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PROGRAM OVERRULES A DEATH

Act.1----現れたのは無垢なる異邦人




























「珍しいなぁ…こんなに星が見えるのって。」


は一人アルビトロの城の屋上に居た。
理由は至極簡単で。
たまたま自室から空を眺めていた彼女は城の屋上なら更に景色がいいのではと考えた為だ。


「すごい綺麗。」


は上機嫌に微笑み扉を背に座り込んだ。


「セラフどうしてるのかなぁ。」


少し顔を俯かせながらも暗い思考を振り払うかのように夜空に視線を向けた。


「セラフも観てるのかな…空。」


日常より近く。
まるで手が届くかのような錯覚に陥るほど星々は輝いていた。
はゆっくりと瞳を閉じ夜の闇に包まれるようにすぅっと寝入っていった。
目覚めた先に違う世界が広がっていることも知らずに。















『 俺は…私は化け物…? 』


見えるものは燃え盛る炎と。


『 違うッ!! 』


炎に扇がれて散る銀糸。


『 実験? 』


女性の言葉と。


『 ごめんなさい…。 』


人々の悲鳴と。


『 私の罪だ。 』


男性の嘆きと。


『 母さん… 』



切ない響き。
















頭に響く声と熱。
直接響いてくる声はどれも辛い物で。
は夢の中でぎゅっと瞳を閉じた。

薄く瞼を通して感じる光の強さにの意識が浮上する。
固い感触に昨夜の事を思い出し、苦笑した。


「……グンジ達が心配して…ッ?」


光に慣れようやく瞳を開くと周囲の景色には言葉を無くした。
アルビトロの城でもなく。
ましてや屋上でもない。
彼女が要るのは綺麗な花畑だった。


「は…?ぇ?此処…何処?」


は現状を把握しようと周囲に視線を這わせる。
荒廃した建物とそれとは相反して強い生命を見せ付ける花々。


「教会?‥トシマに教会なんてあったっけ?」


は首を傾げるばかり。
その時不意に声が掛かった。
彼女は条件反射のように腰の刀に手を掛け相手を見据えた。


「大丈夫?」

「ッあ…(女の子?)」


茶色く長い髪に大きなリボン。
ピンク色のワンピースを着た柔らかな雰囲気を持った女性が心配そうに此方を見ていた。
は呆気にとられ呆けた顔をしている。
そんな彼女の表情に女性は微笑むと手を差し伸べた。


「すっすいません…。」

「ううん。でもどうしたの?あなたソルジャー?」

「ソルジャーって…兵士ですか?」

「あれ?違うんだ。てっきり…」

「あのそれより此処は…?」

「此処は…」


ドサッ!!


「「 …………。 」」


女性の手をとり起き上がりかけたの上に行き成り何かが落ちてきた。
二人は思わず押し黙り、はあまりの重さに潰れた蛙のような声を出した。


「おっ重ィィィィイ…」

「だっ大丈夫!?」


の悲痛な悲鳴に女性は慌てて彼女を引っ張り出す。
よくよく見てみるとの上に落ちてきた物は男性だったようだ。
青年というより少し幼いイメージもあるがそれは彼が瞳を閉じているからだろう。


「あ〜…重かった…。」

「あれ?この人…」

「知り合いですか?」

「ちょっと前にね。それより。私はエリアス・ゲインズブール。あなたは?」

「あっ私はといいます。えっと。とりあえず。この人起こしたほうがいいですかね?」

って言うのね。あっ敬語じゃなくてもいいよ?うんそうだねー…気を失ってるみたい。」

「外傷はないみたいだけど…一応。」

「!」


は徐に気を失った男性に手を翳した。
掌から溢れる淡く蒼い光。
光は男性を包み込む。
彼女は一呼吸置くと彼の様子を伺った。
エアリアスは驚いたように彼女を見ている。


「これで大丈夫…ん?どうしたの?」

…今の?魔法使ったの?」

「魔法?ううん。そうじゃなくて…。」


彼女の疑問にが答えようとした時。
倒れていた男性が小さく声を漏らした。


「うっ…く…?」

「あっ気が付いた?」

「大丈夫ですか?」


彼は綺麗な金髪の頭を軽く振るい焦点を定めるかのようにを見た。


「此処は…?」

「此処は五番街スラムにある教会よ。」

「五番街スラム??」


エアリスの言葉に男はから目線をはずし、
は聞きなれない言葉に首を傾げた。
男性はゆっくりと立ち上がるとあたりを見渡した。


「あんたが助けてくれたのか?」

「助けたというか…。」

「ん〜とね。君がの上に落っこちてきたの。」

「!?……悪かった。」

「いや。不可抗力ですから。別に…それより五番街スラムってなんですか?」

「へ?もしかしてミットガルは初めて?」

「ミットガル??」


は更なる地名らしき言葉に首を傾げた。


「う〜ん。とりあえず。詳しいことはあとで説明するでいいかな?」

「あっうん。ありがとう。」

「いいえ。」


不安げなを気にしてか優しく微笑むエアリスにもおのずと笑顔になる。
そんな二人の会話を訝しげに聞きながら今度はエアリスが男性に話しかけた。


「あなた前にお花買ってくれたよね?」

「あぁ…あんたはあの時の。」

「エアリス・ゲインズブールだよ。あなたの名前は?」

「…俺はクラウド・ストライフ。」

「そう。クラウドね。よろしく。あっ彼女は…。」

です。」


話を振られたはクラウドに向き直り花の様な微笑と共に大きく頭を下げた。


「………?(何だ…?)」


心の中に引っかかるもの。
彼女の微笑を見たときに感じた暖かな物。
クラウドは妙な感じを覚えつつ彼女を見つめていた。

そんなクラウドに二人は全く気づかず、彼が落ちてきたらしい所を見上げていた。


「それにしても上で何かあったの?」

「どうして落ちてきたんですかね??というか上??」


二人の疑問にクラウドは簡単に仕事をしていたと答えた。
何の仕事?と会話している二人を他所にはピクリと反応した。

不意に彼女は何者かの気配を察し両刀を引き抜き振り返った。
其処に多々静かに立っているのは黒いスーツを着崩した赤い髪の男性だった。
は血のように赤い髪を持つ彼を見て驚いてる様子。


