MATRIX-7






THE DREAM AND ACTUAL GORGE
【 7 】
























「ちょっツインツー!!下ろしてよぉ!」

「駄目だって。これで走ったほうが速えぇだろ?」

「う〜〜っ!」

。大丈夫か?顔が赤いぞ?」

「知らない!!」


ツインツーに姫抱っこのままの状態でバタバタと暴れるを更にキツク抱き、走る。
隣を並走するツインワンはの反応を見てクスクスと笑っている。











それから少しして、彼等は朽ちかけた廃墟にやって来ていた。
何とか形を留めた室内は雨を凌ぐのには丁度良い。


「着いたぞ。」

「……ツインツーの馬鹿。」

「なっなんだよ。人が親切に抱えてやったのに!」


はツインツーが腕を緩めた途端彼から飛びのき彼女の荷物を持っているツインワンの後ろへ隠れる。
ツインワンは苦笑しながら彼女に荷物を返す。


「ありがとうツインワン。」

「あぁ。」

「…贔屓だ。」

「五月蝿いよ。それにしても…かなり濡れちゃったね〜」

「そうだな。」

「仕方ないか…。」

「??」


一瞬二人の姿がぶれたかと思うと頭からつま先まで水が滴っていた彼等の姿はすっかり服も髪も乾いていた。
はその姿に呆気にとられて固まっている。
彼女の反応を楽しげに見つめツインワンはに巻かれた包帯を取ると彼女に渡す。


「これありがとうな。」

「へ??…あ、うん。えっと〜それが貴方達の能力?」

「あぁ。」

「というよりもこれはプログラムを書き換えたんだ。」

「濡れる前の姿にな。」

「へ〜便利…。」

にも出来ると思うけど?」

「やった事無いもん。」

「そうか。」

「あれ?じゃあ怪我は…治ったの?」

「あぁ。この通り。」


の疑問にツインワンは口の端を上げ怪我をしていた腕を見せる。
彼女は彼の腕をとるとしげしげと見る。


「本とだ…服まで元通りだ…。すごいね〜ツインワンは。」

「……俺も同じ能力なんだけど。」


何気に先程のことを根に持ってるらしいの冷たい態度に寂しげに声を出すツインツー。
はふっと笑みを浮か二人を見つめる。


「やっぱり見ためがそっくりでも性格は全然違うね。」

「「そうなのか?」」

「…まぁ話し方も少し違うかぁ…でも身体的には違いが無いよね。」

「…あぁ。」

「なに?」


行き成り手を叩き思い出したと言わんばかりのツインワンを見る。
彼は掛けていたサングラスをゆっくりと外す。
サングラスの下に隠れていたのは深い蒼の瞳。
一瞬は彼の瞳に見入る。


