MATRIX-3






THE DREAM AND ACTUAL GORGE
【 3 】
























「そんな……。」

「ネオさん?」

「あっ嗚呼…すまない…。」

『ネオ。』

「なんだ?」

『とりあえず私とトリニティがそっちへ向かう。場所は何時もの所だ。』

「分かった。」


モーフィアスの言葉を聞くと携帯の電源を切り目の前で不思議そうな顔をしている少女を見つめる。


「あの?」

「…今から仲間が来る。その場所に行こう。」

「ぁ。はい。でも…どうやって?まさか……」


は屋上の下を指差しながら引き攣った笑みを浮かべる。
ネオは彼女の表情に苦笑しながら意地悪げに笑みを浮かべた。


「もちろんその通りだよ?」

「またですかぁああ!!?」


有無を言わさずを抱え上げるとネオは颯爽と空へ飛び上がった。



















「一回一回…飛ばなくても…」


腰を折り壁に崩れるかのように立つを見ながらネオは苦笑する。


「飛んだほうが早いだろ?」

「そうですけど‥。」


飛んでる方はいいだろうけど抱えられてる方は結構揺れるんですけど(ToT)


余りにも気分の悪そうなを見て、
流石にちょっと可哀想かと思ったのかネオは彼女に近寄ると背中を摩ってやる。
と、そこに二つの影が現れた。


「モーフィアス‥トリニティ!」

「無事なようだな。」

「今来た所だからね。」

「大丈夫なの?彼女。」

「あ……如何だろう。」


ネオの返答に珍しくトリニティは顔を顰めツカツカとに近寄る。


わぁ〜…黒人さんだ…始めて見たぁ…。というかこの人達は何で黒尽くめなんだろうか??
にしてもあのお姉さんかっこいいなぁ…


ただ呆然と成り行きを見ていたは目の前に来たトリニティに驚いたような顔をする。


「大丈夫?」

「あっあぁ。大丈夫です。何とか。」


気遣い気に見つめてくる彼女の視線に気付き笑みを浮かべる。
彼女の瞳がサングラス越しでも見て取れるほど優しげだったのでも安心したように微笑む。
とトリニティのやり取りを見ながらモーフィアスとネオはヒソヒソと話している。


「で、やっぱり彼女は…。」

「あぁ…エグザイルだ。」

「そうか…それじゃあ彼女は如何するんだ?まさかほっとくわけじゃないだろう?」


ネオは懇願するようにモーフィアスを見つめる。
モーフィアスはそんなネオを見た後にトリニティとなにやら楽しげに話すを見る。


「皆と話し合ったのだが…彼女に真実を話し、暫くの間は預言者の元に居てもらう事にした。」

「預言者の元へ?」

「そうだ。彼女の元ならば安全だ。」

がプログラムだとしたら彼女の能力は?プログラムには存在しうる何らかの意味があるんだろう?」

「確かに…それは彼女に聞く。」

「でもは自分がプログラムだとは知らないんだぞ?」

「……だが何らかの目的があって作られたんだろう。分からなければ預言者に聞けばいい。」

「あんたにしてはアバウトだな…。」


呆れたように笑うネオにモーフィアスはシニカルに笑う。


「本当に人間のようだな。」

「”人間”と変わらないよ。笑って泣いて、驚いて…。」

「トリニティがあんなに楽しそうなのも珍しい…。」

「そうだな…。でも彼女はほっとけないというか…日本人特有の天然さというか。」

「設計者が日本人だからな。」

「確かに。でも作られた感情には見えない。」

「もしかしたら…成長型なのかもな。」

「成長型…か。」


会話している二人の元にとトリニティが近づいてくる。
モーフィアスに一礼すると長身の彼を見上げる。


「あの、モーフィアスさん?」

「なんだ?」

「現状を教えてください。それと…”真実”を。」

「分かった。」
















「つまり、今私の生活している世界は機械の作ったマトリックスという仮想現実であり、本当の現実では無いという事ですね?」

「その通りだ。」


今4人は集まっていた廃墟の一室に居る。
荒れ果てた廃墟の真ん中にぽつんと綺麗なテーブルと椅子がありそれぞれが其れに座っている。
は冷静な瞳で目の前のモーフィアスを見つめた。


