MATRIX-1
THE INNOCENT PROGRAM
【 1 】
「んっ……ぁれ?……。」
朝日が差し込む部屋の中。は薄っすらと瞳を開ける。
隣で寝ていたはずの存在が無いのに気付いてゆっくりと起き上がると辺りをぼやける視線で見渡す。
「セラフ……?」
はベットから降りると部屋を出て居間へと向かった。
居間に入ると、ソファーには見知らぬ女性が座っていた。
女性は柔らかな微笑で彼女を見、声を掛けてきた。
「あら、ようやくお目覚めね。今日は大分お寝坊さんね?」
「ぇ…っと………あれ?もしかして……オラクル?」
「えぇ。そうよ。」
「どっどうしたの?何があったの?」
「少し…ね。私は私の選択をしたのよ。」
「そっか…。」
は姿の変わってしまったオラクルの隣に腰掛け彼女を見る。
「オラクルの選択って?」
「ある子供を助ける為に…ね。」
「そうなんだ…。あっ私可笑しな夢を見たの!」
「夢?」
「うん。ネオとトリニティとゴーストとナイオビさんが出てきたの。」
は昨晩見た夢のことを事細かにオラクルに説明した。
オラクルは彼女の話を静かに聞くと彼女の両の手を握り微笑んだ。
「。良く聞いて。貴女の見た"夢"は"現実"よ。」
「夢が…現実?」
「そう。貴女が見聞きしたものは全てその時に起こった事。トリニティは助かった。でもネオが…」
「ネオ…ネオに何かあったの?」
「身体と心が離れてしまったの。ネオは今一人で迷っているのよ。」
「助けられないの?」
「大丈夫。彼女達がもう少ししたらくるわ。今セラフに連絡させているから。」
「そっか………あの。」
「彼女たちに着いて行きたいのね?」
「うん…。」
「貴女が決めることよ。」
「ありがとうオラクル。」
「…。」
「ぁ…セラフおはよう。」
「おはようございます。朝食が出来ています。」
「うん。」
居間へ入ってきたセラフと共にキッチンへ向かう。
オラクルは優しい眼差しで二人の背を見送った。
「セラフ‥。」
「なんですか?」
「セラフもネオを助けに行くの?」
「……場合によります。私はオラクルの守護者ですから。」
「そっか…。」
は温かい紅茶を両手で抱え飲み干しながら朝食を運んでくるセラフを見上げる。
セラフは彼女の瞳を見つめ苦笑する。
「貴女は救世主を助けに行くつもりなんですか?」
「……うん。」
「……仕方ありませんね。」
「ごめんなさい。」
伏目がちに見上げてくる彼女にセラフは笑みを浮かべの頭を優しく撫でた。
それから暫くして彼女が身支度を整えた頃セラフがトリニティとモーフィアスを連れて部屋にやってきた。
は入って来たトリニティに思いっきり抱き付いた。
「トリニティ!!」
「!!」
トリニティの腰にしがみ付きながら満面の笑みを浮かべる。
「トリニティ傷は大丈夫?」
「えぇ。もういいわ…。あの時はありがとう。」
「私は何にもしてないよ。」
「いいえ。あなたのお陰よ。」
「お話は其処までで…いいかしら?」
「ぁ……。」
はトリニティから離れセラフの隣に行く。
セラフは不思議そうな顔で彼女を見ている。
「何かあったんですか?」
「ちょっとね…。」
トリニティとモーフィアスはオラクルの姿が違うことに戸惑っているようだ。
話の様子からどうやらセラフがトレインマンという人物を知っているようだ。
は小声でセラフに問いかける。
「セラフ。トレインマンって‥メロビンジアンさんのお仲間さん?」
「えぇ。そうです。」
「じゃあトレインマンさんに頼めばいいのかな?」
「…うまく行けば…。」
「う?難しいの?」
「そうですね…。」
二人がこそこそと会話している時モーフィアスはオラクルに色々と聞いていた。
「ねっセラフ。」
「なんですか?」
「オラクルの予言は外れたの?」
「……それは分かりません。」
「そっか…でも。」
「?」
「予言の通りになるなんて可笑しいよね。ネオが選択して確かに変わった事だってあるんだし。」
「そうですね。」
セラフはの言葉にふっと笑みを浮かべる。
その時話し終ったモーフィアスとトリニティが此方を向く。
「…貴女は…。」
「あっ私も一緒に行くよ。勿論。」
「だが…。」
「私だってネオを助けたいもん。」
「言っても聞きませんよ。さぁ…行きましょう。」
「む〜。」
セラフに半ば強制的に話を終わらされを引きずるように玄関に向かうセラフに三人は苦笑した。
後記
レボリューションズ編!!!
なんだか急ピッチで進んでいるような…。
さて次はトレインマンでしょうか?
主人公さんの戦闘シーンがようやく…かなぁ??
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