際目立っているのは館の主エルロンドの座るテーブル。
彼の隣にはガンダルフとグロールフィンデル、エレストールが控えている。
エルロンドはアルウェン達に気付くと立ち上がり手招きをする。
「さぁ。お父様にもみてもらいましょう?」
「はっはい///」
「恥じる必要は無いよ?」
「こんなにも愛らしいんだから。」
「っ////」
アルウェンと。そして双子がゆっくりとエルロンドの居るテーブルへと歩いて行く。
周りに居た者達が思わず道を作ってしまうほどの絢爛さ。
エルロンドは笑みを浮かべアルウェンを抱き締める。
そして双子にエルフ式の例を取り、を見る。
の手を取り皆に見えるようにする。
「此処で皆に紹介したい。私の娘となった…だ。」
「っ////。」
グロールフィンデルとエレストールは柔らかな笑みを浮かべ。
ガンダルフもまたにこにことしながら手を叩く。
は赤面しながらも笑みを浮かべエルロンドを見上げる。
一頻り拍手の波が消えた頃エルロンドは改めてを見つめる。
屈んで彼女の目線にあわせる。
「普段も愛らしいが、今宵は一段と麗しいな。」
「そっそうですか?…ぁのお父様も綺麗です//」
「ハハ…嬉しい事を言ってくれる。今宵は楽しみなさい。」
「はい。」
はエルロンドから離れて辺りを見渡す。
「レゴラスは…何処だろ??」
辺りをきょろきょろと見渡し金髪の王子を探す。
すると、行き成り肩を掴まれる。
「わっ!?」
「やぁ。今日は一段と愛らしいね?」
「レゴラス!恥ずかしいから;;」
「アハハ。真っ赤だね。」
「だって…。」
「そうだ。もこっちにおいでよエステルも居るし。」
「うん!」
とレゴラスは連れ立って外れの方のテーブルへと歩いて行く。
其処には幾分正装したアラゴルンの姿。
彼は此方に気が付くと笑みを浮かべ近寄ってくる。
「綺麗だな。」
「っ////ありがとう。」
「なんだ?嬉しくないのか?」
「恥ずかしくて恥ずかしくて死にそうです!」
「クッ…そうか。にしてもエルロンド卿も相当な親馬鹿になったみたいだな…。」
「そうだね。あそこまで自慢気に紹介するとは思わなかったよ。」
「全くだ。」
「あぁ。何か飲み物いるかい?」
「うん‥。」
「ちょっと待ってて。」
レゴラスはニッコリと笑みを浮かべると飲み物を貰いに行ってしまった。
アラゴルンに促され椅子に座ると深い溜息をついた。
「大丈夫か?」
「うん…なんだか慣れてないから;」
「まぁ…な。」
「にしてもアラゴルンもちょっとは綺麗だね。」
「一部分強調してないか?」
「別に〜。でも何時もの方がアラゴルンらしいけどね。正装してたら逆に怖いよ。」
「失礼な奴だな。」
「褒めてますよ〜?」
「そうか?」
「うんv多分vv」
「お前な…。」
「そういえばアラゴルンはアルウェン姉様の所に行かなくていいの?」
「は?……なんでアルウェンなんだ?」
「ぇ…だって…(恋人同士でしょ??)」
「。アルウェンには婚約者が居るよ?」
「えぇ!?」
「なんだ‥知らなかったのか?」
「うっうん…。」
其処にタイミングよく帰ってきたレゴラスが解答する。
その言葉には度肝を抜かれ半ば放心状態だ。
「……(ぇ。でも映画では確かアルウェンとアラゴルンは結婚するんじゃ…まさか映画と違う?)」
「?お〜い?」
「ぁああ。ごめん;」
「はい。…大丈夫かい?」
「うん…。」
レゴラスからローズ色の飲み物を貰いながら何とか意識を取り戻す(笑)
アラゴルンは可笑しそうにを見る。
「なんだ?まさか私とアルウェンが恋人同士とでも思ってたのか?」
「ぅえ‥あっ…うん…。」
「アハハ。それは面白い誤解だね。」
「ぅ…だってさぁ…。」
「私は此処で育ったんだ。アルウェンの事は姉の様に思っている。」
