DEATH NOTE




































Ten Story

「すいませんワタリさん…持ってもらっちゃって…。」

「いいえ。大丈夫ですよ。」


とワタリはあれからホテルを出て買い物に来ていた。
大型デパートで粗方の買い物を済ませ二人は駐車場に向かっていた。
車の中に荷物を置いてふと一息付く。


「あのワタリさん。竜崎にお土産買ってもいいですか?」

「えぇ。構いませんよ。何所に行きましょうか?」

「えっと…お勧めのケーキ屋さんとか…ありますか?」

「はい。では…参りましょう。」


おずおずと聞いてきたの言葉にワタリはにっこりと微笑んだ。
それから少しして洒落た洋菓子店についた。
車に乗ったワタリを残しては店内へと向かった。


「わぁ……美味しそう…。」


色取り取りのケーキや菓子には瞳を彷徨わせる。
Lが相当な甘党だと知っている彼女は彼の好きなケーキを見つけた。


「すいません!…これと…これ…あとそっちのを6つ下さい。」

「ありがとうございました。」


中々大きな荷物になってしまったがは嬉しそうに箱を持って店を出た。


「ワタリさんお待たせしちゃってすいません。」

「いえいえ。良い物がありましたか?」

「はい!きっと喜んでくれます!」


ワタリはにっこりと笑うと車を発進させた。
ホテルに帰る途中信号で止まった所で彼が不意に彼女に声を掛けた。


「竜崎からさんの事は聞いています。私や竜崎を助ける為に来てくれたと…。」

「え…あっはい。」

「竜崎が小さい頃から話していた貴女が本当に現れたのには流石に驚きました。」

「そうですね。私も…竜崎が漫画や映画に出てるって知った時は驚きました。」

「貴女は彼の新しい一面を次々に見つけて下さる。」

「ワタリさん…。」

「世界の名探偵等と言われても彼も一人の人間…年相応の楽しみを知って欲しかった。」


ワタリの言葉をは静かに聞いていた。
ミラー越しに見える老紳士の顔はどこか自分の子供の事を語る親のようで。


さん。貴女になら竜崎を任せられます。」

「そう…ですかね?」

「フフ…さんが竜崎に対して感じている愛情と彼の愛情は少し違うようですが。」

「あっ…あれは…その…。」

「これから、ゆっくりと進展して行けばよいのです。貴方達はまだ若いのですから。」

「…………はい。」




























「ただいま戻りました!っわぁ!」

!お帰りなさい。」


土産以外の荷物をLの部屋に置いてきたとワタリは捜査本部になっている部屋に戻ってきた。
扉を開けた途端飛びついてきたLに彼女は転びそうになりながらなんとか支える。


「L〜ッ。危ないよ!お土産潰れちゃう!」

「土産…?」

「うん。ケーキ買ってきたんだよ。」

「ありがとうございます!早速食べましょう。」


Lはの手を引きソファへと向かう。
近くのテーブルに箱を置いたはワタリが持って来てくれた皿にケーキを分け始める。


「Lは苺ショート好きだよね。」

「はい。」


Lの皿には大きな苺の乗ったショートケーキを自分の皿にはレアチーズケーキを置いた。
彼は箱の中身を見て首を傾げる。


…他のは?」

「皆さんの分だよ。あっワタリさん!コーヒーゼリー食べれますか?」


は近くに居たワタリに声を掛けた。
まさか自分の分も用意しているとは考えていなかったのかワタリは驚いた様に瞳を開いた。
だが其処はワタリ。すぐさま表情を戻すと笑みを浮かべる。


「はい。ありがとうございます。」


余分にあった皿にワタリの分のコーヒーゼリーを乗せて彼が何時も使っている机に置いた。


「夜神さん。甘くないのを選んだんですが…。」

「あぁ。すまない。ありがとうさん。」

「いえ。お疲れ様です。」


は箱と皿を持って隣の部屋に向かう。
勿論背後にLが付いて来ているが。


「皆さんお疲れ様です。」

「あれ〜?ちゃんどうしたの?」

「外に出ていたので差し入れです!」

「おお!」


近くに座っていた松田が笑顔で彼女を迎える。
資料を纏めていた相沢と模木も彼女に気付いて声を掛けた。
宇生田は警察本部へ行っているらしく姿が見えない。
は近くのテーブルに皿を並べて人数分のゼリーを取り出した。


「コーヒーゼリーだね。懐かしいなぁ。」

「これならあんまり甘くないですからね。」

「そうだね…竜崎みたいなのは流石に…。」

「失礼ですね松田さん。」

「わっ!?いっ居たのか竜崎!!?」


の背後からぬっと現れた彼に松田は驚愕の声を上げた。
その間にもは相沢と模木にゼリーを渡している。
松田の分をテーブルに置いて、箱を持って部屋に備えられている給湯室に向かう。
簡易の冷蔵庫に箱を直して今度は人数分の紅茶の用意を始めた。


「お疲れ様です。」

「あぁありがとう。さん。」

「そういえば…君は竜崎みたいに偽名にしないのかい?」

「…そういえば。」

「私は大丈夫です。って…L何してるの!」

「いえ。別に。」


紅茶を淹れ終えたは人数分を運び終え、今だ松田をいびっていたLに声を掛けた。


「紅茶ですか?」

「うん。夜神さんとワタリさんの分持って行くからLは私達の分運んでくれる?」

「はい。」


見事にLを使いこなしているに三人は驚いた様に眺めていた。




















後記

今回はまったりと。一応監視3日目辺りの予定です。
Lは主人公さんの言う事は聞くようです。
ワタリさんとほのぼのってのもいいなぁ。




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