MATRIX-6






THE INNOCENT PROGRAM
【 6 】
























「ただいま―!」

「あら。お帰りなさい。」

「ネオ!」


5人はその後オラクルの家へと来ていた。
ドアを開け中に入るとキッチンでクッキーを作っているオラクルと幼い少女が居た。


「出られたんだね。」

「あぁ…。」

「?…その子は?」

「彼女はサティよ。」

「……(朝言ってた…この子が‥)」


ネオと親しげに話す少女には視線を向ける。
彼女の視線に気づいたオラクルがすかさず説明し、も納得したように微笑んだ。
はサティの目線にまで屈みにっこりと笑った。


「始めましてサティ。私はだよ。よろしくね?」

「始めまして!よろしく!」

。サティと一緒にクッキーを見てて頂戴。」

「は―い!サティあっちに行こう?セラフも紹介するね。」


とサティは手を繋いでキッチンを出て行った。














「セラフ!」

?……??」


居間に入るとトリニティとモーフィアスそしてセラフは各々寛いでいた。
セラフは部屋に入ってきたに視線を移しながらも彼女と共に居る少女を見て眉根を寄せた。
彼女は彼等の視線に気づきにっこりと微笑んだ。


「えっとね。この人がセラフだよ。」

「始めましてセラフ!私はサティよ!」

「はっえぇ…始めまして…。。彼女は?」

「オラクルが…」

「……例のですか。」

「うん。」


彼女の意図していることに気づいたセラフも言葉を濁し頷いた。
それから何事か話し終わったのかネオがキッチンから出てくる。
思案顔の彼は視線をサティに向ける。


「サティ。オラクルが呼んでる。」

「はーい。」


ぱたぱたとネオと交代するようにキッチンに入っていく。
ネオはソファに座っているに近づく。


。俺達はいったん現実世界へ戻る。」

「うん…ネオ…大丈夫?」

「あぁ…大丈夫だ。」

「気をつけてね?」

こそ。無茶するなよ?」


心配げな彼女の頭を撫で視線をトリニティ達へ向ける。


「リンクに連絡を入れてくる。………。また、な。」

「うん。またね!」

「それじゃあ…気をつけて。」

「トリニティも気をつけてね!」


は玄関先まで彼らを見送った。


…。」

「セラフ?…サティ??どうしたの?」

「此処は危険です。いったん離れましょう。」

「ぇ?危険って…オラクルは?」

「……彼女は此処に残ります。」

「ッ!?そっそんなの駄目だよ!」


はセラフの静止も聞かずオラクルの居るであろうキッチンに駆け込んだ。


「オラクル!!どういうこと?!」

「此処に彼が来るわ…貴方達は逃げなさい。」

「彼?彼って誰のこと?まさか…」

「そう。………さぁ早く行きなさい!」


はオラクルにしがみ付き瞳を滲ませる。
オラクルはそんな彼女の背を優しく撫でる。


「また会えるよね?」

「えぇ。きっとね。今度はサティとセラフとみんなでクッキーを作りましょう?」

「うんッッ。」

「さぁ。セラフ達が待ってるわ。」


オラクルはそっと彼女の身体を離しキッチンの入り口に押しやった。
は一瞬泣きそうな顔をするものの涙をぬぐい玄関へ駆けていく。
暫くして扉が閉じる音が響いた。
オラクルはゆっくりとキッチンの椅子に座り、煙草に火をつける。
すいこんだ紫煙をゆっくりと吐き出した。


「……全てはネオと貴女にかかっているのよ…。」























「セラフッでも逃げるって何処に?」

「何処でもいいです。ともかく今は早く此処から離れなくては!」

「あっそれなら…鍵!キーメイカーさんから貰った鍵で逃げようよ!」

「そうですね。」


セラフとはサティの小さな手を握り急ぎ足で進む。
一旦下へ降りようとエレベーターにきたものの何度ボタンを押しても動く気配が無い。


「壊れちゃったのかな…?」

「ッ!?」


その時。

不意に廊下の置くから電気が消えていく。
サティは恐々と二人を見上げきゅっと掌を握ってきた。


「なんだか怖い…。」

「こっちです!」


セラフは半ば引きずるように非常階段のほうへと進む。


「っ!!すっスミスさん…。」

「此処もか…。」


非常階段に響く規則的な靴音。
しかも一人ではない、大量のスミスの姿に流石のも驚きを隠せない。
セラフはさっさと踵を返すと廊下に出て使えそうな部屋を探し始めた。


「鍵が開いてる部屋じゃないと…。」

「ここはどうです?」

「あっ此処なら開くね。ちょっとまってて…。」


はコートのポケットに入れていた鍵を取り出そうとサティの手を離した。
鍵穴にそっと差込回すと扉が一瞬光った。
扉を開け中を確認してから二人を中へ入れようと振り返る。


「開いたよ!早く中へ!」

「ッッ!」

「きゃっ!?ちょっセラフッ!!サティ!!!」


バンッ


先にバックドアの中へ入っていたが一瞬後ろを振り返った途端セラフが慌てたように扉を閉めた。
彼女は驚いて扉に飛びつき再度入れて鍵を回すものの開け放った先には既に二人の姿は無かった。


「そんな…どうして…?」


の声が小さく木霊し、力無くその場に座り込んでしまった。














後記

かなり久々ですね。ここら辺どうしようかかなり悩みました。
このときセラフとサティはスミスさんに取り込まれてしまうから…。
次はセラフ視点から始めましょうか。




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