「ごめん…。」
「気にするな。」
「うん…。」
アラゴルンはの頭を撫ぜる。
は両手にグラスを持ちコクンと飲み下した。
と、彼女の視線の先に彼が見えた。
「ごめん!ちょっと行ってくる!!」
「ぇ。?」
は慌てて立ち上がるとそのまま入り口の方に駆けて行く。
レゴラスは半ば呆気に取られ呆然とし。
アラゴルンはそんなレゴラスを見て笑っている。
「はぁ〜…また彼か…。」
「なんだ?誰か居たのか?」
「ゴンドールの殿だよ。知らないの?」
「あぁ…見た気がする。」
「全くはなんだってあんなのがいいんだろう。」
「なんだはゴンドールの殿がお好みか?」
「さぁね。願わくばそんなことあって欲しくないけどね。」
「嫌に弱気だな緑葉の王子。」
「五月蝿いよエステル。」
「ボロミア!!」
「!?‥…。」
宴会の喧騒から離れボロミアは噴水の在る中庭に佇んでいた。
会場からはホビット達であろう陽気な歌声が流れてきている。
は軽く息を付くと座っているボロミアに近寄る。
ボロミアは驚いたようにを見、ふっと笑みを浮かべる。
「今日は大分何時もと違うのだな。」
「あっ‥うん。アルウェン姉様が…。」
「綺麗だな。」
「////ありがとう。あの…隣いい?」
「あぁ。」
「きゃっ!!」
「っ!?」
ドサッ…。
は服の裾に足をとられ前に倒れる。
咄嗟にボロミアが彼女を抱き支える。
傍から見たら抱き合っているようにしか見えない構図。
「ぁ…ごっごめん;;」
「いっいや…。」
「っ////。」
「すっすまない////」
は一気に赤面すると慌ててボロミアから離れる。
暗さで分かりづらいがボロミアの頬も紅潮している。
「………。」
「………。」
「「その。」」
「「………………。」」
「アハハハハっ!」
「クッ‥。」
妙な沈黙の後お互い顔を見合わせて笑い出す。
「ごめん。変に緊張しちゃった。」
「こっちこそすまない。」
「ううん。ありがとう。」
「いや‥。」
「あのね。ボロミアは指輪会議に参加するの?」
「あぁ…参加するよう言われてる。」
「そっか…。」
「も…参加するのか?」
「うん…。私はその為に…ううん。必然かな。」
「…そうか…。」
ボロミアは少し俯き何事か考えているようだ。
は静かにボロミアを見据え苦笑する。
「これでも色々考えてるんだよ?」
「いや。すまない…」
「アハハ。さっきからボロミア謝ってばっかだよ〜」
「…あぁ。そうだな;」
「あのね。一つ言いたかったんだ。」
「?」
は立ち上がるとボロミアの目の前に立ち彼の瞳を見つめる。
彼女の肌は白く月明かりに照らされ陶器のよう。
流れる黒髪は闇に溶け、それを彩る花や蔦は艶やかに。
ボロミアはまるで幻想を見るかのような錯覚に陥った。
「何があっても"貴方"を失わないで。貴方は決して一人ではないから。一人で抱え込まないで。」
「…………‥。」
「それだけ!じゃあ会場に戻るね。お父様が居るから…。あっボロミアは?」
「いや‥私は此処にいる。」
「うん。じゃあね〜。」
は花の様な笑みを零し宴会会場へ戻っていく。
彼女の後姿を見ながらボロミアは溜息を付いた。
「……何故だろうな…。」
彼女はまるで何もかも見透かしているようだ。
自分の考えも。
ゴンドールへの思いも。
そしてこれからのことも。
ボロミアは自嘲気味に微笑んだ。
会場からは柔らかなエルフの楽器の音色が聞こえていた。
後記
長いっ!?あ〜…すんごく長くなった気がする;;
色んなキャラ出せて本望ですvそして何気に卿は出現率高し(笑)
なんというかアラゴルンとの掛け合いが描いてて楽しかったです…。
※この作品が気に入って頂けましたら拍手・コメントお願いします↓※

