DEATH NOTE




































Prolog

幼い頃から私には大切な人が居る。

私がワイミーズハウスを出た時から彼女は現れなくなった。

貴女に逢いたいです。

非現実的かもしれませんが、貴女はやはり天使だったのでしょうか?


もう一度貴女に逢いたい…。


‥。






















「……そろそろ寝よう‥。」


は大きく背伸びをするとベットの横に今まで読んでいた本を放った。
布団を被り枕元の電気を消す。
部屋が静寂に飲まれた頃静かな寝息が漏れ始めた。

丁度が眠る部屋の窓から薄いカーテン越しに月の光が差し込んでいる。
月明かりはを照らす。
その時僅かに彼女の躯が淡いブルーの光に包まれていた。














「……え。此処…どこ?」


瞳を開けると其処は見知らぬ場所だった。
チャイナタウンの近くにあるオラクルの家の私の部屋じゃなくて。
そこは西洋的な作りの風格のある部屋だった。
私はきょろきょろと周りを見渡しふと気づく。
白いソファーに座る一人の少年の姿に。


「?」


少年は5〜7歳位で黒髪。
身体を酷く折りソファーの上で膝を抱えて(体育座りの様に)いる。
私はそっと彼に近寄った。


「あの…君…?」


少年は勢い良く顔を上げて私を驚いた様に見つめてきた。
長めの前髪に上目使いで見開かれた瞳はとても大きな黒目。日本人かな?
頬に残る涙の後に彼が声を殺して泣いていた事に気付いた。


「誰…ですか。」


幼い見た目とは裏腹に彼はとても淡々と話した。
私は怖がらせない様に彼の目線までしゃがむ。


「あの。此処は何所ですか?」

「……?」


訝しげに此方を見てくる彼に私は少し焦ってしまった。


「えぇっと…急に…此処に来てしまったんで場所が分からなくて。」

「……ワイミーズハウスです。」

「ワイミーズハウス?」

「‥養護施設です…貴女は誰ですか。」

「あっえっとって言います。貴方は?」


今だ疑いの眼差しで見つめてくる彼に安心させるべくにっこりと笑ってみた。
すると今度はさっきより大きく目を見開いてすぐに目を逸らされてしまった。
逆に怪しまれちゃったかな…?


「Lです。」

「エル?…それじゃあエル君ワイミーズハウス…って日本じゃないよね?」


その後Lに確認するとイギリス南東のウィンチェスターという場所らしい。
一体どうやって此処に移動したんだろう?


「…(確かにベットで眠ったはずなのに…どうしていきなりイギリス…)」

さん。…あなたは何所から来たんですか?」

「えっ。あぁ…私にも良く分からないんだ。私は部屋で寝てたはずなんだけど…。L君はマトリックスって知ってる?」


隣に座る彼は可愛らしく小首を傾げている。


「…母体・基盤…物を生み出す。ラテン語が語源で子宮・母体の意味、ですか。」

「あ〜…うん。そうだね。(単語の意味じゃないんだけど…)」


私は壁に掛けられている時計を見つけた。


「八時…か。」


眠ったのは夜中の十二時…今此処の時間は午後八時少し前。
私は直感的に元の場所に戻れると感じた。何故かは分からないけど。
Lの頭を軽く撫でて微笑むと彼は不思議そうに見上げてくる。


「L君。ありがとう。私戻れるみたい。」

「え?」

「また、逢えるといいね。」


耳の中で遠く聴こえるセラフの声に身を委ね瞳を閉じる。
淡い光が溢れの意識は浮上して行った。

Lは先程まで自分の目の前に居たが消えてしまった事に驚いている。


「………今、のは。」


自分の頭を手で触れてが触れていた所を撫でてみる。
確かにあったぬくもりはもうなくなっていた。
Lは前屈みになり顔を膝に埋めて小さく呟いた。


‥さん。」





















。起きなさい!」

「ん…セ‥ラフ?」

「もう八時過ぎてますよ。朝食が出来ています。」


部屋を出て行こうとするセラフの背を見送りながら私は煙る意識で頭を左右に振って覚醒させる。


「ん―……夢…だったのか…。」


先程までLを撫でていた掌を眺めぽつりと呟いた。


「なんで泣いてたんだろう。」















それから数日。

は何度か夢の中でLと会った。
彼は会う度少しずつ成長しているようだった。
つまり、にとっての一日が彼には一年だったのだ。

初めは警戒していたLも次の日つまり一年後彼女が現れると。
すっかり懐いて今では年相応の愛くるしい笑みを見せることすらあった。




















後記

デスノート…L救済というかLしかでないような…。
あっちゃんとキラ事件には行きますよ。
小さい頃からあんな感じだったんでしょうねLって。




※この作品が気に入って頂けましたら拍手・コメントお願いします↓※