「これが違いだな。」

「わぁ…綺麗。じゃあツインツーは?」


話を振られてツインツーもサングラスを外す。
彼の瞳はツインワンとは反した血の様に赤い瞳。


「綺麗だね…」

「「そうなのか?」」

「うん!すごい綺麗だよ。あっでもそれが二人の違いだね。」

「身体的な‥か?」

「そうそう。話してたらどっちか違いも尽くし雰囲気で分るんだけど。黙ってると分りにくいもんね。」

「まぁ普通見分けられねぇよな。」

「マスターでも分らないだろう。」

「そうなんだ‥。」

「そういえばの家は此処から近いのか?」

「へ?う〜ん近いといえば近いかなぁ…。」

「送っていってやるよ。暗くなるしな。」

「そうだな。荷物も多いようだし。」

「えっでも二人とも仕事で此処に居るんでしょ?」

「「まぁ…そうだけど。」」

「じゃあ駄目だよって…私も一応戦えるんですけど。」


ツインワンはの頭を撫でながら笑う。


「だからって危ないだろ?」

「そうそう特にお前小さいんだし。」

「むっ…。二人とも私のことを何歳だと思ってるの?」


行き成りの質問に二人は顔を合わせ口を揃えて答えた。


「「12歳?」」

「っ!?」


その言葉を聴いた途端はその場に脱力する。
二人は顔を見合わせ彼女を不思議そうに見る。


「もしかしてもっと幼いのか?」

「どうした?」

「っ…これでも19なんですけど…。」

「「マジッ!!?」」

「……もう慣れたよ。」


一人遠い眼をして悟ったように呟くを他所に白い兄弟はなにやらニヤニヤと笑っている。


「なっなに?」

「よかったなぁ兄貴。俺達犯罪者にならなくて。」

「そうだな。流石にやばいもんなぁ。」

「???」

「気にするな。」

「そうそう。」


二人の言葉には首をかしげる。
ふと彼らの背後の壊れた窓から光が入っていることに気付く。


「あっ…雨止んだかな?」

「ん?」

「みたいだな…」


二人はの言葉に窓を見、サングラスを掛けなおすと彼女に向き直る。


は帰るのか?」

「うん。だいぶ遅くなっちゃったから。」

「そっか。残念だな〜。」

「また会えるよ。」

「だといいな。」


は長身の彼等を見上げ笑みを浮かべる。
二人は腰を屈めを囲うように立つ。


「??…どうしたの?」

「次、また会えるようおまじないだ。」

「絶対また会おうな?」

「っ!?」


彼女の耳元でそう囁くと二人は掠めるように両の頬にキスをした。
耳まで真っ赤になるを他所に二人は外へと歩いていく。


「ツインズの馬鹿ぁ!!!」


振り返った二人はクスリと笑うと片手を挙げ出て行った。
頬を染めたは暫しその場に呆然としてから下に置いてあった荷物を持ち直すと自分も外へでた。
其処には既に彼等の姿は無い。


「何か…幽霊みたい。」













それから何とか帰り着いた
入り口に立った瞬間ドアがバンッと勢い良く開くとセラフが飛び出してくる。
呆気に取られて固まっていたはそのまま強くセラフに抱きしめられた。


「買い物に何時間掛けているんです!!心配したんですよ!!!」

「あ〜…ぅ。セラフ…きつい‥。」

「フフフ…セラフってばさっきからずっとそわそわしてたのよ?」

「あっオラクルただいま〜。」

「お帰りなさい。」


そのままセラフに抱えられて部屋へと入ったは部屋においてあるソファに下ろされる。


「何処か怪我でもしてませんか?あぁ!タオルがいりますね!」

「せっセラフ〜。」


彼女が濡れている事に気付いた彼はわたわたとタオルを取りにいく。
彼のあまりの心配様に半ば呆けていたの隣にオラクルが座る。


「貴女が買い物に行ってからずっと部屋の中を右往左往してたのよ。」

「そっそうなの?」

「途中で雨が降り出したでしょ?そうしたら彼、行き成り飛び出そうとするのよ。」

「う〜わ〜…。」

「それで、貴女は誰かに出会ったのかしら?」


オラクルの言葉にはぱっと笑みを浮かべる。


「うん!!あのね一気に二人もプログラムの友達が出来たの!」

「そう。それはよかったわね。」

!!」

「セラフ‥」


大きなバスタオルを持ってきたセラフは彼女を抱え込むようにタオルをかぶせる。


「だっ大丈夫だよ〜雨宿りしてたんだし。というかそのせいで帰るの遅くなったんだし…」

「ちゃんと乾かさないと風邪を引きます。」

「うん…。」

「それで。その新しいお友達の名前はなんていうのかしら?」


”新しい友達”オラクルの言葉にセラフは眉を顰める。


「それが、おもしろいんだよ〜二人で一人なの。それで固有名詞が無いんだよ?」

「それは変わってるわね。」


二人で一人…何処かで…。


「それに見た目も全身真っ白なの。髪も肌も服も!しかも二人とも見た目が全く同じ!」

「見分けられるの?」


全身白…。見た目が同じ…。まさか。嫌。


「うん。ワンの方が瞳が蒼くてツーの方が赤い。それに性格も全然違うよ。」

「ワンとかツーが名前なの?」


………………。


「普通はツインズって呼ばれてるんだって。でも一応お兄ちゃんの方がツインワンで弟の方がツインツーって言ってた。」

「そうなの。新しい友達が出来てよかったわね。」

「うん!また会えるといいなぁ…。」

「絶対に駄目です!」

「せっセラフ?」


の肩を掴み真剣な声音で言ってくるセラフ。


「なっなんで?」

「奴等だけは絶対に駄目です!!」

「??セラフも二人の事知ってるの?」

「それより、今後一切は一人で買い物に行ってはいけません。」

「えぇ!?何で!!」

「待ってる方の身にもなってください。」

「うぅ…。」


どんなにセラフが彼等に会わせないしようとも。
もう少し先の未来では彼等と劇的な再会をする事を知っているオラクルは二人のやり取りを静かに見ていた。











「そういえば俺達…あんなに笑ったりしたの初めてじゃねぇ?」

「そうだな…。普段は会話らしい物はしないな…。」

「やっぱりが居たからかなぁ…。」

「だろうな。」

「でもおかしいよな。俺達プログラムなのに。」

「人間みたいにが可愛く感じた。」

が人間みたいだからかな…。」

「そうかもしれないな…とにかく急いで帰るぞ。大分遅くなった。」

「了解。」


白い双子は雑踏の中を足早に歩いていく。
彼等のプログラムに””が深く刻まれた事にもまだ気付かずに。































後記

ツインズ最高ですねぇvvハイピッチで進んでおりますvv
というか俺が書くと本当にセラフは…(泣)
短編書こうかなぁ…。




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