MATRIX-2
THE DREAM AND ACTUAL GORGE
【 2 】
「あの〜………。」
は困り果てていた。
絵の続きも描きたいが、自分の日々の”悩み”がもしかしたら分かるかもしれない。
だが、スミスという自分の腕を掴んでいる男と先程の文章を寄越したらしいアンダーソンと言う男。
腕を掴まれている為逃げるわけにも行かず、延々口論を続ける外国人二名を疲れた顔で見ていた。
「とにかくミス・を渡すわけにはいかん。」
「先に彼女を見つけたのは俺達だ!!」
「そんなこと私の知った事ではないな。」
「なにぃ!!」
「あの…スミスさん?」
は不意に自分の腕を掴んだままの男を見上げる。
スミスはに視線を向ける。
「なんだね?」
「あの、そのミスって言うの止めてもらえませんか?あんまり言われた事が無いので;」
余りにも場にそぐわぬ彼女の台詞に暫し二人は停止する。
「それでは如何呼べばいいんだね?」
「普通にでいいですよ。」
「そうか。分った。」
「はい。」
「…………。」
この子は天然だ…。
アンダーソン基、ネオは半ば呆れた視線をに向けていた。
しかもあのスミスに対して談笑している辺り大物だ。
「それではアンダーソン君。私も忙しいからな失礼する。」
「なっちょっと待て!?を置いてけ!」
ネオの言葉を無視して、スミスは行き成りを抱え上げる。
一瞬何が起こったかわからなかったは驚いたようにスミスを見つめる。
えっ‥?何でスミスさんの顔がこんなに近いの?
そう、まさに女の子の憧れお姫様抱っこの体制!
はそれを自覚した途端頬を桜色に染め俯いてしまう。
スミスはそれに気付き彼女に声を掛ける。
「如何したのだね?。」
「っ!?」
耳元付近で聞こえる低音に身体をビクリと震わせるとスミスは微かに笑みを零した。
慌ててスミスに近寄りを奪い返そうとするネオ。
「!!こっちに来るんだ!!」
「えっ…あっでも?」
「スミスは危険なんだ!!!早くこっちへ!!」
危険って…。全然そんな感じはしないけど?それに行きたくてもこれじゃあ行けませんよアンダーソンさん。
一人複雑な顔をしているを他所に二人の口論は先程よりも激しくなっていく。
と、其処に予想外の乱入者が現れる。
「〜?何して…なっ!!?」
「「「あっ…。」」」
其処に現れたのはの友人。
彼女からしてみたら『大男に誘拐されかけている』という風に写ったらしい。
また其れも仕方ない事だ。は平均よりも身長が低い。
それに比べて周りの二人は軽く180は越えているだろう。
「きゃああああ!!!!誘拐ぃぃぃぃいいい!!!!?」
「へ?」
「なっ!?」
一瞬その声に驚いたとスミスは声の主に視線を向ける。
とその時、ずっと隙を伺っていたネオが動く。
「きゃあ!!」
「っく!!?」
スミスの腕からを引き離すと後ろへ大きく飛び退く。
ネオはの身体をしっかりと抱え走り出す。
咄嗟の事で対応が鈍ったスミスも慌てて追いかける。
「卑怯だぞ。アンダーソン君!!」
「ボーっとしてる方が悪い!」
「ちょっちょっと待ってくださいよ!?」
人外のスピードで逃げるネオ。
そしてその後を追うスミス。
ただ其処にはの描きかけのスケッチと一人呆然と立ち竦む友人の姿があった。
「ちょっ!アンダーソンさん!!」
「俺はネオだよ。」
「ネオ?」
「アンダーソン君!!を帰したまえ!!」
「ちっ。しつこいな!?」
物凄いスピードで走るネオに必死にしがみつきつつ後ろを見るとまた凄まじいスピードで追いかけてくるスミスの姿。
「あの。これって一体??」
「ちゃんと説明するよ。それと…真実も…だから俺を信じて。」
「…分りました。」
「良かった。」
の返事を聞くとネオは笑みを浮かべ彼女をぎゅっと抱き締め高く跳躍する。
「きゃっ!!?」
「怖かったら眼を瞑って。」
「え?」
そういうとの身体を得も言えぬ浮遊感が包む。
「うっ嘘!」
まさか…これって…本当に?
飛んでる?
