MATRIX-17






THE DREAM AND ACTUAL GORGE
【 17 】
























「我々が此処にいるのもまた、運命なのだ。」


モーフィアスの発言が終わり部屋に静寂が落ちる。
ナイオビ達の活躍もあり何とか無事にキーメイカーを得ることが出来たザイオン。
今はとあるビルの一室にて、キーメイカーの話しを聞きつつ今後について話している所だ。
部屋には3隻の船長、モーフィアス、ナイオビ、ソーレンの他に、各クルー達がいる。
静寂の中壁際に立っていたトリニティはしきりに不安げな顔をしていた。


「トリニティ。は大丈夫だよ…。」

「でも…。私があの時手を離さなかったら…っ。」


ネオはそっとトリニティの肩を抱く。
彼女の腕にはの白いロングコートが抱かれている。
すると、その時。


カチャッ。


「ん?あっみんな?」

「「っ!!!」」

「うわっ!?とっトリニティ!?」


ドサッ


ドアを開けて暢気な声を出したにトリニティは思いっきり飛びついて抱き締めた。
は咄嗟の事で支える事が出来ずそのまま倒れてしまう。


「あぁっ!!よかった…私…あの時手を離してしまったから…っ!」

「だっ大丈夫だよ。ツインズと話がしたかっただけだしっう;;ちょっとっトリニティ絞まってるっっ;;」

‥よかった…モーフィアスの話だとあの白い奴らに連れ攫われたって…。」

「っえ!?」


なんとかネオに助け出され今だトリニティを背におぶさりながら(!?)
彼の言葉に眉間に皺を寄せる。
どっしりとソファに座ったモーフィアスにじりじりと近寄る。
彼の目の前まで来るとはニッコリと笑った。
ただし…その笑みは翼の無い天使を髣髴とさせるほど黒かった。


「モーフィアス?どうゆうことかな?」

「っ!!?」


モーフィアスの頬を冷や汗が流れる。


「いっいや‥それはだな…。」

「なに?」

「それより…彼女の説明をしてもらえないかな?」

「ぁ…。」


が振り返った先には長身の男性。
ビジラント号の船長ソーレンの姿。
は彼の声に振り返ると改めて回りを見渡した。
すると、見知った人物に気付き彼の名を呼ぶ。


「ゴースト?」

「彼女は前に話した特別なプログラムだ。」


彼女がゴーストの元に行くより早く立ち直った(笑)
モーフィアスが彼女の後ろから浪々と響く声で皆に語りかけた。


「前に話した通り彼女は最も人間に近いプログラムだ。そして我々は彼女を第二の救世主だと考える。」

「第二の救世主とはどうゆう意味なの?」


ナイオビがモーフィアスに問いかける。
モーフィアスはにやりと笑みを浮かべる。


「ネオが人間の救世主だとすれば彼女は機械達の救世主だ。」

「それじゃあ敵じゃない。」

「言っただろう。は人間と変わらないんだ彼女は共生を望んでる。」

「…は人間よりも人間らしさを持っている。」


ナイオビの言葉にネオとゴーストが即答する。
ナイオビは自身の隣に居る最も信頼を寄せるクルーの言葉に驚きを見せる。


「ゴースト‥貴方‥最近良く一人で出かけてると思ったら…まさか。」

「あぁ。彼女と会っていた。」

「なっ!?」


ゴーストの言葉に顔色を変えるのはネオとトリニティだ。


!本当なの?」

「ぇ?あっうん。よく話をしに来てくれたよ。」

「何時のまにっ……。」

「油断も隙も合ったもんじゃないわね‥。」


ネオとトリニティはサングラス越しに何処か恨みがましくゴーストを睨む。
ともかく話し合いは既に終わった後だったので各々が各自で話し始める。
はというと件のゴーストとの元へ駆け寄っている。


「ゴースト!」

…ネオ達の話じゃメロビジアンの部下に捕まったと聞いたが…。」

「ツインズの事でしょ…全く捕まって無いっての!!」

「無事だったんだな‥。」

「うん。あの後ちょっとセラフの所に行ってからこっちに来たから…あっゴーストは何をするの?」

「俺は発電所に行く。」

「そっか…私どうすればいいんだろう…。」

「トリニティに聞いたら分かるだろう。」

「そうだね!……もしかしたら今日終わるかもしれないんだね…。」

「あぁ‥そうだな。」


はやや俯きながら話す。
彼女の様子にゴーストは首を傾げる。


「如何かしたのか?」

「ううん……もし、この戦争が終わったら。みんなはもうこっちには来ないのかなって‥。」

「………。」


彼女が示唆しているのはこの先の未来の事。
彼女はどんなに人間と同じと言ってもやはりプログラムだ。
もしこの戦いが終わったら彼等。
つまり、ザイオンの目覚めた者達はもう此処には来ないのではないかと考えていた。
やはり寂しさがあるのだろう。
兄や姉の様に慕うネオやトリニティ。
父親のようなモーフィアス。
そして、友となったゴースト。
ゴーストは彼女の頬を両の掌で包み上を向かせる。
案の定彼女の大きな瞳は少し涙で潤んでいた。
ゴーストは純粋に涙に濡れた瞳を美しいと感じた。


「ぁ……。ゴースト?」

「そんな心配するな。」

「でも……。」

「ネオやトリニティは止めてもこっちに来るさ。が居るんだからな。」

「そうかな…。」

「忙しくはなるだろうが来るだろう。」

「…ゴーストも?」

「あぁ。もちろんだ。また、お茶を飲みに行く。」

「ぅん…。」


は涙を零しながらも花のような笑みを浮かべ彼に抱き付いた。
自身よりかなり小柄な彼女を抱き止めながら彼もまた、笑みを浮かべた。


「ゴースト。そろそろ行くわよ。」

「あぁ‥。」


一連を見ていたナイオビが声を掛ける。
それに彼も頷き彼女をそっと離す。


「それじゃあ俺は行く。」

「うん…気をつけてね?」

「あぁ。必ず帰ってくる。」

「うん!」


彼女の頭を軽く撫でて彼はナイオビと共に部屋を出て行った。

















「ゴースト。貴方…あの娘が好きなの?」

「…なんでそんなこと聞く?」

「見ててかなり以外だったから‥。」

「確かにそうだな。」


隣を歩くナイオビは彼の言葉に苦笑する。
銃器のエキスパートであり、沈着冷静な彼がまさかあんな行動をするとは思わなかったのだろう。


「やっぱり如何見てもあの娘、人間にしか見えないわね。」

「そうだろう?」

「えぇ。トリニティとネオの反応見てても思ったわよ。愛されてる。そして貴方の反応もね。」

「……。」


ゴーストは軽く笑う。
ナイオビもまた笑みを浮かべた。


「にしても、以外だったわ貴方って結構ロリコンなのね。」

「………彼女はあれでも19歳だが?」

「えぇ!?」
































後記

何とか一段落付きましたね〜。
う〜ん…ゴーストとの会話の時トリニティとか如何してたんだろう(笑)
次で書こうかなぁ(笑)
さてさてどうなりますことやら。




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