MATRIX-8






THE DREAM AND ACTUAL GORGE
【 8 】
























その日はキッチンでオラクルと共に子供達にあげるお菓子を作っていた。
その時玄関からセラフと共にネオが入ってくる。
彼の気配に気付いたは慌てて玄関へと走っていく。


「ネオっ!!」

「久しぶりだなっと。」


駆けて行く勢いでそのまま彼に飛びつくを抱き止めながら彼は笑みを零す。
成人に近いというのに愛らしいまでの子供らしさと無邪気さ。
久々に会う、妹のような存在に彼の頬も緩む。
但し、セラフの眉間に皺が寄ったことは言うまでもない。


「どうしたの?今日はトリニティ達は?」

「ちょっと話があって来たんだ。トリニティは君の為の服作りに忙しいよ。」

「えぇ!?またぁ?この前も貰ったのに…。」

「そういえばはあんまりスカート履かないな?」

「動きづらいもん。」

「ハハ…確かに。」

「あらあら…。クリームがそのままよ?」

「あぁ!!忘れてたっ!」

「手伝います。」

「うん!あっネオあとでね!」

「あぁ。」


キッチンから出てきたオラクルはネオにソファに座るよう進める。


「それで…行くのね?彼の元に。」

「あぁ。この前の話考えてみたんだ。」

「そう…も…連れて行きたいのね。」

「そうだ。…正直戦いなんかにを巻き込みたくない…。」

「それでも彼女はこの戦いにはなくてはならない存在ね。」

「…あぁ。いいかな?」


ネオはサングラスを外し、オラクルの瞳を見つめる。
オラクルは彼の手に両手を重ねて笑みを浮かべる。


「行くか、行かないかはあの娘が決める事よ。だからそれは貴方が聞きなさい。」

「…そうだな…確かにその通りだ。」

「えぇ。もう少ししたら来るわよ。」

「…の返答はもう分ってるんだろ?」

「フフ…それが分らないと…。」

「”たいした預言者じゃない”…だろ?」

「その通り。」


二人の話が終わった途端ケーキを持ったとそれを心配そうに見守るセラフが部屋に入ってくる。


「みてみて!すんごくうまく出来たよ!」

っ!!落としますよ!」

「あらあら…本当においしそうに出来たわね。」

「でしょ〜。ネオも一緒に食べよう?」

「あぁ…。君に話があるんだ。」

「ん?なに??」

「座って。」

「あ。うん…。」


はとりあえずケーキを置き、オラクルの座っていた場所に座る。
隣にはしっかりとセラフも一緒だ。
ネオはセラフを見た後、やや呆れ気味に溜息を付くと彼女の瞳をしっかりと見て話し始める。


「君に協力してもらいたいんだ。」

「なに?」

「マトリックスの事、俺達の事は話したよな?」

「うん…。」

「別に此処を破壊したいわけじゃない。俺達は共存を望んでいる。」


は静かに彼の話を聴いている。


「キーメイカーがその鍵なんだ。彼はある人物の元に捕らわれている。」

「キーメイカー?」

「そう。彼も特殊なプログラムなんだ。」

「まさか…奴のもとに行くつもりですか?」

「そう…最古のプログラム…メロビンジアン。」

「それ誰?悪い人なの?」

「彼はマトリックス内では最も古いタイプのプログラムです。」

「セラフは知ってるの?」

「少し…。」


それ以上彼は口を閉ざしてしまう。
ネオは話を続ける。


「彼は多数のプログラムを雇っているそうだ。」

「ガードが厳しいんだ?」

「そうだな…。」

「ん…っと。つまり。キーメイカーさんが必要だからメロビンジアンさんの所に行って開放してもらえないか頼むってことかな?」

「穏便に行けば…な」

「それは分かったよ。でも何で私が?戦いじゃ役に立たないんじゃないかな?」

「君の戦闘能力はエージェントに匹敵してるよ。」

「むっ。でも実践とかはしてないもん。」

「戦闘能力だけじゃないんだ。君の存在自体が周りに作用する。」

「作用って…何が?」

「よくは分らないけど…雰囲気というか…なぁ?」

「いや。なぁって言われても。」


ネオは困ったようにセラフに視線を送る。


「ですが、をメロビンジアンの元に連れて行けば彼女が危ないでしょう。」

「それは考慮している。」

「彼女を危険に晒したくはありません。」

「俺だってそうだよ‥でも、俺達にはが必要なんだ。」


セラフとネオの会話を聞きながらは俯き何事か考えている。
すると、ぱっと顔を上げると、ネオに視線を向ける。


「ネオ。私、協力してもいいよ。」

!!」

「本当…か?」


彼女はにっこりと笑みを浮かべる。


「うん。だって、私が何者か教えてくれたのはネオ達だもん。それに私は人間も機械も好きだから…共存できるならそれが一番だし。」

「貴女もメロビンジアンに狙われているんですよ!!」

「話せば分ってくれるかもだし。それにいざとなれば皆も居る。大丈夫だよ。」


はにこにこと笑みを浮かべセラフもそれ以上いえなくなってしまう。
ネオはの手を握る。


「本当に…いいのか?」

「うん。私は自分の意思で協力したいの。」

「…ありがとう。」


すると其処にオラクルが紅茶をもってやってくる。


「話は終わったのかしら?」

「うん!あっオラクル少しの間出かけるね。」

「えぇ。分ってるわ…。」


オラクルは今だ納得していない顔のセラフに視線を向ける。


「セラフ。は自分で行く事を決めたのよ。」

「…分っています。」

「それなら貴方も協力すればいいのよ?」

「?」

の支えになってやりなさい。」

「…はい。」


は紅茶を入れながらネオに話しかける。


「そういえば。そのメロビンジアンさんの所には何時行くの?」

「早い方がいい…明日かな。」

「トリニティやモーフィアスは?」

「一緒だよ。」

「そっか〜。モーフィアスは久々だなぁ…。」

「そうだな。」


彼女の戦闘能力はプログラムの中でも特質すべきものだ。
でも…力の強さだけじゃない。
には人にも機械にさえも微笑みを齎す雰囲気がある。
見ているだけで、側に居るだけで。
心を落ち着かせ。和ませる。
それがの能力なのか‥?


「ネオ?紅茶〜。」

「あっあぁ。ありがとう。」

「ほら。オラクル!セラフもケーキ食べようvv」

「えぇ。そうね。」

「はい。」


先程の緊迫した雰囲気は消え、和やかな空気が部屋を満たした。
温かいダージリンの香りと。オレンジクリームの爽やかな香りに包まれて。

































後記

ここら辺。映画見て描いてるんですけども。いまいち分りづらくて;
まだこの時点ではソースとかアーキテクトとか出てこないよ‥ね?
サクサク行きましょうvv




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