DEATH NOTE




































One Story

Lの夢を見る様になって一週間立った。
私にとっての一日はLの世界では一年らしい。
始めて会った時は私より背も低くて可愛かったLも今では私の背を越えている。
(でも凄い猫背だからそんなに高く感じない。)
Lはもう14歳になった。
今日もまた、Lに会える。

彼と会うのが密かな楽しみになっている。















……。」


Lは相変わらずの座り方でソファーに座っていた。
目の前のテーブルにはお菓子やケーキが置かれている。


…。」

「なぁにL。」

「!?」


返る事の無いはずの返事が背後から聞こえてLは勢い良く振り向いた。


!」

「わっちょわぁ!?」


黒目の瞳が大きく見開かれLはそのまま彼女を抱き締めた。
思いっきり抱き込まれてはバランスを崩してLの座るソファーに倒れこんだ。
の細い肩ごと抱き締めたLは彼女の首元に擦りよる。


ッ!逢いたかった…。」

「L…またおっきくなったね…。久しぶり。」


は毎度毎度自分が来る度にとても喜ぶLの反応に苦笑すると彼の髪を優しく撫でた。
何とか体制を整えてLの足の間に座りこむと背後から抱き締めてくるLを見上げた。


「そういえばLは何歳になったの?」

「…14です。」

「そっか…やっぱり私の世界と時間が違うみたい…。」

「貴女にとっては夢…なんですよね。」

「うん…それにLと逢ってまだ一週間しか経ってないんだ…。」


Lは一年振りの彼女の感触を楽しむ様に仕切りに触れてくる。
幼いLを知っているは特に咎めもせず彼の好きなようにさせている。


「でも…どうして私はLの所に来れるんだろう…。」

「確かに…原理はどうあれ私はに会えるのなら嬉しいです。」


にっこりと笑む彼にも笑った。
Lはの柔らかい、花が綻ぶような笑みが好きだった。
ワイミーズハウスで自分にこのような笑いを向けてくれる存在は少なかったから。


「私もLに会えるのが楽しみなんだよ。…でも一日経っただけですごく大きくなっててびっくりするけど‥。」


始めて彼と会った時より大分背も伸びてきている。
声も低くなり少年から青年に変わる頃合だった。
白いロンTにダボっとしたGパンの服装は何時来ても変わらない。
目の下の隈には初めかなり心配した記憶がある。


「何か食べますか?」


を抱き込んだままLはテーブルからお菓子の入った籠を引き寄せた。
彼女はその中から金色の包みを取りチョコレートを口に放った。


「また甘い物ばかり食べてたの?」

「主食ですから。」

「……相変わらずだね。」

「相変わらず、です。も。」

「うん。」


穏やかな時は余り続かずが眠りに付いて(Lと会うようになってなるべく早く寝る様にしている。)
朝目を覚ます八時まで。
が目を覚ますとLにとってはまた一年間会えなくなる。
Lは名残惜しげにに擦り寄る。


。行かないで下さい…ずっとここに居て下さい。」

「ごめんね‥L。戻らないと…。」

「……待ってます。」

「うん。」


首元に顔を埋めていたLは顔を上げてを呼ぶ。


「ん?」

…大好きです。」

「ッ!」


ぎゅうっと抱き締めてくるLには胸がキュンと締め付けられた。
思わず頬が赤くなるもののも嬉しくて抱き締め返す。


「ッ〜〜(L可愛いよぉッ!)」

。私‥ずっと待ってますから。」

「うん。私もLが大好きだよ。また、会いにくるから。」


の身体を淡い光が包み始める。
Lは最後の瞬間まで彼女の温もりを忘れないように抱き締める。
フワリと風に溶ける様にの身体が消えた。


…。」


Lは膝を抱えて座り直し、親指を咥えた。
カリカリと爪を噛む音が静かになった部屋に響く。


「………。」


の私に対する感情は私の"好き"とは違う。
それが少し、もどかしい。


。」


またすぐに貴女に逢いたくなる。
一年は長い、です。






















後記

主人公さんとL。二人の世界では時間軸が違います。
次は一気に飛んじゃいましょうか。
うーん。難しい。




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