CHANGE!!=NOON=





CHANGE!!
= NOON =





























と赤屍が共に生活を始めて一ヶ月が経った。
ようやく仕事にも慣れてきた頃其の事件は起こった。


「えぇええええええ!?」


銀次が叫んで垂れ化して。


「……ありえねぇ。」


蛮が思わず咥えていた煙草を落として。


さんってすごいです!」

「夏実ちゃんそれはちょっと違うぞ…。」


夏実は無邪気に微笑み、波児は新聞を畳みながらコーヒーを淹れる。


「これはこれで面白いわね。」

「それにしても…一体何があったのよ。」


ヘブンは興味深げにと赤屍を見つめ。
卑弥呼は呆れたように紅茶を啜った。


「まぁ私はこのままでも楽しいですが…ね。」


クスクスと普段の愛らしい笑みからは想像出来ない不適さで微笑む


「わっ私は困りますよッ!男の人の身体だなんて…っ。」


白い頬を朱に染めこちらも普段からは想像出来ないほど情けなく眉根を寄せた困惑顔の赤屍。
現在Honky−Tonkに居る者の視線は不可思議なこのと赤屍に注がれていた。



























事の発端は一つの依頼から始まる。
先日二人は依頼を受けある物を運んでいた。
襲い掛かる奪い屋もなんなく倒しにとっては穏便に、赤屍にとってはつまらない仕事も終わろうとしていた。
依頼品を依頼主に渡した時、事件は起きた。


『あぁ。そういえば…せっかくここまで運んでもらったんだ、君らもぜひ見て行きたまえ。』

『いえ。私達は…。』


初老の依頼主は赤屍の言葉を無視して厳重に梱包された箱を開けていった。


『鏡…?』

『そう。鏡だ。』


の呟きに依頼主は感慨深げに鏡の淵をなぞる。


『変わった鏡ですね。』

『表面が紫色って…(なんかそんな怖い話しあったな。)』


依頼主は其の鏡を紫の鏡と言った。
一昔前に流行った怪談の発端となった鏡らしい。


『これに触れた男女には奇妙な現象が起こるらしい。』

『奇妙な…?』

『そう。信頼しあい、愛し合う者どうしならその愛を証明させる事が出来ると言われている。』


怪談とは程遠い伝説めいた話しには不思議そうに鏡を見つめ赤屍は興味を持ったようだ。
二人の反応に依頼主は笑い鏡を二人の目の前に運んだ。


『試してみるかね?』

『え…。』

『それは楽しそうですね。』

『あっ赤屍さん…。』

『二人で鏡の面に触れれば良いだけだ。』


赤屍は楽しそうに、はおずおずと鏡の紫色の面に手を当てた。


『………………。』

『…特に何も変わりませんね。』

『やはり…伝説っ…!?』

『えっ!?』


暫し待っても何も起こらず二人は手を離しかけたその時。不意に鏡から紫色の光が溢れた。
それは一瞬で、すぐに光は消えた。
依頼主は予想外の事に二人を興味深げに見つめている。
二人の手はゆっくりと鏡から離れていった。


