DEATH NOTE
TWENTY ONE
ゲームカウントがお互い4−4になった頃。
テニスコートの周囲は人で埋め尽くされていた。
ベンチに座ったは白熱する試合に熱中している。
「わっ!…あぁ!」
一人奇声をあげながら普段からは見受けられない程機敏なLの動きに眼を奪われる。
漫画を読んで知っていたとはいえそれをリアルに見るのとは違う。
思わず心臓が高鳴り高揚するのを押さえられなかった。
「すごい…。あっ!」
その時不意に前衛に駆け出したLのショットが決まった。
本気でLは勝ちに行く気のようだ。
月は月で先程の二人の会話を聞いていた為阻止しようと必死だ。
周囲のギャラリーからは女子の黄色い歓声があがる。主に月に向けられているが。
の視線を捕らえて止まないのはやはりL。
白いシャツがはためく度に撓る腕の動きに眼を見張る。
「あと一点…。」
月はそこそこに息が上がっているようだがLは汗一つ掻いていない。
Lの打ったショットに対して今度は月が前衛に飛び出して打ち返す。
だがそれを予期していたのか先に前衛に居たLのロブが綺麗にライン際に決まった。
「ゲームセット!ウォンバイ流河6−4!」
「…やったぁ!」
何時のまにかいた審判の声に試合を凝視していたは緊張が抜けたのか声を上げた。
思わず立ち上がりコートで握手を交わす二人に掛け寄る。
「残念。……意外だな流河。」
「私は負けず嫌いですから。」
「流河!」
「!勝ちましたよ!……ご褒美下さい!」
近寄ってきたを周囲のざわめき等全く気にせず抱き締めて。
黒目を輝かせながら彼女を見つめる。
は思わず口篭りにっこり輝いていた笑みが消えた。
「ぇ!?ぁ……ぅ。」
「約束しましたよね?は約束を破るんですか?」
「あのでも…人が…。」
「私は気になりません。」
「わっ私が気になるよ!」
「…嘘吐きは泥棒の始まりですよ。」
嬉々とした表情が一転拗ねモードに入りかけるLには焦った。
「ぅ〜〜。」
「おい。流河何もこんな所で‥。」
「月くんには関係ありません。」
「っ…(絶対に殺してやるコイツ…)」
思わず月が声を掛けると半目で睨み返す。
は意を決したのかLの服の胸元を掴んだ。
「ぁの‥少し屈んで?」
「はい。」
の身長では幾ら猫背とはいえ彼の顔に届かない。
少し踵を上げて背伸びをする彼女にLは微かに笑みを浮かべる。
月は見て入られないのかすぐに顔を逸らしてしまった。
「!」
チュッと軽いリップ音。
の唇がLの頬に触れてすぐに離れた。
「これで言い?」
「駄目です。」
「えぇ!?」
未だにLの服を掴みながらは困惑した。
彼は不機嫌そうに唇を尖らせて彼女を見る。
「頬ではなくちゃんと口にしてください。」
「なぁ!?くっ口って…」
「おい流河!いい加減にしろよ!」
「月くん。五月蝿いです。」
「おまっ…。」
「しょうがないですね。」
Lの言葉に頬を染めて俯いているに彼はあからさまに溜息を付いた。
口を出してきた月をばっさりと切り捨てるのは忘れない。
「は私にキスしたく無いんですね?」
「そっそんなこと無いよ…でも…。」
「………。」
Lが拗ねてしまうとあとあと機嫌を取るのにかなり時間が掛かってしまう。
それを知っているはそろそろと顔を上げた。
「こっここじゃなきゃ駄目?」
「駄目です。」
「ぅぅ…。」
恥辱で涙目になったはLを見上げる。
「(少し苛め過ぎましたか。)」
潤み始めた彼女の瞳を見て焦ったLは二の句を告ごうとしたその時。
「!」
ぐいっと首元が引っ張られたかと思うと目の前にはぎゅっと瞳を閉じたの顔。
そして自分の唇に触れるのは柔らかな彼女の唇で。
ぱっと離れたは恥ずかしさでその場にしゃがみ込んでしまった。
ギャラリーの囃し立てる声が響いている。
「っ…。」
不意打ちながら始めての彼女からの唇へのキスにLはほんのりと頬を染めた。
突発的な事でそんな場面をばっちり見てしまった月は顔を押さえている。
Lはしゃがんでの腕に触れた。
伏せられた顔と髪で隠れた耳元が赤くなっている。
「。」
「ぅ…。」
恥ずかしさで声も出ないのか可笑しな声が漏れる。
「。顔を上げて下さい。」
「やっやだ。」
「それなら腕にキスしますよ?」
「ッ!」
耳元でヒソリと囁かれた言葉にはばっと顔を上げた。
やはり瞳は涙で潤み顔は真っ赤になっていた。
「ありがとうございます。」
「ふぇ。」
チュッと軽い音を残して離れるL。
は額を押さえてくにゃりと力を抜いた。
彼女を支えながら立ち上がりずっと顔を押さえて有らぬ方向を見ていた月に声を掛けた。
「月くん。この後時間ありますか?」
「あっあぁ。なんだ?」
「どこかでお茶でもしませんか?」
「そうだな…僕も頼みたい事があるし。うん。行こう。」
「あぁ…それと…一つ言っておく事があります。」
「なに?」
バックにラケットをなおす月を見ながらを支えLは淡々と言葉を紡いだ。
「私は本当は月くんを‥キラじゃないかと疑っているんです。」
「!」
月は話しを聞いていたに一瞬視線を向ける。
「はは。僕がキラ?」
「いえ。疑っているといっても1%です。月くんがキラで無い事、素晴らしい推理力を持つ事と確信し捜査に協力して頂けたらと思います。」
の手をぎゅっと掴み歩き出すLの後ろ姿を見ながら軽く唇を噛んだ。
後記
テニス描写は分かりませんでした;
そもそも漫画と映画混ざってる為構成がややっこしいですね。
LはLで夜神君っていうのを月君って言ってるし。
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