「…(赤ッ…地毛?いやいやあんな人種見たことないし…)」


繁々と見てくる彼女の視線に男はにやりと笑う。


「あなた‥また来たの?」

「まぁこれも仕事だからな。お嬢さんが一緒に来てくれれば俺も毎日来ないぞ、と。」

「絶対にそっちに行きません!ツオンさんにもそう伝えてください。」


男性をやや睨むように見据えエアリスは自身より小柄なの背に隠れた。
はエアリスの態度と男性を見つつ首を傾げた。


「(もしかして…エアリスって狙われてるの?)」

「で、そっちのお嬢さんは初めてだな、と。」

「?(口調が…面白い…)」


不謹慎なことを考えていた彼女に不意に蒼い視線が向く。
は刀を構えたままきょとんとした視線を彼に向けた。


「俺はレノ。お嬢さんのお名前は、と。」

「は。えっとです。」

「そうか、よろしくな、と。」


何処か子供のように笑う彼には呆気にとられたような顔をした。
すると彼女とレノの間に割って入るようにクラウドが自身の大剣を構えて立った。


「お前…新羅の犬だな!」

「シンラ?」


首を傾げるを他所にクラウドは彼女達を庇うように剣を構える。


「とにかくあんた達は逃げろ!」

「えっでも。」

「お花を踏まないでね!」


躊躇うを他所にエアリスは彼女の腕を引き踵を返した。


「…どうします?」

「うーん…。」

「それよりなんでタークスなんかに…。」

「タークス?」

「新羅の精鋭部隊のことだよ。」

「なんでそのタークスにエアリスが追われて??」

「もしかして素質があるとか?」


ふふっと笑うエアリスには苦笑しつつ眼下を見た。
3人は教会の天井の方へ逃げ込んでいる。
どうやらあの後レノが他の新羅兵を呼んだらしく彼らが上へ上がろうとしているようだ。


「そうだ!」


エアリスは掌を叩きクラウドを見た。


「何でも屋さんってボディガードとか頼めるかな?」

「……出来るが…。」

「うーんでも報酬がなぁ…あっじゃあデート一回でどう?」

「………。」


エアリスの言葉にクラウドは暫し考え苦笑と共に薄く笑った。


「考えておく。」


エアリスは彼の返答ににっこりと微笑み今度はを見た。
彼女は眼下の兵の動きに集中している様子。


「ねぇ。あなたも一緒に来てくれるよね?」

「へ?あっ。うん。詳しいこと聞きたいから…。」

「あんた戦えるようだな。」

「あ…まぁ一応ですけど。」

「それなら行くぞ!」


クラウドはよじ登ってくる新羅兵に気づき声をかけた。


「奥に出口があるわ!其処から逃げましょう!」
















「ふっ二人とも早いよ〜。」

「ごめん!…大丈夫?」

「ふー…そういえばクラウドってソルジャーなの?」

「元…な。」

「やっぱりその瞳はそうだろうなぁって思った。」

「瞳?」


はエアリスの言葉にクラウドの瞳を見上げた。
彼はサチの視線に僅かに躊躇い青緑の瞳を彷徨わせながらも答える。


「魔晄を浴びた瞳の色は青緑色になる。」

「マコウ…???」

「さっ行こうか!」

「わわっエアリスッ!!」


エアリスに腕を引かれながらはこけそうになるのを必死に堪えた。
クラウドはそんな二人の後を静かについて行った。
3人が行き着いたのは花が咲き誇る小さな一軒屋。
エアリスは扉を開き二人を中に招いた。


「ただいまお母さん!」

「お帰りエアリス。…そちらは?」

「あの人達から助けてくれたんだよ。こっちは。友達なの。」

「はっ始めまして。」

「いらっしゃい。エアリスを助けてくれたのね。」

「いえ。そんな…。」

!部屋に行きましょう!色々話さないと!」

「わ〜。」


エアリスは嬉々としての腕を引き二回へと上がっていった。
どうした物かとため息を付き2階から彼を呼ぶ声が響きしぶしぶ彼も2階へ上りかけた。
そこでエアリスの母エルミナに引き止められた。


「あんたソルジャーだろ?」

「もう昔の話だ。」


言いづらそうに言葉を紡ぐエルミナを他所にクラウドは素っ気無く返した。


「エアリスを助けてくれたのは有難いけど…今夜中に出て行ってくれないかい?……ソルジャーなんてまたエアリスが悲しい思いするだけだから。」


クラウドは訝しげにしながらも再度呼ばれた自身の名に仕方なく二階へと上がっていった。



























後記

書いてしまった…うーというかプレイしてかなりブランクがあるんでかなり曖昧。
やばーい。台詞とかちがくてもお気になさらず(笑)
次は〜…女装クラと主人公さんへのお話とかかな。




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