『…どこか変わった所は…無いのかね?』

『いえ。別に…おや?』

『えっ…えぇえええ!?』


”は冷静に返し、”赤屍”は瞳を見開き絶叫した。
ばっと勢い良く二人は顔を見合わせて驚愕した。


…さん?』

『あっ赤屍さん…?』

『すっすばらしいっ!!』


滑稽なまでに依頼主の声が辺りに響いた。






























「で…戻り方は分からないわけ?」

「はぃ…あの後赤屍さんが問い詰めたんですが分からないって言われて‥。」

「どうやら実証した者の話しは伝わっていなかったようです。」

「まぁお詫びにって報酬を2倍にしてくれたんですけど…でも…。」


赤屍は大きな身体(約186cm)を縮ませさめざめと呟いた。


「つ…つまり…見た目はちゃんだけど中身は赤屍さんで…。」

「見た目はクソ屍でも中身はってことか…。」


もう一度ありえねぇと呟いて蛮は口元を引きつらせた。
事の真相を聞いていたヘブンと卑弥呼が不意に口を開いた。


「じゃあドクター・ジャッカル…改めでいいのよね?」

「はっはい。」

「でこっちはじゃなくて赤屍なわけね。」

「そうなりますね。」

『(ややっこしい…)』


一同の思いが重なった瞬間である。


「あぁ。そうだ。はいちゃん。パフェできたよ。」

「あっすいません。波流さん。」


不意に可笑しな沈黙を破り何時の間にか作っていたイチゴパフェを(見た目赤屍)に渡す。
立ち上がりパフェを受け取り波流に礼を言うを見て更に店内は静まり返った。


「…さん何時の間に頼んだんですか?」

「え?あっさっきです。」


沈んでいた気分もパフェのお陰が幾分良くなったらしくはにこにこと微笑む。
普段の赤屍とは違った邪気の無い無邪気な笑みに赤屍(見た目)も思わず口篭る。


「なんだか変な光景ね…。」

「ある意味悪夢だわ…。」


は黙々とスプーンを動かしパフェを食べていく。
赤屍はそんなを眺め不意に白い手を伸ばした。


「クス。…。」

「え?」

「付いていますよ。」


の唇に付いていた白いクリームを指先に取りペロリと舐めた。
彼女は自分のそんな姿に顔を顰め、周囲は普段からは想像出来ないの艶姿に言葉をなくした。
若干頬を染めながら蛮がふと疑問を口にした。


「なぁ…‥メス出るのか?」

「え…?あっ。赤屍さんの?……ん―…どうなんでしょう?」

「メスは私の意志で出しますから…望めば出るのでは?」

「……なんか怖いんでやりたくないです。」

「まぁそれが普通よね。」


半分ほどパフェを食べ上げある視線に気付くとはにっこり笑って何時もの如く彼を呼んだ。


「銀ちゃん。食べる?」


但し。

今の彼女の姿は、銀次の最も苦手としている最強最悪な運び屋…。
銀次は思わず身震いして垂れたままがたがたと震え出した。


「?………あっ…そっか。私赤屍さんなんだ…。」


怯える銀次に(しつこいようだが見た目赤屍)は悲しそうに瞳を伏せた。
そんな彼女を見て赤屍(見た目)は瞳を細め銀次に笑みを向けた。ただし瞳は笑っていない。


「おやおや、銀次クン…さんの好意を無碍にするおつもりですか?」

「ひぅ!?あ、あああ赤屍さんっ。」


見た目はでもオーラは完璧に赤屍。
銀次は涙目になりながら思わず条件反射的に(見た目赤屍)に飛びついた。


「ぎっ銀ちゃん…?大丈夫?」

「うん。うん。見た目赤屍さんでもやっぱりちゃんだよ!」


見た目も声も確かに赤屍だがその雰囲気はの柔らかなもので銀次は安堵した。
いそいそと垂れ銀を膝の上に乗せながらアイスをスプーンに掬って口元まで運んでやる。


「はい。どーぞ。」

「ありがとぉ〜。」


半ば本能で生きる銀次は中身の赤屍にもすんなり慣れたようだ。
しかし傍から見れば不気味過ぎる光景に皆固まっている。


「ともかく…そんな状態じゃ暫く仕事は無理ね。」

「まぁ戦えないわけではありませんが…そうですね。確かに勝手が違う。」


と銀次が仲良くパフェを食べている隣で赤屍と他の面々は今後について話していた。


「にしても精神だけ入れ替わっちゃったのかしら?」

「恐らくそうでしょう。声等は元のままですから。」

「どう考えたってその鏡のせいだろ?割っちまえば元に戻ったかもな。」

「……貴重な体験が出来たのですからもう少し楽しみますよ。私なりに、ね。」

「(絶対なんか変な事考えてるわね…。)」

「(…大丈夫かしら…。)」

「(厄介な事になっちまったな‥。)」


各々の考えに浸る中、と銀次と夏実は仲良く談笑していた。


「それにしてもちゃん。これからすごく不便じゃない?」

「うん…。」

「そうですよね〜。身体は赤屍さんですもんね。」

ちゃん今まで女の子だったもんね…。」

「今までって…そうだね…お風呂とか‥あぁトイレも…嫌だなぁ。」

「赤屍さんの身体だから色々不便だと思うけど頑張ってね!」

「うん…ありがとう。」
























後記

GGでもこんな感じのネタ描きましたが…あれは女体化か。
赤屍さん絶対動揺とかしないで逆に楽しみそうだなぁ。
続きは微エロか…裏か。








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