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戦乱の世の花
□ 第六話 □
「ん〜…元親さん何処かなぁ…。」
「?」
「あっ元就さん。」
「どうしたのだ…?それは‥?」
「あっこれ作ってみました!元就さんの分もちゃんとありますよ!」
「菓子か‥元親を探しておるのか?」
「そうなんです。」
「元親ならば部屋におるだろう。」
「さっき行ったら居なかったんですよねぇ…もう少し探してみます!あっ元就さんの分は調理場に置いてますからね。」
「あぁ。ありがとう。頂くとしよう。」
穏やかに微笑む彼にもにっこりと笑うと再度元親探しに歩き出した。
先ほど、お菓子を作り終えたは早速食べてもらおうと元親を探しているのだが‥。
「うーん…あと居そうなのって…富嶽?それとも木騎?」
「お。なにやってんだ。」
「あれ親貞さん。」
前方から歩いてくるのは元親の家臣吉良親貞の姿。
「元親さん知りませんか?」
「殿?殿ならさっき富嶽に居たけどな。」
「富嶽かぁ…。」
「それより何だそれ?いい匂いするなぁ。」
親貞はの手にしている籠に視線を向ける。
「あっお菓子作ったんです。親貞さんの分は調理場にありますからね!」
「おぅ。ありがてぇ。」
豪快に笑い彼女の頭をわしゃわしゃと撫ぜる。
彼につられるように笑うの背後からぬっと大きな身体が現れた。
「…てめぇ親貞…になにしてんだ?」
「おっ殿。が探してたってよ〜。んじゃ俺は調理場行ってくる。」
「はい!」
「あん?調理場って…おぃ…。」
の背後に立っていた元親の隣を通ってさっさと離れていく親貞を不振気に目で追い、
次に視線をに向けた。
「なんか用事か?」
「はい!元親さんに渡そうと思って…。」
「??」
「お菓子作ったんです。」
元親に差し出した籠には木の器に盛られた団子が数個入っていた。
「へぇ…すげぇな。親貞にもか?」
「はぃ!家臣さん達やお世話になってる女中さん…元就さんの分も作ったんですよ。」
「そりゃありがたいな。食っていいか?」
「どうぞどうぞ…あっお茶とか…。」
「いい。今此処で食うから。」
そういうと元親はひょいっと籠の中から団子を取り出した。
咀嚼し味わいながら指先に付いた餡を舐めとる。
「どうですか…?」
「ん…美味い。これ餡子になんか入ってるのか?」
「桜の塩漬けですよ。甘くないように。」
「凝ってるなぁ。美味いぜ。」
「よかった…。」
の頭を優しく撫でながら穏やかな空気が流れる。
その時あせったような信親の声が響いた。
「殿ッ殿!!!大変だ!」
「あぁ?どうした?」
「奥州の独眼竜がッッ!!伊達政宗が来たっ!!」
「なにぃ!?」
「独眼竜が…!?」
『いいか?お前は絶対に其処からでてくんじゃねぇぞ?』
『えっでも…』
『絶対だ!』
『はぃ…。』
は先程の元親との会話を思い出し溜息をついた。
そんな彼女の様子を見て元就は首を傾げる。
「どうしたのだ?」
「う〜〜〜…だって…私も伊達さん見てみたいですよ〜。」
「はぁ…まったく…お前を目当に来ているのかもしれないんだぞ?」
「??私なんてなんの力もありませんから。説明すれば分かってくれますよ。」
「はぁ…。」
あっけらかんと言い切る彼女に元就は頭を抑えた。
二つほど離れた部屋からは元親と聞きなれない声‥恐らく伊達政宗の会話が漏れてくる。
『だからてめぇも大概しつこい野郎だな!!いねぇって言ってんだろうがよぉ!!!』
『Ha!!嘘が下手だねぇ‥。あんたのその態度じゃ居るって言ってるようなもんだぜ?』
会話を聞きつつは眉根を寄せた。
「もっ元就さん…今伊達さん英語話しましたよッ!?」
「えいご…?異国語のことか?」
「は?あっはぃ…もう英語なんて普及してるんですねぇ…。」
「伊達政宗は異国語を操ると言われているな。」
「へぇ…ってなんか雲行きが悪くなってるような…。」
「何をして居るのだあやつは…」
元就は呆れたように溜息を付いた。
『いい加減諦めて帰れって行ってんだろうがッッ!!ぶっ倒すぞコラァ!!!』
『おぅおぅ。怖いねぇ。鬼が島の鬼ってぇのは肝が小さい男だねぇ。』
『てめぇ…』
恐らく立ち上がり啖呵を切っているであろう元親を想像しは苦笑した。
「そろそろ行ってきます!」
「なっ!こらっ!」
元就が捕まえる暇も無くは勢い良く部屋を飛び出していった。
スパ――ンッ
「元親さん!」
「「!?」」
は部屋を飛び出した勢いのままに部屋に突入した。
景気良く開いた襖に元親と政宗は驚いたように彼女を凝視した。
「お客様に対して態度が酷すぎますよ元親さん!」
「なっおっお前なんで!?部屋にいろって言ったろうが!!」
「あんな会話聞いてたらじっとなんてしてられませんよ!」
「おまえなぁ…。」
「それよりなんですかあの言い方は!お客様に対してそれが一国の主の対応ですか!」
「だってよぉ…。」
いち早く彼女の元へ飛びついた元親は最初の勢いは何処へやら彼女の無心の気迫に押され語尾が弱くなっている。
その時。元親の背後で青い着流しが動いた。の視線が元親から其方へ向く。
「ぁ…。」
「あんた…。」
「へ?」
「おっおぃッ!?」
元親を横へ押しやりの目の前に現れた男。
元親とは反対の目に付けられた黒い眼帯と色素の薄い茶色の髪。
歳の割には鋭い視線がを見据えていた。
ややその視線は驚きに見開かれていたが。
「わっ!!」
「やっぱりあんた…あんただったんだなッ!!」
「わわっ。ちょっなんですかッ。」
政宗は彼女の肩を掴みそのまま嬉しそうに抱きしめた。
後記
くはぁ・・・やぁっと政宗さんだせたぁ〜。
そしてやっと会えました!!
さぁて…次は面白いことになりそうですなぁvv
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