MATRIX-16
THE DREAM AND ACTUAL GORGE
【 16 】
はツインズの運転する車に乗せられて近くの廃屋へやってきた。
其処に壊れかけの扉がある。
「ありがとう!」
「あぁ…。」
「気をつけてな…。」
「あっ…メロビンジアンさんに怒られない?今度ちゃんとご挨拶に行くからって言っといてね?」
「まぁ…マスターは仕方ないさ。」
「ちゃんと伝える。また会おう…。」
「うん!絶対にまた会おうね!」
は彼等から離れると扉にゆっくりと鍵を差し込んだ。
カチャリと小さな音がして扉を開ける。
「それじゃあね。」
「「あぁ。」」
はもう一度ツインズを振り返り彼女独特の花のような愛らしい笑みを見せた。
扉の中に消えていく彼女を見ながら完全に扉が閉まるとツインズはお互いに向き合って溜息を付いた。
「あぁは言ったが…やはり寂しいな…。」
「全くだ…こんなことなら縛ってでも連れて行くべきだったかも…」
「に嫌われてもいいのならな。」
「それが一番嫌だ…。」
白い双子は苦笑するとゆっくりとその場を離れていった。
カチャリ…。
「…そういえば帰りたい場所って…何処だろ??」
セラフの居るオラクルの家?
それとも…何処に居るのか知らないけどモーフィアス達の所??
はバックドアを歩きながらふと考えた。
「まっいっか。」
は適当に近くの扉に近寄ると再度鍵を差込開けた。
カチャリ‥。
「?」
「セラフ?」
「如何したんですか?救世主達は?」
「あ〜…それがね…;;」
はとりあえず部屋に入ると彼の促すベットに座った。
どうやら彼女が入ってきた部屋はセラフの自室だったようだ。
彼女は今までの経緯をセラフに話した。
「それでは彼等が何処に居るか分からないんですか?」
「うん…でもキーメイカーさんに貰った鍵があるからこれで行けると思う。そういえばオラクルは?」
「部屋に居ると思います…。」
「そっか…。」
はセラフが持ってきてくれたお茶を飲みながら少し考える。
キーメイカーの言葉の意味を…。
「ねぇセラフ。」
「はい?」
「私に何が出来るのかな…。」
「?」
「特別な能力なんてないし…本当に皆の役に立つのかな。」
は思い悩む事があるのか両の手で包んだ茶を虚ろ気に見つめる。
セラフはふと溜息を付くと彼女の隣に座る。
「能力は関係ありません。貴女は貴女らしくあればいいんです。」
「私らしく?」
「えぇ。」
彼女は隣に居るセラフを見上げ問いかける。
「私は此処に居てもいいんだよね?」
「えぇ。居てくれなくては困ります。」
「ぁ…セラフ…。」
セラフは笑みを浮かべると彼女をそっと抱き締めた。
はお茶を零さないようにしつつも彼を見上げたまま笑みを浮かべる。
「少なくとも私には貴女が必要です。」
「うん…私もセラフが必要だよ…。ありがとう。」
「あら。帰ってたのね。」
「オラクル!!?」
ドアの所にオラクルが立ち此方をニコニコと見ていた。
は今の現状に気付き真っ赤になるとセラフから離れようとする。
だが、それをセラフは押さえ込み更にギュッと抱き締める。
「せっセラフ////」
「フフフ…セラフは貴女が行ってからとても心配してたのよ?もう帰ってこないんじゃないかって。」
「ぁ…。」
オラクルの言葉にはセラフを見上げる。
彼は彼女からの視線を避けるように目線を逸らす。
オラクルは笑い声を漏らしながら彼女達に近寄る。
「決断は付いたのかしら?」
「うん…。私は私らしく出来る事をやる!それだけだよ。」
「えぇ。そうね。貴女は貴女らしくそれだけで十分よ。さぁ…そろそろモーフィアス達が貴女を待ちわびている頃だわ。」
「あっそうだった!」
セラフは彼女を抱き締めていた腕を離し立ち上がる。
もお茶をサイドテーブルに置くと鍵を取り出す。
「気をつけて…。」
「うん。いってきます!」
セラフの言葉に彼女は笑顔で返すと入ってきたドアから鍵を使って出て行った。
彼女の出て行った扉を無言で見つめるセラフにオラクルはそっと近寄る。
「迷いは消えたようね。」
「はい。」
「あの娘は強い子だわ。心も…そして意思も。」
「は…無事に帰ってきますか?」
「それは分からないわ…此れから起こり得る事は誰にも予見できない。」
後記
そのまま直行でモーフィアス達の所にと考えたんですが…。
時間的にまだ話し合ってる所じゃないかと思って預言者の元へ行っちゃいました。
まぁさんも色々と悩んでいたんでしょうね。つまり帰りたかった場所は第二の家族のような存在だったんでしょうか。
なんだかセラフ夢のような気がする…(笑)
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