レモンの飴玉






レモンの飴玉

















ひょんな事から「ハリーポッター」の世界へ来てしまった主人公。
ダンブルドア校長の計らいでホグワーツへ入学する事になった。
彼女の名前は
生まれも育ちも日本人。
魔法は好きでも、自分にはそんな力など無いと思っていた。
けれど、彼女には普通とは違う能力が…。
そして人目を引くその容姿。
長く艶やかな黒髪に、長い睫に彩られた黒曜石のような瞳。
雪の様に白い肌に桜色の唇。
日本人特有の幼い顔。
そしてその誰にでも平等に接する優しさ。
おまけに鈍感で天然
彼女が入学してからホグワーツに様々な伝説を作った。
このお話もまたその中の小さな出来事。









「ミス・。放課後、此処へ来たまえ。」

「はい!」


はこの年入学するハリーポッターと同じフリフィンドールに入った。
普通ならばスリザリンの寮監であるスネイプには目の仇にされているはずである。
だが、彼はに対してだけは明らかに対応が違う。
彼女が質問すれば至極丁寧に教え、驚いたことに点数を与える事さえある。


‥大丈夫なの?私もついていきましょうか?」

「ううん。大丈夫だよ〜。」


同室で親友のハーマイオニーは心配げにの顔を見ていた。
と、そこに眼鏡をかけたくせっ毛の黒髪の少年と赤髪の少年が走ってくる。


!放課後スネイプの所に行くの?」

「あんな奴の言う事なんか聞かない方がいいよ!」


「ハリーにロン‥;大丈夫だよ。多分なんかの手伝いとかじゃないのかな‥。」

「でもあのスネイプだよ?幾らには優しいからって。」

「いや!優しいからこそ危ないんじゃないか!!フレッドとジョージが言ってたぜ。」

「なんて?」

「スネイプがだけに優しいのはきっとロリコンだからって!」

「…………(セブルス…酷い言われようだね。)」

「でも仮にも先生なのよ!そんな不謹慎な…。」

「分かんないだろ?」


一人ロンの言葉を考えていたハリーは顔を上げる。


「絶対スネイプからを守らないと!」

「いや…ねぇ…みんな?」

「僕達も付いていくよ!」

「うん。教室の前で待っとく!」

「そうね…はおっちょこちょいだもの‥。」

「話聞いてよ…」


妙に意気投合し何やら話し合っている親友達にやや疲れた溜息を漏らす
彼女とスネイプの関係。
それは彼女がこの世界に来た時のこと。
彼女を見つけたのは他ならぬスネイプだったのだ。
それからダンブルドア校長が彼を彼女の保護者に任命した。
始めは面倒ごとを押し付けられたと不機嫌だったものの。
数日彼女と過ごす内に、彼女の優しさ、愛らしさに彼自身が変わって行った。












