DEATH NOTE




































Eight Story

「皆さんに紹介したい人が居ます。」

「一体誰なんだ竜崎。」


夜神はLの言葉に訝しげに眉を顰める。
他の捜査人も不思議そうに彼を見ていた。
Lはそんな彼等の視線も全く気にせず言葉を紡ぐ。


「過去。私に助力して頂いた方です。」

「それは凄い人なんでしょうね!!」


捜査人の中でも若い松田は顔を輝かせる。


「それでは…。入ってきてください。」

「はい。」

『…(女性?)』


Lの呼んだ名前と入り口から聞こえた愛らしい声に面々は顔を見合わせた。
静かに部屋に入ってきた彼女に驚きの視線が集中する。


「始めまして。と申します。よろしくお願いします。」


Lの隣に立ったはメンバーに向かい丁寧に礼をした。
呆然と彼女を見つめていた夜神ははっとしたようにLを見る。


「りゅっ竜崎…彼女は…まだ未成年じゃないか!?」

「…ほら言ったでしょう。童顔だって。」

「しっ失礼な…Lだって童顔でしょ!」

「私は普通です。……因みに夜神さん彼女は成人しています。」


淡々と何時もの口調で話しながらもどこか楽しそうなLに周囲はただただ驚くばかり。
とLはかなり身長差がある為今も彼女の頭を軽く撫でながらからかう彼には下から抗議している。
二人の雰囲気に回りは固まってしまっている。
そんな彼等を見かねてか近くに立っていたワタリが声を掛けた。


「竜崎。皆さんが固まっています。」

「あぁ…すいません。」

「わっ。ごっごめんなさい。」


素直に謝るにやはり成人している様に見えないのか面々は顔を見合わせている。
いち早く声を上げたのはやはり夜神だった。


「それで竜崎。彼女は一体…。」

「そうでした。今から彼女について説明します。…質問は全ての話しが終わってからお願いします。」


Lはの手を引きソファの方へ向かう。
身軽にソファに飛び乗った彼の隣にを座らせると自ずと捜査メンバーも周囲に集まって来た。


「まず。彼女の能力について説明します。」

「能力?」

には普通には無い特殊な能力があります。」


Lの言葉に一同は言葉を無くした。
何を非現実的な事を言うんだ、と。
最も、理数的な考えで尚且つ世界の名探偵と呼ばれる彼が言うのだからそれなりの説得力はあるようだ。


「一つは予知能力です。彼女は今現在これから起こる事とキラの正体。そして…誰が死ぬかも知っています。」

「そんな…本当…に?」


松田の呆けた台詞もLは一切無視して話しを続けた。


「もう一つは治療師 ( ヒーラー ) です。彼女は外傷、内傷、疲労等の回復が出来ます。」


黙って聞いていた夜神が声を上げる。


「…そんなこと信じられん。」


やはりLは無視して話しを進める。
彼はこれから起こる事全てを隠さず伝えた。
勿論キラの正体や第二のキラ…そして誰が死ぬのかも。
Lが話し終わると部屋に沈黙が降りた。


「月が…キラだと?」

「模木さんか宇生田さんが死ぬ?…それに竜崎もワタリさんも…?」

「第二のキラが…あの弥海砂??」


震える声音で紡がれた夜神の声を皮切りに捜査メンバーは次々と疑問を呟き始めた。
Lは目の前に置かれていたティーカップを彼独特の指先だけで摘む様に持ちコクリと一口飲み干す。
ギョロリと目の前で興奮した面持ちの夜神を見上げる。