「えぇえ!!?なっネオさん!!何で飛んでんですかぁ!!?」
「だから怖かったら眼瞑っといていいよ?」
「嫌、怖いんじゃなくて何故重力やら推進力を無視して浮いて‥飛んでんですか!?」
「以外に現実的だな。 」
予想外に冷静な一面を見て感嘆するネオ。
下を見たは更に驚いた声を出す。
「たっ高い!!」
先程走っていた時はまだ大学内だったのだが、下は既に町など小さな点になっている。
もちろんスミスの姿も無い。
「怖い?」
「ぇ。怖くはないです…もちろん空なんて飛んだ事無いですけど。」
「そうだろうね。」
「へ〜…でも綺麗…。」
「…………。」
大分落ち着いてきたのかもしくは吹っ切れたのかはしげしげと周りの景色を見渡す。
彼女の姿にネオは少なからず驚いた。余りの落ち着きように。
暫くして、二人は高層ビルの上に降り立つ。
「うわ〜…すごい…。」
屋上から辺りを楽しげに見渡すを見ながらネオは携帯を取り出す。
「リンク。モーフィアスはいるか?」
『あぁ。居るよ。』
『無事保護出来たか?』
「今の所は…だけど、スミスが居た。」
『こっちも確認した。』
「は赤いピルを選ぶと思う。の身体は?」
『ちょっと待ってくれ。リンク。』
『今やってますっ。』
「見つかったか?」
『これは!!船長此れを見てくれ!』
『なっ何だこれは…。』
「如何したんだ?」
電話から聞こえてくる珍しいモーフィアスの焦った声音にネオは首を捻る。
『一体…。』
「分るように言ってくれ。」
『あぁ‥すまない。ネオ、落ち着いて聞いてくれ。』
「なんだ?」
『・の身体が”無い”んだ。』
「なんだって?」
『だから!!の身体が何処を探しても見つからないんだ。そんな人間居ないんだよ!』
「如何いうことだ?」
『ちょっとまってろ…。こりゃあ……。』
『これは……まさか。』
「何なんだ?」
『ネオ…は精巧に人間に似せて作られた…プログラムだ。』
「何を言ってるんだモーフィアス‥!!あんたが言ったんだぞ?を連れて来るようにって。」
チラリとに目をやると、彼女もネオの声に気付き此方を見ている。
『確かにそうだ。だが、彼女は存在しないんだ。』
「ちゃんと調べたのか?」
『隅々まで調べたよ。でも・という名の女の子は居ないんだ。』
「そんな…。」
『でも、プログラムにしては余りにも人間らし過ぎる。』
『これは…の設計者は日本人だ。ネオ、に家族の事を聞いて見てくれ。』
「分かった。!!」
ネオは携帯を下ろすとに手招きする。
「なんです?」
「今から二、三質問するから、正直に答えてくれ。」
「はい。」
「君の家族は?」
「…私が高校の時に父と母も死にました。交通事故で…。」
「………すまない。」
「いいえ。」
『如何だ?』
「の家族は死んでる。」
『やはり…な。』
「どういう意味だ?」
『彼女が”目覚め”始めていることは大分前に分ってたんだ。だけど、見つからなかった。』
『何故、彼女の元にエージェントが行かなかったか分かるか?』
「それは…だが、スミスは?」
『奴はもうエージェントじゃない。別の目的で彼女を欲している。恐らく我々からのコンタクトで感知したのだろう。』
『つまり彼女の存在は厳重にプロテクトされてたんだ。』
「何の為に?」
『彼女を守る為だ。』
『彼女の死んだ両親のことが分った…これは他の艦のデーターだ…。』
「それで?」
『彼女の両親は確かに人間だ。でも…死んでる。』
『別の艦の者が目覚めさせに行った様だが、彼らは気付いていた。仮想現実に。』
『そして、彼等はを作った。自分達の娘として。』
『…………機械が作ったプログラムでは無い。』
「人間が作った最も人間らしいプログラム…。」
『彼女の両親はエージェント達に殺されてる。』
「そんな…それじゃあは…。」
『連れてくる事は出来ない。…彼女はマトリックスの中でなければ生きられない。』
後記
何か前半スミス夢ぽくなってたような…というかスミスさん間違ってる色々;;
あぁ〜;;;しかも何か主人公さんが;;
色々難しくなってる(お前のせいで)
というかキャラの話方が分らん(泣)
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