親友達はこそこそとの後ろから彼女を守るために付いて来ている。


「はぁ…」


コンコン。
重量感の在る扉を叩く。


「スネイプ先生。です。」

「入りたまえ。」


教室に入ると、スネイプが椅子に腰掛け待っていた。
彼女は合えて生徒らしく振舞う。


「えっと‥それで先生。何の御用でしょうか?」

「?…どうした?」


は無言で廊下の方を指差す。
それだけで何事か悟ったスネイプは眉間に更に皺を寄せ彼女の手を掴むとわざと声を上げて歩き出す。


「薬品の整理を手伝ってもらう。来たまえ。」

「はい。」


二人は教室の奥のスネイプの自室へと入っていく。
教室の外からは三人分の焦ったヒソヒソ声が聞こえた。


「(ちょっとどうするのよ!が奥に連れてかれちゃったじゃない!)」

「(鍵が掛かってるっ!!)」

「(どうしよぉ!!!)」







「ポッターだな…。」

「アハハ。んで何の用事だったの?」

「あぁ。さっき言った通りだ。」

「薬品の整理?」

「あぁ。」


スネイプは部屋の隅に置かれた薬品棚へ行く。
一つを手に取ると彼女に見せる。


「ラベルが消えている物や中身が無い物を分けてくれ。」

「了解!!」


スネイプは彼女を棚の前に残し、紅茶の用意をし始める。


「そういえばセブルスはロリコンって本当?」

「な"っなんのことだっ!!」

「フレッドとジョージが言ってたの。」

「…くだらん。」


眉間に皺を寄せたままぶつぶつと呟くスネイプにはクスリと笑みを浮かべる。


「ん?」


羽音と共に何かが部屋の扉の前に置かれた気配がする。
は今だ紅茶に専念しているスネイプの横を抜け扉を開ける。


「なにこれ?」


何処からか梟が持ってきたのだろうピンク色の袋が置かれている。


「セブルス〜。お届け物だよ〜。」

「…なんだ。」


彼の目の前にまで持ってきた袋を渡す。
スネイプは袋を胡散臭そうに一瞥しそのまま捨てようとする。


「ちょっ。中身も確認しないで捨てないの!」

「どうせあの双子からだろう。碌な物ではない。」

「分からないじゃん。」


スネイプから奪った袋をが開ける。
中にはたった一つだけ綺麗にラッピングされた飴玉が入っていた。
はそれを手に取り眺めてみる。


「飴玉だ…うわ〜綺麗な色〜…。」


その飴は虹色に輝き宝石のようだ。
スネイプは今だ疑いの眼差しで飴を見ていたが次の瞬間焦った顔になる。


「ねぇねぇ要らないんならこれ食べていい?」

「そんなもの捨てろ。」

「だって勿体無いもん!捨てるんならいいよね。」

!」


小さな包みを開き飴を食べようとしたを慌てて止める。


「むっ…ならセブルス味見してみてよ!そしたらいいでしょ?」

「むぅ…。」


双子からの物と分かっていて口に等したくない。
だが、此方を見上げるの願いを聞き入れない事も出来ない…。

スネイプは意を決しての手から飴を取ると口へ放った。


「どう?味は?」

「…………甘い。」

「それだけ?」

「あぁ‥。」


可笑しなことにスネイプの予期していた何らかの”悪戯”も起こらない。
訝しげに眉を寄せを見る。
「なんだ〜今度二人に貰おう。」等と言いながら棚へ戻ろうとしていた。


「何?セブルス?」

「戻る必要は無い。」

「へ?だって薬品の整理でしょ?」

「必要ない。」


スネイプはの腕を引き寄せ彼女をきつく抱きしめる。
行き成りの事に驚いたは慌てて離れようとする。


「ちょっ。どうしたの!?」


自分から抱きつく事は合っても抱き付かれることには慣れていないは頬を染める。
スネイプはの耳元に唇を寄せ低く囁く。


「何処にも行くな‥我輩の側にいろ。」

「えっ?え??せっセブルス?どうしたの!」


彼女を抱き締める力を緩め自身を見上げてくるの瞳を見つめる。
ただ事ではないと悟ったはあらん限りの力を込めてスネイプを押し飛ばす。


!!何処へ行く!」

「いやぁああ!!セブルス変〜!!!」


大慌てでスネイプから離れたは扉を蹴破る勢いで飛び出し、教室の鍵を慌てて開ける。
すると其処には驚いた顔の三人の友人。


!どうしたの!?」

「何かあったの!?」

「大丈夫?なにもされなかった?」

「みんな逃げてっ!!」

「「「えっ?」」」


飛び出してきたに驚いた三人は彼女の後ろを見る。


「「「スネイプ先生?」」」

「先生が可笑しいのっ!!!」


は友人達を残してダッシュで階段を走り抜けていく。
スネイプはハリー達には見向きもせずを追いかける。


「待ちたまえ!!!」


呆気に取られていた三人はふとあることに気付いた。
普段スネイプはのことをミス・と言うはず‥
これはただ事ではないと三人も慌てて二人の後を追った。
































後記

初ハリポタvvそして先生ですv
連載用に貯めてたネタをちょっとだけお披露目v
因みに連載はこの主人公さんで書く予定でありますv
長くなりましたので続きます(笑)








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