MATRIX-11
THE DREAM AND ACTUAL GORGE
【 11 】
「ツインズのマスターがメロビンジアンさんだったんだね。」
「あぁ。まさかが此処へ来るとはな。」
「あいつらと連るんでんのか?」
ツインツーの膝の上に乗りながらツインワンの差し出したジュースを飲みつつネオ達の会話に耳を傾ける。
「そういえば、今日はえらく服装が違うな‥。」
「あ〜…これ…。トリニティが作ってくれたの。」
「トリニティって?」
「あの女?」
「うん!あっ‥そういえば私のコートも白いや‥お揃いだね〜。」
「そうだな。」
「確かに。」
無邪気に笑みを浮かべるにツインズも薄く微笑む。
「ん〜…キーメイカーさん渡してもらえない見たいだねぇ…。」
「キーメイカーに用があるのか?」
「うん。」
ことさら大きなトリニティの声が響いた。
「そんなことできるわけないわっ!!」
「おやおや…。キーメイカーが必要なのだろう?悪い条件ではないはずだ。」
思わず、ツインズとも会話を止めメロビンジアンとネオ達を見据える。
「簡単なことだよ。私は彼女が欲しい。…ただそれだけだ。」
「駄目だ!彼女は…俺達の仲間だ!」
「……仲間?君らより我々の"仲間"だと思うがね。」
メロビジアンは語気を荒げるネオとトリニティに口端を上げにやりと笑みを浮かべる。
ネオは眉を寄せモーフィアスを見る。今まで言葉を発しなかった彼は視線をへ移す。
「…はどう思う?」
行き成り話を振られたはツインツーの膝の上できょとんとメロビジアンとモーフィアスを見る。
「えっと?」
「…聞いてなかったのか;」
「…ごめん。」
「メロビジアンはキーメイカーの代わりにが欲しいと言っている。」
「私?」
「そうだ。」
「役に立ちませんよ?」
「いいや。我々が作った物ではない…純粋な人間が作ったプログラム…実に興味深い。」
そう言うとメロビジアンはにっこりと笑みを浮かべる。
は首をかしげる。
「う〜ん…。別に構いませんけど。交換にキーメイカーさんを渡してくれるんですよね?」
「無論だ。」
「!!何をされるか分らないのよ!!」
「そうだ!信用できない!」
口々にを止めようと必死だが、当の本人は場に相応しくない能天気さで笑みを浮かべる。
「大丈夫だよ。それにツインズも要るし。」
「…本当にそれでいいのか?」
モーフォアスは彼女の瞳を見つめる。
は真っ向からその瞳を見据え笑みを浮かべる。
「私は大丈夫です。」
「結構。ではキーメイカーだが‥。」
込み入った話になり始めたのではまた目の前のジュースへ視線を向ける。
ツインワンはを見、眉を顰める。
「あんなに簡単に決めてよかったのか?」
「うん。だってキーメイカーさんが居ないとどうしようもないもん。穏便に済むんならそれが一番だし。」
「お前、マジで能天気だな。」
「そうかな?あっ…でもセラフが怒るだろうなぁ…」
「「セラフ!?」」
「どうしたの?」
「いっいや…。」
「はそいつと知り合いなのか?」
「うん。家族みたいなものかな?」
「「………。」」
「???」
黙り込んだツインズを気にしつつもこくこくとジュースを飲み干していく。
メロビジアンが立ち上がり、どうやら話は終わったようだ。
ツインズも立ち上がり、膝の上のも立つ。
すると、トリニティとネオがの元へやってくる。
「…貴女を引き渡すなんて…」
「大丈夫だよ。…まさか殺されはしないでしょう?」
「だからって…それにオラクルやセラフは如何するんだ…。」
「オラクルは大丈夫…セラフには…謝っておいてくれるかな?暫く帰れないからって。」
「(暫く?…)」
ネオはの言葉に引っかかる。
暫くということは…そうか。キーメイカーを得たらを取り返せばいいんだ。
ネオはトリニティの耳元でそっと自分の考えを囁く。
トリニティはその言葉を聴いてこっくりと頷くとをぎゅっと抱き締める。
「私達が居ない間…気をつけるのよ?」
「うん。」
「特にあの男…女に見境無さそうだし。」
「へ??」
「なんでもないわ。」
「そういえば。キーメイカーさんは?」
「後日居場所を教えるそうよ‥胡散臭いけど。」
「私如何すればいいのかな?」
「…あっちの言い分を飲まなければいけなかったんだ。」
「は此処に残るの。メロビジアン達と…。」
「そっか…分かった。」
後ろに立っていたツインズに振り返るとぺこりとお辞儀をする。
「じゃあ色々宜しくお願いします!」
「「あぁ。」」
それから、ネオ達をエレベーターまで見送ると、席に戻った。
両隣に腰掛けているツインズを見上げ疑問を口にする。
「思ったんだけどさ…。」
「どうした?」
「何だ?」
「メロビジアンさん遅いね…」
「そうだな…。」
「それにあの綺麗な人も居ないよ?」
「マダムの事か?」
「マダム?あぁメロビジアンさんの奥様?」
「そうだ。」
「そういやぁ居ないな‥。何処行ったんだ?」
何故かパーセフォニーの姿が無い。
はふぅと溜息を付く。
それに反応し二人は顔を見合わせの顔を覗き込む。
「どうした?」
「腹が減ったのか?」
「ううん。ってツインツー!人を子供扱いするな!」
「…子供だろ‥。」
「どうかしたのか?」
「うん‥あのね。メロビジアンさんは何で私が良いって言ったのかな?」
「なんだ?」
「だってネオみたいに空飛べないし、モーフィアスみたいにすごい身体じゃないし…トリニティみたいにセクシーじゃないもん。」
の言葉にツインズは思いっきり噴出す。
口元を押さえて笑う二人にむっとした顔で睨む。
「なに―?」
「アハハ…嫌。すまない。まさかそんなこと考えていたとはな。」
「確かにはどれにも当てはまらねぇな。特にセクシーってのは。」
「む〜…分かってるもん!どうせ幼児体系ですよ〜。」
は頬を膨らませ俯く。
ツインワンはの肩に手を置き、ツインツーは彼女の顔を上げさせる。
「マスターはそんな理由でお前を欲しがったんじゃないさ。」
「そうそう。の能力ってのはまだ未知数なんだろ?」
「それに特別なプログラムだからな。」
「それって珍しいからじゃないの?」
「そうなるかもな。」
「安心しろよ?怖いことなんてないから。」
「うん…。」
それからメロビジアンが帰ってくるまで必死に彼女を励まし続けたツインズ。
彼等をメロビジアンが物珍しげに影から覗いていた事は知らない。
そして、一人の部下が駆け込んでくるのもそれから少ししてからだった。
後記
難しい話は飛ばしてしまいました。とりあえず帰ったらセラフ怖いだろうなぁ…。
にしてもメロさんの喋り方わからねぇ(笑)
そしてマダム話してないな…。
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