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戦乱の世の花
□ 第五話 □
「そういえば…元親さんも元就さんも…正妻の方や側室の方っていいんですか?」
「「は?」」
朝食も終え縁側にて緩やかに茶をしていた時。
不意にが前々から疑問に思っていた事を思い切って聞いてみた。
彼女の言葉に二人は顔を見合わせている。
「あっあの。この時代って早くに結婚するって聞いたんですけど…」
「あぁ…まぁ確かにそんな話があったなぁ…。」
「あった…って結婚してないんですか?」
「してねぇよ。そもそもそんな暇なかったしな。」
「我もしておらぬ。」
「そうなんですか…。」
この時代って確か政略結婚とか普通にあった時代だよね。
そもそも側室なんて愛人が堂々と認められてた時代だし。
「だが突然どうしたのだ?」
「あっ…えっと…私みたいな変な女が居るのはやっぱり奥さんも嫌だろうな…と思って。」
「そういやぁの時代じゃ恋愛も自由なんだよな?」
「はい!好きな人と結婚して勿論愛人…側室なんてもってのほかです!」
「ほぉ…だが今この時代でそのような浮かれた話もなかろう。」
「そうなんですか…あっでも織田信長さんとか伊達政宗さんって奥さん居ますよね。」
確か史実では有名な話だったと思う。
彼女の言葉に元親は首を傾げた。
「伊達…ったら奥州の独眼竜かぁ…あいつはまだ未婚だろ?」
「え?でも…(確か17位で奥さん居なかったっけ?)」
「織田信長には濃姫という奥方が居るが…独眼竜にはいなかったはずだ。」
「そうなんですか…(やっぱり史実とは違うのか…)」
「他で有名ったら織田軍の前田家だろうな。」
「前田利家の良妻まつ殿だったか…。」
「あぁそれは聞いたことあります!ドラマにもなってたし‥。」
「どらま?」
「きっ気にしないで下さい。」
彼女が史実として知りうる事はやはりゲームの世界とは違うようだった。
そもそも彼女は学校の授業で習う大まかな事しか知らないのだが。
は手にしたお茶を飲みほぅっと溜息を付いた。
「どうした?」
「あっいえ…此処に来て大分経ちますが…今戦乱の真っ只中だなんて信じられなくて。」
「あ〜…確かにな。」
「今は武将達も息を潜めているようだがな。」
「そういえば‥他の軍の状況ってどんな感じなんですか?」
「他の軍…か。」
「奥州の独眼竜が勢力を広めている。」
「あぁ。北の一揆も鎮圧して、挙句武田も取りやがった。」
「武田…って!?武田信玄ですか!!?」
「おぅ。しかも普通なら戦で勝てば敵の頭は打ち首だ。」
「だが、独眼竜は武田信玄を自軍に下らせたそうだ。」
「あの甲斐の虎を…。」
「あぁ。しかも武田公自身が伊達の部下になったって話だぜ。」
「えっと…それはつまり…大将を殺さないで自分の仲間にしたって事ですか?」
「そうだ。…元々の伊達軍の軍勢に武田の軍勢も加わりかなりの勢力になっているようだ。」
「はぁ〜…なんかすごいことになってますね…。」
「上杉謙信は也を潜めてるし。織田軍はまぁ…やらかしてるようだがな。」
は少し不安げに二人を見た。
「此処も攻められますよね?」
「まぁ戦だしな。……不安そうな顔すんじゃねぇよ。」
「何があろうとも我等は負けぬ。」
「しっかり守ってやっから。」
「案ずるな。」
「はぃ…ありがとうございます!」
二人に頭を撫でられは嬉しそうに微笑んだ。
元親から貰ったピアスが日光を反射してキラリと光った。
「なぁ元就…。」
「なんだ?」
「の話…どれだけ広がってんだ?」
「奥州まで流れているだろうな。」
「ちっ…やっぱりかよ。」
「よからぬ噂も出ているようだ。」
元親と元就はが部屋に戻ったため二人で縁側で話していた。
話の内容は彼女のことについて。このような時代少しの異変はすぐに広がってしまうもの。
「噂だぁ?」
「天から降りた天女。どんな傷も治す癒しの巫女。戦に勝利をもたらす者。様々だ。」
「どれもあてはまらねぇな…。」
「女。という所だけか…。」
「つーことは…攻めて来る可能性があるのは今徳川と戦してる独眼竜か…織田信長ってことか。」
「九州の島津とバテレンも居るがな。」
「まぁ…どんな敵が来ても問題ねぇな。なんたって此処は鬼の島なんだからよぉ。」
「そういう問題ではあるまい‥。」
「富嶽を見て帰った奴はいねぇ。それにお前だって居るしな。」
「………そうだな。」
「四国と中国守りきってみせるぜ。それに天下も頂くしな!」
「も守るのだろう?」
元就の言葉に元親はにやりと笑った。
「当然だろ?」
穏やかなこの日々が突然変わってしまうなんて思いもしなかった。
後記
うちの連載では正妻さんスルーで(笑)今回会話ばかりなのはご了承を;
武田軍と伊達軍は諸事情の為合同軍?になってもらいました;
この分じゃ徳川も下りそうだな‥。次からは急展開です。ようやく武田と伊達出せる〜v
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