DEATH NOTE
Fifteen Story
「(うわぁ…みんな頭良さそうに見える…。)」
会場に着いたはLと少し離れた所に座っていた。
彼は生徒代表を勤めるため最前列に夜神月と並んで座っている。
はこんな状況でも相変わらずのマイペースな座り方のLを見てクスリと笑い、
その隣に見える茶色の髪の青年を見る。
「(夜神月……リュークは…あっ…)」
彼女の瞳が暇そうに周囲を見渡し月の近くをうろついている黒い姿を捉えた。
大きな身体に全身黒い異形の姿。
映画や漫画で見た通りの死神リュークの姿。
は自分の思惑が当たっていた事に内心安堵した。
「(やっぱり…リュークが見える。デスノートに触れないと見えないはずだけど。)」
やはり自分はイレギュラーだから彼が見える。
だけど…それはそれで注意しなければいけない。
凝視していると気付かれてしまう。
「(あ……L…。ふふ。やっぱり何時も通り。)」
新入生代表演説が始まり、夜神月とLが壇上に上がる。
漫画通り周囲の生徒達のざわめきがの耳にも入る。
「…。」
猫背のまま演説をするLを見つめは頬を緩める。
「(やっぱりL可愛いなぁ…。たまにすごく男の人っぽいけど。)」
そういえば…Lは大学では自分の事を流河旱樹と名乗ると言っていた。
は不意に車の中の彼の言葉を思い出し笑みが零れる。
『私の事は流河旱樹と呼んで下さい。』
『あっそれアイドルさんの名前だよね?』
『はい。不服ですが…。』
『じゃあ旱樹‥さん?』
『……流河と呼んで下さい。』
『??』
『の口から他の男の名前が出るのが不愉快です。』
『えぇ。なにそれ?』
「…(それにしても…僻みなのかな。これは……正直…五月蝿い。)」
周囲から聞こえる月とLを比べる言葉には眉を顰めた。
ふと気付けば彼等は壇上を降りて何事か話している。
恐らく自分はLだと名乗っているのだろう。
遠目に見ても夜神月が動揺しているのが分かりは顰めていた眉をほぐして微笑んだ。
作戦通りに行きそうだ、と。
それから無事式典も終わり、は人の流れのままに外に出て行く。
その時不意に背後から伸びた腕に身体を包まれた。
ふわりと香る甘い匂いと聴きなれた低い声には知らず微笑んだ。
「おかえり…流河?」
「………なんだか微妙です。」
「あはは。演説、かっこよかったよ。」
「本当ですか!ありがとうございます。」
嬉しそうにぎゅっと抱き締めてくるLを見上げて。
春風の中どこかほっとしたような気分で彼を見る。
「ワタリが迎えに来て居ます。行きましょう。」
「うん!」
の手を取って歩き出すL。
そんな二人を見ていた周りの人間のざわめきが微かに聞こえてきた。
校門に近づくと月とリュークの姿が見えた。
Lはそのまま彼に近づくと声を掛ける。
「夜神くん。」
「!……。」
「今日はどうも…。」
「いえ…こちらこそ…」
「では今度はキャンパスで。」
「あっあぁそうだね。よろしく。」
月はLと手を繋いだに視線を向けて驚いた様に瞳を開いた。
は此方を凝視している月とリュークの視線に気付いて軽く会釈をする。
ワタリが車の扉を開けて待っていたのでそのまま車に乗り込んだ。
ざわめきから離れるように去っていくリムジンを月は静かに見つめていた。
「なぁー月。」
「どうしたリューク。」
「あの女ぁ…。」
「…あぁ。まさか流河の彼女…いや。」
「そうじゃなくて…あの女…寿命がないぞ。」
「なに?寿命が無い…だと?」
「あぁ…名前は見えてんだけどなぁ…寿命が見えねぇ。」
「ということはあの娘も…デスノートを持ってるのか?」
「いや…死神が見えねぇ。…いや…まさか…な。」
「…Lと名乗る男に寿命の無い殺せない娘、か。厄介だな。」
いや…だがもしあの男が本物のLなら…。
あの様子だとあの娘は奴にとって重要な人物。
恋人か妹…妹って雰囲気じゃなかったな。
それならあの娘を僕に惚れさせて…。
「いいだろう。楽しくなりそうじゃないか。」
不適に笑う月を見ながらリュークはすっかり見えなくなった車の方向を見て首を傾げた。
「……(あの女…俺の事見えて…?んな分けねぇよなぁ…)」
帰りの車の中Lは離れていた時間を取り戻そうとするかの様に私を抱き締めてきた。
幾らマジックミラーで見えないとはいえ…。
「えっL!」
「なんですか?」
「ひゃあ!」
くっ首筋に息が!?
今私はLに背後から抱き締められて座っている。
腰に彼の腕が廻っていて逃げ出すことも出来ない。
不意にLは私の首元のネクタイを引っ張って解く。
「どうしたの?」
「いえ…ちゃんと付いていますね。」
「ぇ?」
ゆっくりとLの指でなぞられて気付く。
朝彼が付けたキスマークに。
耳から顔から火が出そうな位熱くなってきた‥。
うぅ。恥ずかしいよぉ。
「L〜…ちょっと離れない?」
「む。は私に抱かれるのは嫌なんですか?」
「そっそうじゃなくて。」
というかなんだか恥ずかしい台詞をさらっと言っちゃいましたよこの子!
Lは拗ねたように唇を突き出している。
私が口篭ると今度は眉を下げて大きな黒目を潤ませ始めた。
なんだか微かに震えているような。
「は私が嫌いなんですか…?」
「えぇ!?ちっ違うよ!大好きだよ。」
思わず捨てられた子犬を連想してキュンとなってしまった。
ふさふさの黒髪を撫でると彼はすぐに笑顔になった。
もしかして…上手く騙されてる…?いや。Lに限ってそんな…。
「ッ!大好きです!愛してます!」
「あっありがとう…。」
首筋に擦り寄ってくる彼に私は思わず溜息が零れた。
大きな子供のようなわんこのような…可愛いんだけど注意しないと。
彼は子犬から瞬時に狼に変わる気がする。
なにやら新しく教訓を覚えてしまった。
後記
ようやく月・リュークでました。
まぁぶっちゃけ月さんは嫌いなので扱いが酷いかと思います。
リュークは好きなんですけどねぇ。
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