DEATH NOTE




































Sixteen Story

その日私はLと離れて大学構内の図書館に来ていた。
講義が終わった後昼食前にベンチで休んでいたんだけどLが眠ってしまった。
一応書置きをしてベンチにLを残したまま図書館へ向かった。
本を返したらすぐに戻るつもりだったんだけど…。


「わ!これ探してた奴だ…。」


メロビジアンさんのお城にお邪魔した時に読んだフランスの詩集。
原書は絶版していてファースト巻だけは見つからなかったんだけど。
流石は東大…原書を貸し出しているなんて。


さん。」

「ぇ?(!?)」


光が遮られて私は彼が近くに立っていた事にようやく気付いた。
どうやら本に夢中で気配に気付かなかったようだ。
彼。夜神月は爽やかに微笑んだ。


「こんにちわ。」

「こんにちわ…?えっと…。」

「あぁ。僕は夜神月です。君はさんだよね?」

「はい。そうですけど…なにか御用ですか?」

「入学式の時流河と一緒に居たよね?その時君を見て…ずっと話したかったんだ。」


にっこり笑う彼の笑みは綺麗だけど。
背後に立っているリュークはずっと笑ってる。
恐らく月さんは私からLの事を聴き出そうと考えているんだろう。
月さんは私がリュークを見えるなんて思って無いだろうけど。
リュークの反応だけで大方創造できる。


「流河なら一緒じゃ無いですよ?」

「ううん。君と話がしたかったんだ。何時も流河と一緒だからさ。」

「本を返しに来たついでに借りたい本が見つかったんです。」


持っていた本を見せると彼は微かに瞳を開いた。


「それ…原書だよね?すごいな…さんは帰国子女なの?」

「…はい。一応。えっとそれで…?」

「あぁそうだ…少しいいかな?」


とりあえず私は本を借りて月さんに付いていく事にした。
いざとなったら何とかなると思うし。
それでもやはり緊張してしまう。

彼がキラなのだから。
表は笑顔でも腹の中には狂気にも似た正義感を持っている彼だから。

暫く歩いてカフェテリアに着いた。


「お話ってなんですか?夜神さん。」

「月でいいよ。僕もって呼んでもいいかな?」

「あっはい。それじゃあ月さん。」

「うん。は流河と付き合ってるのかな?」

「えっ!」


改めて聞かれるとやっぱり恥ずかしい。
大学に通い始めてから行きも帰りもLと離れて行動した事は無いし。
Lの性格上。時と場所を考えないで私に構ってくる為必然的に周りからは恋人同士として見られているだろう。
実際そうなのだからどうしようもないけれど。

じっと此方を見てくる月さんの視線がなにやら恥ずかしい。
頬が熱くなるのが分かる。


「あっあの…えっと…流河は私の大切な人です。」

「それは…恋人ってことかな?」

「はっはい。」

「おぉ月〜。こいつ真っ赤だぜ。」


軽い声音と共に低い声が聞こえた。
リュークから見ても私は赤くなってるようだ。


「そうか…。それは残念だな。」


足を組みながら優美に此方を見てくる茶色の瞳が細められた。
俯いていた顔を上げると月さんと視線が合う。


「えっ?」

「いや…始めて見た時からの事気になってたんだ…。」

「そっそうなんですか?」

「そっかやっぱり流河と…。そうだ…僕と友達になってくれないかな?」

「友達…ですか?」

「うん。まずは友達から…さ?」

「でも…。」

「あぁ。二人の邪魔はしないよ?でも…僕は諦め切れない。」

「ぁ…えっと…。」


どこか真剣な眼差しに言葉が思わず詰まる。
その時、不意に廊下の方が騒がしくなった。


「?なんだ…。」

「?」


凄い勢いで飛び込んできたのはLだった。
何時もより髪をぼさぼさにしながら必死な感じで此方に走ってくる。
私は慌てて立ち上がった。


「流河!」


脇目も振らず私に向かってくるLが少し怖い。


ッ!!」

「ひゃあぁ!?」


走った勢いのままに飛びつかれてそのままソファに仰け反る様に押さえ込まれてしまった。後ろがソファでよかった。
ぎゅううっと抱き締めてくるLの腕の力が強くて少し苦しい。
予想より早く起きちゃった…みたいだ。


