MATRIX-9






THE INNOCENT PROGRAM
【 9 】
























「でもさっき…扉の色が変わってたよねぇ…大丈夫かな?」


は恐る恐る扉に鍵を差し込んだ。
軋んだ音を立て扉をゆっくりと開ける。


「ッ!?なっなにこれ…。」


彼女が眼にした物は一面の闇。
いつぞやスミスに導かれ訪れた空間のように混沌とした闇がそこにあった。
は戸惑いつつもゆっくりとその中へ足を踏み入れた。


「いきなり落ちたりしないよね…?」


急に沈んだりしないか不安ながらも一歩踏み込んだ。
混沌とした景色だがそのまま踏み込むことが出来、は扉をくぐって中へと入った。


「まさか…これもスミスさんの…?」


宛ても無く歩いていくと彼女が歩いた場所が淡く光始めた。
は立ち止まり背後の異変に気づいた。


「へ?なっなに??」


光始めた所を起点に周りの闇がぼろぼろと壊れて行く。
は小さく悲鳴を上げた。


「えぇ!?やっやばいッ!!」


何故急に崩壊し始めたのか分からないが、は目標もなく走り出した。
崩壊しかけている闇がを捉えようと闇色の触手を伸ばす。


「ッッ!!開いて!!!」


闇に囚われかけながらもは両の手を大きく伸ばし目の前の闇に手を突っ込んだ。
その時の身体が眩い光に包まれた。
闇を抜けたと同時に彼女の意識も途絶えた。



































「行くわよ…。」

「あぁ…。」

「ネオ。本当に眼は大丈夫なの?」


トリニティは心配そうにネオを見た。
彼は先程スミスに操られたベインに襲われ眼を潰されていた。
ネオはトリニティを安心させるかのように微笑んだ。


「大丈夫。さぁ…行こう。」

「えぇ…。」

は…大丈夫だよな。」

「えぇ。あの子はきっと大丈夫。」

「不思議だな。現実なのにまるでが側に居る気がする。どんな時も。」

「きっと私達を守ってくれているのよ。彼女の為に…ザイオンの為に私達も頑張らないと。」

「………あぁ‥守ってみせるさ。」





























「ロゴス…二人をよろしくね。」

「もう二人は帰ってこない、そんな気がする。」

「……そうね。でも。あの子がきっと二人を守るわ。」

「…そうだな。が…。」

「さぁ!私達は私達のすることがあるわよ!!」

「あぁ。」


気合を入れるナイオビを横目にゴーストは今は居ない少女の姿を脳裏に描いた。









































『……あぁ。守ってみせるさ。』





ポツリと。
彼女の白い頬を水滴が滑り落ちた。


「ネオ…?」

「久しぶりだな…。」














後記

今回は色々と設定に悩みました。
まずスミスに逢わせないと〜でもザイオンサイドもちろりと書きたいし…って。
因みに彼女が踏み込み切り開いた”闇”はスミスをウイルスとしたら彼に感染されつつあるマトリックス内部です。




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