間小話3







□ 間小話3 □
















「小十郎殿。政宗殿の姿を見かけぬのだが…?」

「あぁ…殿でしたらまた何も言わず何処かに行かれましたよ‥。」

「…アンタ苦労してるよねぇ…。」


胃を抑えて俯く小十郎に佐助は同情した視線を移した。
此方は奥州伊達領。
伊達軍に下った武田軍の真田幸村と猿飛佐助の姿があった。


「せっかく徳川を落としたってのに…何処行ったのかねぇ伊達の旦那は…。」

「ここ数日なにやら噂を気にしているようでしたが…。」

「噂‥でござるか?」

「あぁ〜。それあれでしょ?なんでも四国の鬼の所に天女が降り立っていう…。」

「はい。ですが殿がそのような世迷言を信じるとは思えないのですが…。」

「某。お館様に聞いてくるでござる!」

「あっちょっと旦那!……はぁ…。」

「お互い苦労しますな‥。」

「全く…人の話は聞きなさいっての!それで…伊達の旦那は大丈夫なわけ?」


佐助は隣で苦笑する小十郎に視線を移した。
小十郎は何処か諦めたように溜息を付く。
普段強靭な印象を受ける彼が此処まで破棄を失うのはこと、政宗が関係したことに限る。


「幾らあの方が‥無鉄砲で‥クレイジー天上天下唯我独尊な方でもそんな無茶は‥。」

「……………溜まってんだね…。」

「今頃何処におられるのやら…。」

「あれだったら探しに行ってみようか?」

「‥お願いできますか?」

「了解了解!それじゃ真田の旦那達は頼むね!」

「えぇ。分かりました。」


伊達・武田軍の苦労人二人は頷き合った。
それから少しして、佐助が居ないと騒ぎ出した幸村の対応に骨を折ることとなる。

































「Ah〜…此処が四国か…暑いな。」


普段の戦姿ではない青い着流しを見に纏った男。
奥州筆頭伊達政宗‥政宗は青い海を見渡しニヤリと笑った。


「さぁて…やっぱり城か?」


政宗は馬を城の見える方向に向け不適に笑う。
さらりと色素の薄い髪が四国の風に靡き右目を覆う彼の眼帯が光を反射し鈍く光った。
彼の目的は言わずもがな。
噂になっている『不思議な女』についてだった。
ひとまず自身の知りうる情報と現地での噂を聞き比べようと馬を町へ向けた。

























場所は変わって此方は岡豊城。
噂の的となっている少女は女中と共に調理場に居た。


様。此方はもうなおしてもよろしいでしょうか?」

「あっはい!すいません。」


は女中に対して笑みを浮かべタライの中で粉をかき混ぜた。
丁度良く掴める程度の柔らかさになると掌で丸め始める。


様。餡子は此方に置いておきます。」

「はぃ!色々すいません。」

「いいえ。元親様も元就様もお喜びになられます。」

「そうですか…ね?頑張ります!」

「では何かありましたらお呼び下さい。」

「はい!」


丸めた団子を煮立つ湯に入れながら一息つく。


「餡子があってよかった〜。この時代砂糖とか高級そうだよね…。」


が作っているのは俗に言う白玉団子だ。
ただし、唯のではなく彼女なりのこだわりがある様子。
そもそも一人暮らしの彼女は人並み程度に料理が出来る。
中でも和菓子は好きで洋菓子よりも其方を好んで作っている。
此方の時代にある調理機材で出来るものもやはり和菓子が多く、
は普段お世話になっているからと思い切って調理場を借りたのだ。
勿論密かに女中や家臣の者にもと多めに作っているようだ。


「喜んでくれるといいけど…。」



























後記

とうとう伊達さんが四国に…というか小十郎さんが主役ぽぃな今回;
一応2の小十郎さんを意識して…
後から佐助も登場予定…しかしどうやって絡ませようかなぁ。
伊達さんなら普通に城に乗り込みそうだけど‥;




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