!何所に行ったかと心配しました!帰ってしまったんじゃないかって。」

「えっ…流河…。」

「嫌です。。私から離れないで下さいッ!!」


ぎゅっと抱き付いてLはポロポロ大きな瞳から涙を零した。
目の前で涙を流すLがとても幼くて、置いていかれた子供みたいですごく胸が痛かった。
彼が私の傍を離れたがらないのは私が前の様に元の世界に戻ってしまうかもしれないから。
だからこそ余計に浅はかな自分の行動に反省した。
私は泣きじゃくるLの頭を抱き締めてそっと額にキスをした。
私からのキスは初めてで(それでも額までが限界で)
Lはびっくりしたように今度は大きな瞳を見開いた。


「ごめんね。私はここに居るから。貴方の傍に居るから。だから…泣かないで?」


涙で濡れた頬を掌で包むと彼はようやく落ち着いたのか可愛らしくにっこりと笑った。
胸が今度はキュンと締め付けられるような可愛い笑み。
思わず私も笑ってしまう。


…。さっき…キスしてくれましたね?」

「へ?」


彼の声音は何時もの淡々とした物に戻っていた。
でもどこか楽しそう。

今更ながら此処はカフェテリアで尚且つ前の席には月さんが居て、大勢の学生が居る事を思い出した。
わっ私なんかすごい恥ずかしい事をッ!!?


「ッッ!!」

。顔真っ赤です。」

「うっ〜〜…。」

「‥流河…お前…。」

「…おや。月くん居たんですか?」


絞り出された声音にLはようやく月さんの存在に気付いたみたいだ。
月さんはぷるぷる震えている。


「いい加減を離したらどうだ?」

「…何故の名前を呼ぶんですか?」

「いちいちお前の許可が必要なのか?」

「必要です。は名前も声も心も身体も全部私の物です。」

「……………は苦労するな。」

「それより。…そろそろ戻りましょう。講義始まります。」

「あっうん…。」


どこか険悪な雰囲気の二人を横目に私は慌てて鞄を持って立ち上がった。
隣には何時も通り猫背のLが此方に手を伸ばして待っている。
幾分慣れた私はLと手を繋いで月さんを見た。


「あのそれじゃあ月さん。」

「あぁ…あっ。これ。」

「?」


月さんは私に一枚のメモ帳を渡してきた。
一瞬デスノートかと思ったけど。渡す必要はないよね。


「僕の携帯の番号。……よければ連絡頂戴?」


にこりと微笑む彼に私は少し戸惑った。
最初に感じた違和感というか胡散臭さが無くなっている気がする。
困惑しているとLにぐいっと腕を引かれてしまった。


「ひゃ!」

「早く行きましょう。」

「あっの‥!月さん!また明日!」


若干低いLの声音にびっくりしながら月さんに手を振ると、此方に振り替えしてくれた。
廊下に出るとLの歩きが緩やかになる。
彼の隣を歩きながら少し見上げて見るとLは親指を咥えて爪を噛んでいた。


「流河…?どうしたの?」

「……不愉快です。」

「え?」

「いえ…月くん…。(に目を付けましたね。)」

「あっそうだ!…ねっ次の講義抜け出さない?」

「どうしたんです?」

「流河が好きそうな喫茶店見つけてたの。だから…さっきのお詫びに…昼食も食べそこねちゃったし。」


少し俯いて言うと頭にLの掌が置かれた。
軽く撫でてくるので顔を上げてみる。
彼はさっきまでのイライラした感じとは違う何時もの穏やかな雰囲気になっていた。


がせっかく見つけてくれたんです。すぐに行きましょう。」

「うん!」


こうして私とLは午後の講義をボイコットして喫茶店へと向かった。
























後記

ようやく月さんとの絡みが!
とはいえすぐさまLの妨害が?
うーん…月さんをどう書くか悩むなぁ。




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