MATRIX-10
THE DREAM AND ACTUAL GORGE
【 10 】
「ん……。あれ?……私……。」
昨日眠れなくて…起き出したらセラフがお酒飲んでて…。
珍しいなぁとか思って…それで…え〜っと…。
「いつ布団に入ったっけ?」
「?」
「ぇ?」
そう言えば…妙に身体が暖かい。
背中に回されてる腕は…今しがみ付いてるコレは……まさか?
「せせせせっセラフ?」
「おはようございます。」
は恐る恐る声のした方‥つまり自分の頭の上に視線をやる。
其処には想像した通りサングラスを掛けたままのセラフの姿。
途端には耳まで真っ赤になるとわたわたと慌てだした。
「なっなぁ何でセラフが一緒に寝てんの!?」
「……憶えてないんですね。」
「うわ〜〜!!なんでぇ!?」
「貴女が離さなかったんですよ。私の服を。」
「ぁ……。」
いまだにしっかりと握っていた彼の上着をまじまじと見つめ慌てて手を離す。
真っ赤になって俯いてしまったにセラフは笑みを浮かべる。
「思い出しましたか?」
「ぅっ…うん。ごめん…。」
いいえと言うと彼は昨晩したように彼女の額にそっとキスをするとゆっくりと起き上がる。
「っ。」
「先に行きますね。身支度を整えてから来てください。」
「はっはい…。」
何事も無かったかのように部屋を出て行くセラフの背を見ながらは真っ赤な頬を自身の手で押さえた。
「せっセラフ…まだ酔ってる?」
兄のような存在の彼を。
はじめて一人の男性と意識した瞬間だった。
(今まで意識もしてなかったのだろう)
「あら。どうしたの?顔が赤いわよ?」
顔を洗い着替えたが部屋に入ってくるとオラクルは彼女の顔を見て問いかけた。
「べっ別になんでもないよ。」
「。」
「はっはいぃ!?」
「?…朝食が出来ています。」
「あっうん…。」
「……(全くセラフも行き成り過ぎるわよねぇ…。)」
しっかり彼女が憔悴しきっている理由を知っているオラクルだった。
恐らくの事だから暫くすれば何時も通りになるだろうが‥。
「あぁそうだわ。。お客様よ。」
「え?」
「久しぶりだな‥。」
「モーフィアス!トリニティ!!」
はテーブルから駆け出しばふっとモーフィアスに抱きついた。
彼は彼女を軽々と抱えまるで自分の子供にするかのように頭を撫ぜた。
「何時来たの?」
「ついさっきよ。貴女が寝ていたから…。」
「ごめんね…って!?」
「…どうしてあんな事になってたのかは聞かない方がいいかしら…。」
「?…何の話だ?」
「あははは…聞かないで下さい。」
何気に目付きの怖いトリニティに怯えつつもネオの姿を探す。
「あれ?ネオは??」
「彼ならさっきキッチンにいたはずよ?」
「ふ〜ん…。あっちょっとまってて。ご飯食べるから!」
「えぇ。」
モーフィアスに下ろしてもらったはパタパタとテーブルへ走る。
そんな彼女を見て二人はオラクルと共にソファに腰掛ける。
は椅子から身を乗り出し二人に声を掛ける。
「昨日ケーキ作ったんだけど、ちゃんと二人の分も取っといたから今の内に食べちゃって〜。」
「えぇ。ありがとう。」
「それじゃあ私が持ってくるわ。」
「すまない‥。」
「さぁ着替えましょうかv」
「ぇ…。何で?」
「どうせなら合わせたいじゃない!」
「えぇ!?別にいいよ〜黒尽くめは嫌だぁ〜!!!」
食事も終わったは早速待ってましたとばかりにトリニティに腕を捕まれ部屋に引きずられて行った。
そのさまをみてた他の四人はいつもの事と言わんばかりにお茶を飲んでいる。
「彼女えらくご機嫌ね?」
「はスカート履かないからな…」
「篭って作っていたようだ。」
「あら。それなら期待できるかもしれないわね。」
暢気に会話している四人を他所にさくさくと着替えさせられたがトリニティに引かれながら出て来た。
「みんな!見てちょうだい!!」
「ぅう…恥ずかしい。」
彼女の衣装は黒尽くめではなかった。
白いレザーのロングコート、中には黒のタンクトップ。
そして下はやはり黒のホットパンツ。
丈の短いズボンから伸びるベルトがブーツに固定されている。
全体的にレザーを使っている為ハードだが、白いコートのおかげで重過ぎない。
「へ〜…いいじゃないか。スカートじゃないし。」
「でも…丈が短いよ。」
「似合ってるぞ。」
「そうね。可愛いわ。」
「……………。」
「セラフ?」
各々感想を言う中でセラフだけがを凝視して固まっている。
彼女は不安気に問いかける。
「…丈が短いですね。」
「うん‥。」
「でも良く似合っていますよ。」
「ほっ本当?」
「えぇ。」
隣に居たネオは珍しくセラフの顔が赤くなっているのに気付いて驚いていた。
この男もこんな顔をするのかと‥。
「それよりは掛けないのか?」
「なにを?」
