破天荒なりし無垢なる女神
破天荒なりし無垢なる女神
Act.3 晴れ渡る空は女神の心の如く
「さん?食事の用意が出来ましたよ。」
「あっはい!」
は赤屍に呼ばれ寝室を出る。
彼の後に付いて行きダイニングへと向かう。
やはり寝室同様リビングやキッチンもシンプルで物が少なかった。
モノトーンにまとめられ生活感の無い部屋の中で白いローテーブルに視線が止まる。
湯気立つ温かな料理の数々。
ポタージュスープにサラダ、白いプレートに盛られたご飯に。
チキンの香草焼き。は感嘆の声を上げ隣に佇む赤屍を見上げる。
「わぁ…すごいですね!赤屍さんお料理お上手ですね…」
「いえ、それほどでも。さぁどうぞ。」
「あっはぃ。」
椅子を引き促す彼に従い静かに腰を下ろした。
反対側の席に座りながら赤屍の視線は嬉しそうなに向けられる。
は早速料理を食べ始めた。
「いただきます!」
「お口に合えば良いのですが…。」
少し不安げな彼は彼女の様子を伺うように見据える。
料理を一口食べたの顔はみるみる笑みへと変わる。
「うっわぁ!!おいしいです!」
「…それはよかった。」
嬉々として料理を食べていくに赤屍も嬉しそうに笑った。
暫く無言で食べ続け殆どの料理が無くなり始めて赤屍が口を開いた。
「それにしても…誰かと食事を共にする事がこれほど心地よいとは思いませんでした。」
「?」
「貴方のお陰ですね。」
「そんな…お世話になってしまって…。」
丁度食べ終わったは箸を置き彼を見た。
「そういえば…今後の事お考えですか?」
「あっ。はぃ…私この世界の戸籍とかないので仕事とかどうしようかと…。」
赤屍も箸を置き彼女の話を聞く。
少し困ったような顔の彼女の穏やかに微笑んだ。
「戸籍の心配はありませんよ。作ろうと思えばどうとでもなる。」
「そうなんですか…?」
「仕事ですが…さんは戦闘は大丈夫ですか?」
「へ?あっまぁ…一通りならなんとか。」
「私の仕事のパートナーになっては下さいませんか?」
「えっ…赤屍さんのお仕事って…お医者さんじゃないんですか?」
「えぇ。医者もしていますが、副業で運び屋もやっています。」
「運び屋…?」
は聞きなれない言葉に小首を傾げる。
彼女の様子に微笑みながら赤屍は運び屋や裏家業について説明した。
「はぁ…つまり影のお仕事ですね。(ドラマみたいだ…)」
「えぇ。この仕事は危険ではありますが収入もよいですし…私がフォローします。」
「そうですね。えっとそれじゃあぜひお手伝いさせて下さい!」
赤屍は彼女の言葉ににっこりと笑った。
「えぇ。此方こそ。」
「あの……えっと…。」
は少し言いずらそうに俯く。
彼女が考えている事は住居のことだ。
意識が戻った今ずっと赤屍の元で世話になるわけにも行かないと彼女は考えていた。
だが、今現在彼女は所持金が全く無い…。
赤屍は彼女の意図を察し苦笑した。
「貴方さえ良ければずっとここに居ても構いませんよ?」
「えっ!?でっでも…。」
「使っていない部屋もありますし。私もさんが居て下さった方が嬉しいです。」
「……暫くお世話になります。」
「はい。」
穏やかに紡がれた彼の言葉には少し頬を染め深々と頭を下げた。
赤屍は立ち上がり皿の片付けを始めた。
「あっ手伝います!」
「座っていて下さい。…ね?」
「はぃ…。」
はもう一度椅子に座りキッチンへ向かう赤屍の背を見つめた。
「…………。」
お世話になりっぱなしだな…。
それにしても赤屍さんが…裏家業…?
あんなに穏やかそうなのに…??
「さん?」
「あっはぃ!」
「どうしました?」
「あっいぇ…。あの!」
「はい?」
「私一通り家事とか出来ますから。あの…ご迷惑でなければ家事をやらせてもらえませんか?」
赤屍は驚いたようにを見下ろす。
「それ位しか出来ないから…。」
しゅんと項垂れてしまったに赤屍は微笑むと彼女の頭を優しく撫でた。
「それではお願い出来ますか?」
「はい!」
はぱぁっと顔を上げると嬉しそうに微笑んだ。
後記
なんだか赤屍さんが偽者くさいですが…。
このストーリーで他のキャラが出るのか…謎だ。
次はお仕事編とでもしましょうか。
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