間小話4







□ 間小話4 □
















パンッ!!


「ッ!!」


元親に半ば引きずられるようにして彼の部屋へやってきた。
部屋に入り勢い良く締められた襖には驚いたように身体を震わせる。


「もっ元親さん?」

「……………。」


向き合って座ったものの元親は一向に話し出す様子も無く。
は困ったように彼を見た。


「あの…?」

「伊達とのこと…もっと詳しく話してくれ。」

「はい…。」


真剣な彼の言葉には姿勢を正した。


「二日程前見た夢に小さな男の子が居たんです。」


は一つ一つ確認するように話始めた。


「髪の色も眼帯も今考えれば確かに伊達さんと同じなんです。その子が抱えてることが私と似ていて…。」


元親は彼女が”抱えている事”について考えているようだ。
は少し俯いたまま話を続ける。


「それで…昔の私に良く似てて…。」

「つまりガキの伊達に会ったってことだな?」

「はぃ。まさかあの子が伊達さんだったなんて…それに今の伊達さんが夢のこと自体覚えているのに驚いたんですけど…。」

「どうゆうわけか今の伊達が覚えていた…か。」

「…はぃ…。」


俯くに元親は彼女の頭を大きな掌で撫でた。
彼なりに疑問が解決したらしい。
はおずおずと顔を上げ安心したように微笑んだ。
元親の表情が鬼気迫るものではなく普段の穏やかな様子に戻っていた。


「なぁ。」

「はい?」

「……お前の抱えてる事ってなんなんだ?」

「ぁ……。」


彼女は瞳を見開き元親を見上げる。


「……私の両親は小さい頃に別れていて…父が居なくなってから母がおかしくなったんです。」

「……………。」

「母が自殺するまでずっと虐待…受けてたんです。」


彼女が始めて語る彼女自身の事。
元親は静かに聞いていた。
両親は彼女が幼い頃に離婚し、母親は父親に似ていたに対して暴力ではなく”言葉”で虐待していた。


「お前なんか生まなければ良かったって何度も言われました。」

「ッ…。」

「あっごめんなさい…なんか変な話で…元親さん?」


話し終わって辛そうに笑う彼女を見て元親は眉を顰めそのまま小さな身体を抱き締めた。
は驚いた様子で彼の胸に抱かれている。


「もっ元親さん…?」

「無理すんな。」

「ぇ…。」

「無理して笑うんじゃねぇ!一番辛かったのはお前だろうが!」

「ぁ……。」


無理して笑ってる。そんなの変だよ!無理して笑う位なら泣きな!!一番辛いのはなんだよ!!』


以前に言われた言葉と元親の言葉が重なった。
は糸が切れたようにぼろぼろと涙を零した。
元親の首元にしがみ付きながら声を殺して泣き続ける。
彼は震える彼女の頭を優しく撫でる。


「っ…ひぅ…。」

「声出せよ。大声だして泣いちまえ。ここには俺しかいねぇんだからな。」

「ふぁッ…ぁああああ!!!」

「……自分を抑えるんじゃねぇ。」


何時の頃からか声を殺して泣く事を覚えた。
何時の頃からか辛いのを隠して笑う事を覚えた。

ありがとう。元親さん…。
これからの自分を変えていけるかもしれない。

















後記

内容がややシリアス気味。次からはテンション上げて行きましょうか!
主人公さんの過去が明らかに…。さてさて伊達さんとどう絡ませようか。




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