「これよ。」
「うっ…。」
トリニティが指差すものはそうトレードマークと言ってよいサングラス。
彼女は時に良く思う。何故自分の知り合いはサングラスをみんな掛けているのかと;
「そんなの掛けたら見えにくいからいらないよ。」
「でも顔を知られてしまうから掛けた方がいいんじゃないかしら?」
「おっオラクルまでっ;;」
「の為にちゃんと用意したのよ?」
「うぅ…。」
トリニティが差し出したのは黒いレンズではなくグラデーションのかかった紫色のサングラスだった。
デザインはシャープなのだが、しっかり彼女用に作ったらく何処と無く優しげだ。
は渋々それを手に取り掛ける。
「よかった!良く似合うわ‥。」
「まぁこれなら。まだ見えるからいいけど…。」
そのサングラスは色があまり濃くないため彼女の瞳が見える。
の準備が整ったのでモーフィアスとネオも立ち上がる。
「それではそろそろ行くとしよう。」
「そうだな‥の準備も出来た事だし。」
「行きましょうか。」
は座ったままのオラクルの元へ行く。
「オラクル。ちょっと行って来るね。」
「えぇ。気をつけて…それと。」
「?」
「貴女は自分の選んだ道を行きなさい。」
「…うん!」
ネオ達はオラクルに礼をすると部屋を出て行く。
最後まで彼女と話していたも立ち上がる。
すると其処にセラフが近寄ってくる。
「…。気をつけて。」
「うん。大丈夫だよ?ちゃんと帰ってくるから。」
ふと、セラフは思い出していた。
メロビンジアンの元へ行く…つまりそれは必然的にあの白い双子と出会ってしまう。
彼はをギュッと抱き締める。
「せっセラフ?」
「白い双子には十分気をつけて…。」
「っツインズのこと?」
「えぇ。」
「??分かった…。じゃあいってきます!」
彼の腕を離れ部屋を出て行く。
そんな彼女をセラフは不安気に見つめていた。
「それにしてもメロビンジアンさんってお金持ちなんだね〜。」
「そうだな。」
「私こんなとこ来たこと無いよ。」
「俺もだ…。」
今4人はメロビジアンが今現在居るとされるレストランを目指してエレベーターに乗っている。
暫くすると軽い音共に止まる。
「中もすごいね…。」
「本当だな…。」
何事かモーフィアスが前の男と話すと一向はその男について店内へと入っていく。
一般市民が見ることが出来ないような美しい装飾の店内。
恐らく此処に来る客も相当身分の高いものたちだろう。
先にモーフィアスとトリニティが歩きその後ろをネオとが付いていく。
一際豪華なテーブルに複数のガードを付けた夫妻がいる。
「ねぇネオ。あの人がメロビンジアンさんかな?」
「そうだろうな。」
四人が席に近づくと彼は仰々しい態度で迎えた。
フランス語を流暢に話し一人一人の顔を見ていく。
「おや…まさか…君は…。」
「ぇ?」
メロビンジアンの瞳がネオの後ろに隠れるように立っていたに注がれ彼が何事か言おうとした時。
「「!!!」」
「は?」
思いっきりはもって名前を呼ばれ其方を向くと、何時ぞや出会った白い双子の姿。
彼等を見たはぱっと緊張した顔を消して笑顔になると彼等の座るソファに駆けて行く。
「ツインズ!!」
「やっぱり会えたな。」
「本当だな。」
奥に座っていたツインツーに飛びついたの頭を撫ぜながらツインワンは笑みを浮かべる。
と、そこで固まっていた他の面々がはたと動き出す。
「(なっなんではあいつらのことを知ってるんだ?)」
「(そんなの知らないわよっ。あいつら早くから引き離さないとっ!)」
「(話が進まん(泣)」
アイコンタクトで会話するネオとトリニティ。半ば泣き出しそうなモーフィアス。
「(こいつ等があんなに感情を出すとは…。)」
「(あの娘は誰かしら?)」
何時に無く表情豊かな双子をしげしげと見つめるメロビンジアン。に興味津々のパーセフォニー。
ゴホンッ。
「ぁ;;」
「どうやらお嬢さんは彼等と知り合いらしい…。」
「すいません;」
「話は聞いているよ…君だったかね?」
「はい。始めましてメロビンジアンさん。」
彼の言葉に律儀に頭を下げ笑みを浮かべる。
ただしツインツーの上に居るのでそれも少しおかしいが。
「!こっちに来て。」
「え…でも…。」
しっかりの腰に腕を巻きつけているツインツー。
トリニティの額に目に見えて浮かぶ青筋。
それを見てかメロビンジアンは面々に腰掛けるように促す。
ようやくキーメイカーを巡る話が始まった‥。
後記
長いっ;;;予定ではもうちょっと先にまで行くつもりがぁ;;
映画裏覚えなんでいまいち‥もっかい借りてこよう。
バリバリオリジナルですがお気になさらず〜
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