「…確かに違和感は感じてましたけど…。」

「信じられるか?」

「じゃなきゃネオさんは飛びませんよね…。」


さり気に根に持っているのかジトッとネオを睨む。
わざと改まって呼んでいる辺りかなりのものだ。


「うっ…。」

「まぁそれに関しては信じます。でもまだ疑問は残ります。」

「何だ?」

「何故貴方達はそんなにも日本語が上手いのですか?」

「我々の身体はマトリックスの外にある。つまり今此処に居るのは精神体だ。」

「つまり精神と肉体は繋がっているから…それにマトリックスは機械…ソースのような物ですか?」

「話が早いな。その通りだ。例えば私達の着ている服もこのテーブルも。ソースにより書かれている。」

「ネットのタグとかと同じですね。」

「そうだ。」

「もしかしてそれで言語とかをインストールしてるという事ですか?」

「簡単に言えばそうなる。」

「はぁ〜…便利ですね…。」

「お望みなら好みの衣装に変えることも出来るぞ。」

「……遠慮します。」

「それと…君について。伝えとかねばいけない事がある。」

「私について…ですか?」

「単刀直入に言う。君は人間じゃない。」

「は?」


は間の抜けた声を出し彼を見つめる。
ネオとトリニティは二人のやり取りを静かに見つめていた。


「それは…どうゆう意味ですか?」

「君の両親は確かに人間だ。だが、君は違う。」

「………………………。」

「普通。管理用等に機械達はプログラムを作る。それが何らかの欠陥や故障などによって削除されるとする。」


は今だ瞳を大きく見開き彼の言葉を聴いている。


「中には逃げ出すプログラムも居る。それがエグザイルと呼ばれている。」

「それじゃあ。私は…そのエグザイル?」

「ただ、君の場合製作者が人間だ。そして今回私は君の事を人間と思い連絡を取った。」

「…でも私の身体は…現実には無い…。」

「そうだ。」

「じゃあ私が今ここにいるのは意味が無いですね…。帰ります。」


立ち上がりかけていたの瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
様々な思いが彼女の中を交錯しているのだろう。
それにトリニティ、ネオも立ち上がる。


「待ってくれ!君は危険なんだ!」

「…不正プログラムだからって誰も攻撃なんかしませんよ。」

「そうじゃないの。貴方の存在は今までずっと守られていたの…強固なプロテクトに。」

「?」

「君の両親が…君を守る為にだ。」

「今回の事で貴方の存在が知られてしまった。」

「さっきのスミスも君を狙っている。それにこの世界にはエージェントという”削除”する者達が居るんだ!」

「エージェント…。」

「そいつらは君を見つけ出して殺そうとする。だから危ないんだ!君が!!」

「…ネオさん。私はプログラムなんでしょう?死‥ではないです。」

「っ…それは…。」


彼女の瞳から一滴の涙が流れた。


。君はプログラムであってプログラムじゃない…。俺達と同じだ。」

「同じじゃない…です。」

「感情があるだろ?」

「でも…それも作られた物なのでしょう?」


哀しげに問いかけるにネオは思わず視線を外す。
すると、モーフィアスが立ち上がりの前に行く。


。君は確かに人間ではない。だが、夫妻の娘であることに変わりは無い。」

「でもっ。」

「今まで生きてきた事は君が選び進んできた道だ。それは誰にも作られた物じゃない。」

「っ……。」


ポロポロと涙するの頭を優しく撫でる。


「君を預言者の元に連れて行く。」

「預言者?」

「彼女の元ならば君も安全だ。そして…これからの事について道を示してくれるだろう。」

「はい…。」


は瞳を擦りながらモーフィアスを見つめ笑みを浮かべる。
それを見たネオとトリニティも安堵したかのようにを見つめていた。














「でも本当に此処にその預言者さんが居るんですか?」

「あぁ。前に来た事があるんだ。」

「そう言えば、貴方のその話し方は癖なの?私達知らない仲じゃないんだしもう敬語は止めていいのよ?」

「そうだな…ずっと敬語なのもおかしいよ。」

「ぇ…でも…。」


今4人はチャイナタウンを歩いている。は人込みにはぐれないようトリニティと手を繋いでいる。


「日本人は礼儀正しいからな。」

「そうなのですよ。」

「無理かしら?」


隣を歩くトリニティに見つめられは俯き暫し考えると顔を上げる。


「それじゃあこれでいい?トリニティ。」

「えぇ。」


にっこりと笑ったにトリニティも笑みを浮かべる。
独り蚊帳の外にされてしまったネオは少々寂しげにモーフィアスを見やる。


「着いたぞ。」


モーフィアスの言葉には彼の指し示すドアを見つめる。
傍から見れば中国系の飲食店だ。
まさか本当に此処に?という顔のを無視してモーフィアスはドアを開けた。


「……久しぶりだな…セラフ。」


ネオが店内に独り座っている男に問いかける。
店に入るとはきょろきょろと辺りを見渡す。やはり外観と同じく店内も飲食店だ。


「…預言者から話は聞いています。貴女がさんですね?」


男は立ち上がるとの前に行く。
ネオとトリニティは慌てて二人に近づく。
過去の経験上この男が本人と確認する為に格闘を挑んでくる為だ。


「はっはい。そうです。」

「では、着いてきてください。」


簡潔に言うとの手を取り歩き出すセラフに呆気に取られた二人は顔を見合わせる。


「せっセラフ?今回は確かめないのか?」

「戦えない女性に挑むほど私は馬鹿ではありません。」

「そっそうか。ならいいんだが…。」

「貴方達は此処で待っていてください。」

「それじゃあ行ってきます〜。」


の明るい声を残し二人は奥の扉へ消えていった。



























後記

何というか俺が書くとネオはヘタレになるのだろうか??
モーフィアスの話し方が分らない…
そして専門用語も分らない(泣)




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