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□ 第十一話 □
















吹く風に舞い散らされる黒と白。二人の髪の毛が混ざり合う。
風が収まった時不意にが話しかけた。


「怪我‥酷いんですか?大丈夫ですか?」

「……………。」


男は暫く考えるように彼女を見据え言葉の意味を解したとばかりに小首を傾げた。


「貴女は……私が怖く無いのですか?」

「え?……そりゃ…いきなり鎌持った人が出てくれば怖いですよ。」


あっけらかんとした彼女の返答に男は困惑した。


「私は貴女を殺そうとしているんですよ?」

「まだ殺されて無いですよ?」
「……………変わった( ひと ) だ。」


男はまじまじとを見据え構えていた鎌を下ろした。


「ッ…。」

「わっ!?」


その途端。
まるで張り詰めていた物が切れたのかのように男の身体が崩れた。
は慌てて支えようとするものの体格差の為にそのまま男に押し倒される。


「だっ大丈夫ですか!ちょっと!ねぇ!!」


男の白い頬を掴み声を掛けるが気を失っているのか返答は無い。
はなんとか男の身体の下から這い出した。


「どっどうしようっ。」


は周囲に視線を這わせるものの辺りには誰も居ない。
人を呼びに城に戻るにしてもその間にこの男が居なくなるか、追っ手が来るかもしれない。
そう考えたは男の傍を離れるに離れられなかった。


「………やっぱり‥怖い人じゃなかった…。」


本当に狂っているのなら、躊躇わずあの時私は殺されてた。


さらりと男の顔を隠す長髪を指で払う。
その時。聴きなれた声が響いた。


〜?お〜ぃ。どこ行った〜。」


はすぐさま顔を上げ声のする方に立ち上がった。
離れた所に見慣れた銀髪眼帯の元親が彼女を探している。


「元親さ〜ん!!こっちですよ!!ここです!」

「おぉ!んな所に…ッ!?」


彼女の姿を確認した元親は彼女のすぐ近くに倒れている男を見て顔色を変えた。
慌てて彼女に駆け寄るとは動揺していたのか元親に飛びついた。


「元親さん!すごいナイスタイミングですよ!」

「なっ…こいつは…?。なんともないか?こいつに何かされたのか!?」

「違うんですよ!この人倒れちゃって。凄い傷なんです。だからお城まで運ぼうと…。」

「はぁ?」


一気に捲くし立てたの言葉に元親は胡散臭そうに倒れている男を見下ろす。
一番に目が行くのはやはり手に持った鎌だった。
元親は眉根を寄せ思案しているようだ。


「元親さんお願いします!この人死んじゃいますよぉ!!」


元親の上着を掴みうっすらと涙を溜めた瞳で必死に頼むを一瞥し、彼は大きく溜息をついた。


「っはぁ〜…しょうがねぇな…。」

「ありがとうございます!!」


どう考えても敵の武将だろうと思いながら元親は男を肩に抱え上げた。
その際、彼が手にしていた鎌が乾いた音を立てて下に落ちる。
は何時の間にか取ってきたのか野草の入った籠を手に持ち落ちた鎌を拾い上げた。


「………平気か?」

「はい!さぁ。急いで帰りましょう!!」

「………………(元就がウルセェだろうな。)」

























「…全く…は何を考えておるのだ。」


元就は額に手を当て軽く頭を振った。
その隣で政宗が腕を組み先程元親が抱えてきた男を凝視していた。


「…まさか話してた通りになるとはなぁ。流石Honeyだ。」

「やはり…逃亡中の明智か…。」

「だろうな。やりあった事は無いが…噂の通りだ。それに家紋。」

「今は床に伏しているが……厄介な物を拾ってきたな。」


二人の話を少し離れて聞いていた元親は男‥明智光秀が眠る隣で布を絞り汗を拭うを見る。


「ぐだぐだ言ってもしょうがねぇ。拾って来たもんはどうしょうもねぇだろうが。」

「……お前は…。はぁ…。」

「まぁ。確かにそうだな。それに……Honeyがあれじゃあ‥な。」


三人の男の視線も意に介さずは眉根を寄せ光秀を見つめる。
呼吸も安定し、思ったより外傷は酷く無かった。
疲労・栄養不足等が倒れた主な原因のようだ。
一応危険な為彼の武器は元親達が管理している。
戦衣を脱がされ灰色の着物に包まれて静かに眠る。

光秀眠る部屋の入り口には兵を置き。
彼が目覚めるのを待つ事となった。



















後記

なんだか無理やりな気が…っああ。元就さん話し方が難しい〜;
明智さん寝てます。次は逸話かな。
さてさて・・・。




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