□ 第七話 □
















「ちょっちょっとッッ!なっなんですかッ!?」


は行き成り抱きしめられて頬を朱に染める。
其れを見て元親は慌ててを引き離そうと二人に飛びついた。


「おぃてめぇッ!!を離せッ!!」

「Shut up!感動の再会に茶々入れるんじゃねぇ。」

「はぁ?なに言ってやがんだ!」

「さっ再会って…私はあなたに会ったことなんて…」

「あるだろうが……それともあの言葉は嘘か?」

「言葉??」


は首を傾げ長身の彼を見上げた。


「傍に居てくれるんだろう?」

「ッ!?」


何処か儚げに呟かれた彼の言葉には瞳を見開いた。
元親は意味が分からないのか彼女と政宗を交互に見ている。


「なにごとだこれは…?」


その時。
彼女を追いかけて元就が部屋に入ってきた。
不自然に静まった部屋に彼は訝しげに3人を見る。


「まさか…あの…男の子…?」


いや。でもあの子はどう考えても10歳位だったはず…。
え??でもそれならどうしてこの人…伊達政宗さんが…???


「That’s right.ようやく思い出したか?」

「えぇ!?ほっ本当に??でも…あの子は…」


の記憶に残る幼い少年。
右目の眼帯と色素の薄い髪。
その少年の姿が今、目の前に居る青年に重なった。


「でも…あれは夢じゃ…。」

「あぁ。俺もそう思った。まさか本当に居るとはな。」


ようやく認識したもののどうして夢の中の少年が今、自身の目の前に居るのか。
しかも彼の口ぶりでは夢のことを覚えている様子。
そしてその相手があの伊達政宗ということに驚いてる。


「えっえっとともかく落ち着きましょう!」

「落ち着くのはであろう。それより…伊達。をさっさと離さぬか。」

「あぁ!!そうだっ。てめぇをさっさと離しやがれ!!!」

「ぎゃあぎゃあうるせぇなぁ…。」

「わきゃぁッ。」


未だに彼女を放さない政宗を睨みつける元就と元親。
そんな彼らの視線も意に介さず、政宗は更に小さな彼女の身体をぎゅうっと抱きしめる。
着流しとはいえ肌蹴た胸元に押し付けられては首筋まで真っ赤になっている。


「てめっ!!」

「……………。」


が居るため下手に手出しを出来ない二人は舌打ちをする。
政宗はついっと視線を彼らに向け不適に微笑んだ。


噂の天女がまさに夢の女だとは…俺も運がいいねぇ。
こうも早く会えるなんて、な。
それにしても……
夢の中で"俺"を抱きしめていたこいつは大きく感じた。
だが、実際抱きしめてみればこんなにも小さい。
細い肩に華奢な曲線。

でも傍に居ると思うだけでこうも安心するのはどうしてだろうな。


「だっ伊達さんッッ…あっの…」

「どうしたHoney?」

「はっ!?いっいやハニーってなっ!!」

「なんだ?アンタ異国語が分かるのか?」

「えっあ…はぃ…。」

「そりゃあいい。」


嬉しそうな政宗を他所に心中穏やかではないのは元親と元就の二人。
元親は鋭い視線で政宗を睨みつけ、拳を握った。
怒りの為か僅かに彼の周囲の空気が緊張しているのが分かる。
元就は怒りよりも先に先程の二人の会話を考えていた。


「(と伊達は初対面なはず…何故見知ったように話すのだ?)」


ダンッッ


「伊達…いい加減にしろよ。」


入り口の柱を拳で叩いた元親は視線で人を殺せるのではないかと思うほど政宗を見据えた。
ぱらぱらと木片が下に落ちる。
身動きの取れないにも感じられるほど元親は怒っていた。
しんっと静まり返った部屋の中。
政宗が大きく溜息を付いた。


「ったく…短気だねぇ四国の鬼は。」

「離せ。」

「あっあの伊達さんッ離してください…。」

「……………。」


腕の中のに問われ政宗は渋々腕を離した。
気まずい部屋の空気に彼女はあせったように言葉を紡ぐ。


「あっあの!とりあえず座りましょう!私お茶とお菓子貰ってきますから!」


そう言うとばたばたと部屋を飛び出していった。
の言葉に従い上座に座りなおした元親とその近くに元就が座り。
政宗も座りなおした。

部屋の中を何処か殺伐とした空気が占めていた。







以外だったな。
元親が此処まで怒るとは。


元就は先程の元親の行動を考える。
確かに普段彼は人が良く短気な面もあるしはっきりいって彼のことを単純馬鹿とも思っている。
だが、一人の女子を巡りあそこまで敵意を剥き出しにする彼を見るのも初めてだった。


「…(それほどが大切か…我も人のことは言えぬが。)」


確かに彼も彼女が政宗に抱きしめられているのを見て不快だった。
元親が政宗に飛び掛らなかったのが不思議な位だ。


「(と伊達は一体‥?)」







イライラする。


胸の中が焦げそうな感じ、といえばいいのか。
を抱きしめてる伊達も。
伊達に抱きしめられて抵抗しねぇも。

見てるだけでイライラする。

なんでが伊達を知ってるんだ?
なんで伊達がを知ってるんだ?

一体なんだってんだッ!


「(ぜってぇ何時かぶっ飛ばす…)」


座りながらも射殺す視線はそのままに。
内に潜む熱を抱えて元親は政宗を睨みつけていた。







場所が変わって調理場にはの姿があった。
お茶の準備をし、先程自分が作った分の残りのお菓子を添えて盆を手にした。


「…………元親さん…怒ってたな。」


あそこまで敵意を剥き出しにして怒る元親は見たことが無かった。
元就とじゃれあうような喧嘩。部下の人達との手合わせの姿。
の中で彼は四国の海のように大らかで太陽のように豪快に笑っているイメージがあった。


「(どうしてあんなに怒ってたんだろう‥)」


先程の元親はまるで。
まるで刃のようだった。鋭い視線に硬く握られた拳。
見据えられたら身体が強張ってしまう程の緊張感。
は一際大きく溜息を付き改めて盆を持ち三人がいるであろう部屋に向かった。


















後記

なっなんだか後半シリアス気味…チカちゃんがえらくキレてます;
ギャグにしたいんだけども…どーも…;
しかしBASARA2とどうやって絡ませようかなぁ。




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