「質問は…それだけですか?」

「貴様ッ!!」

「止めて下さい。」


Lの胸倉を掴み怒りを露にする夜神はの声に動きを止める。
彼女は立ち上がり夜神の腕を掴む。


「夜神さん。貴方が怒る理由も分かります。ですがLは私の代わりに説明してくれただけです。…私に聞いてください。」


凛とした彼女の言葉と真剣な瞳に夜神はLから手を離した。


「死神だとか…本気で言っているのかね。」

「現に、キラの殺害方法は物理的には不可能なものばかりです。それに私のような異端な能力者もいます。」

「そもそも君の能力が信じられん。」

「それではお見せします。……外傷の方が分かりやすいと思うんですが…。何方か怪我をされてる方は居ませんか?」

「怪我…ですか?」


彼女の言葉に松田が不審そうな声を出した。
Lは徐に立ち上がるとテーブルに置かれていたペーパーナイフを手に取った。
近くに立っていた相沢が思わずLに声を掛ける。


「おい!なにを…!?」


Lは長袖を捲り上げ自分の腕をナイフで切りつけた。
瞬時に赤い筋が走り血がポツポツと浮き上がりすぐに赤い線が出来た。


「えっL!?そんなことしなくても…。」

「この方法が最も効果的にの能力を説明出来ます。」


顔色も変えずに淡々と返す彼には苦笑するとLに近寄った。


「それでは見ていてください。」


はLの腕に両の掌を翳し瞳を閉じる。
すると傷口を包む様に掌から淡い青の光が溢れた。
周囲が息を飲む中傷は見る見るうちに塞がり仕舞いには血痕さえも消えてしまった。


「すごい…。」

「嘘だろ…。」

「いや…こんな…手品かなにかだろ!」


事実を目の前にしても信じられないのか夜神は顔を険しくてして怒鳴る。
とLは顔を見合わせててから苦笑する。


「それなら直接夜神さんに力を送ります。ご自分で確認してください。」


は静かに夜神の元へ行くと睨んでくる彼を見上げて両の手を翳した。
先程と同じように青い光が夜神を包み込む。
光が消えると彼は驚愕の眼差しでを見つめていた。


「……馬鹿な…。」

の能力についての検証はここまでです。事件の進行によって…自ずと彼女の能力は証明されていくでしょう。」


の背後に立ったLは彼女の肩に手を置いて引き寄せる。


「それでは今後の対策についてですが…まず物的証拠を得る事が最優先です。」

「今行っている監視は新しいキラの殺人が起こるまで続けたほうがいいと思います。」

「どうしてですか?月君がキラだって分かってるんなら…」


の言葉に松田は不思議そうに首を傾げる。
彼女は微かに哀しそうに顔を歪ませる。


「月さんがノートを手放すまでは私の知っている未来のまま進行したほうがいいと思うんです。」

「つまり。私達がここで余計な事をすればの知っている未来が変わってしまうかもしれません。」

「そうすれば死ななかった人が死ぬかもしれない。…助けられなくなってしまう。」


Lはの頭を撫でながら彼女を引っ張ってソファに座りこんだ。
立てた足の間に彼女を座らせて話しを続ける。


「我々が行動を起こすのは第二のキラが現れ、月くんが自ら此方に来てからです。」

「でも死神はどうするんだ?」

「月さんが埋めたノートを手に入れて…もう一人の死神を探します。」

「二人も居るのか…。」

「もう一人の死神は弥海砂に対して情愛を持っていますからそれらを元に此方側についてもらいます。」

「説得は私がします。彼も…キラの被害者ですから。」

「最終的に月くんが私やワタリを死神に殺させるわけですが…まぁこの辺りは追々ですね。」


が知る原作か映画かどちらの通りに進んでいくか分からない為今後の捜査方針についての話しは終わった。
部屋の中を沈黙が包む。


「…まだ…信じられないです…。」

「それに彼女がキラじゃないと何故分かるんだ?」


松田と模木がを見る。
Lの瞳が少し吊り上り二人を睨む。


「彼女はずっと私の傍に居ました。それ以前には人を簡単に殺せるような人間ではありません。」

「でも!そうしたらさっきの作戦は可笑しいじゃないか!」

「そうだ。あの作戦じゃ南空ナオミや犯罪者は見殺しにしている。」

「それは私の判断です。彼女は反対しました。今此処で躊躇していては我々の未来はないかもしれません。」

「だがっ…。」

「我々は命を掛けてキラを捕まえる。…違いますか?」

『…………。』


Lの言葉に一同は静まり返る。
すると今まで俯いていた夜神が顔を上げ、を見つめた。


「貴女に聞きたい。……本当に月が…キラなのか?」


は彼の瞳を見据え強い眼差しを向けた。


「はい。彼がキラなのは間違いありません。……すいません夜神さん。」

「いや。…そうか……。」

「私の知っている未来では月さんは…。」

「死ぬ…か。」

「はい。でも…私は彼も助けたいです。」

?」

「死刑にするのは確定だとしても彼が捨てた人間の法で裁かれるべきだと思うんです。」


彼女の意外な言葉にLは瞳を見開き他の面々も驚いている。


「私の事を信用出来ないのは分かります。それでも私は皆さんを助けたい…だから協力して下さい。お願いします!」

「…君の決意は分かった。」


の真剣な瞳を見据えていた夜神はぽつりと呟く。


「だが、私はまだ信じられない…月が…あの子が…。」

「それは、今後の捜査で分かってきます。」

「あと…少し提案があるんです。」


Lの腕の中から離れて立ち上がったは捜査人を見渡しにっこりと微笑んだ。
























後記

此処でストーリーの進行が決まりました〜。
映画を主軸にちょろちょろと原作を混ぜます。
半オリジナルと化しますが、まぁ主人公さん居る時点でオリジナルか。ちょっと混乱するかもです。




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