注射





注射

















「そういえば…予防接種の時期ですね。」

「え?」


ソファに座っていたの隣に紅茶を持って腰を下ろした赤屍は微笑みながら話かける。
はテレビを見ていた視線を彼に向け紅茶を受け取りながら小首を傾げた。


「インフルエンザの、ですよ。」

「あぁ。もうそんな時期なんですね。」

「病院にもかなりの人が来ていますね。さんはお済みですか?」

「あ〜……高校卒業以来していない…です。」


目の前にいるのは現役のお医者様。
は内心怒られるのではないかと気が気ではない。


「おやおや。それはいけませんねぇ…もしや注射が苦手ですか?」

「う…。お恥ずかしい‥。」


赤屍は苦笑すると彼女の頭を優しく撫でた。


「そうですか…ですが…。」

「はっはぃ?」


ガシリと彼女の肩を掴んだ赤屍の笑みは少し恐かった。


「少し注射に慣れて起きましょうか。」

「えっえぇ!?なっ慣れるって。」

「もしもの時の為にアンプルを持ってきていますから。」


赤屍が取り出したのは注射器・注射針・ワクチンのアンプルが入った黒い皮鞄。
は彼の言葉に血の気を無くす。
その途端に暴れ始めた。


「けっ結構ですッッ!!!」

「駄目ですよ暴れては。これもさんの身体のためです。」

「でっでもッッ!!」

「安心してください。痛くしませんから。」

「うぅ。」


涙目のを他所にさっさと鞄を開き医療用の手袋をはめ消毒を始めた。
注射針を刺し直しアンプルを注入する。
片手に彼女の腕を持ち反対の手に注射を持つ。
は恐いのか赤屍のワイシャツの端を皺が出来るほど握り締め瞳をぎゅっと瞑り、
微かに震えている。


「大丈夫ですよ。一瞬ですからね?」

「う〜〜〜っっ。」


彼の言葉に更に身を硬くしたその瞬間。


「はい。終わりましたよ。」

「ふぇ?」


彼の言葉に瞳を開けて見れば既に赤屍は使用器具を片付け始めている。
呆気に取られて固まったままのを他所に赤屍は彼女の手を掴み感部にエタノールのついた脱脂綿を宛てている。


「よく揉んでくださいね?痛いかもしれませんが…。」

「あっ赤屍さんもう注射終わったんですか?」

「えぇ。終わりましたよ。良く頑張りましたねぇ。」

「わぁっ!!すごいです!!全然痛く無かったですよ!」

「それはよかった。さぁ。良く揉んでください。」

「はい!」


予想した痛みも全く無くは上機嫌で注射後を揉み始める。
鼻歌でも出そうな勢いだ。
そんな彼女を横目に見つつ片付けを済ました赤屍が近寄る。


「ご機嫌ですねぇ?」

「えっ。あっだって全然痛くなかったんですよ!赤屍さんすごいです〜!」

「クス。ありがとうございます。」

「にゃ!?」


脇に手をいれ猫を持つように抱えると一旦自身がソファに座り、自分の膝の上に彼女を下ろした。


「…?‥赤屍さん?」

「見せてください。」

「あっはぃ。」


感部を見ながら赤屍の大きな手がの細い腕に触れる。
少し赤い肌を撫で再度優しく揉み始める。
は微かに身動ぎした。


「ッ…。」

「あぁ…そういえば…さんもお好きな注射がありますね。」

「え?」


耳元で楽しげに囁かれた赤屍の言葉には小首を傾げて見上げる。
赤屍は喉で笑いの腕を揉む反対の手でつっと頬を撫でた。


「毎夜喜んで受け入れているではないですか?」

「注射…ですかぁ??」

「クス。」


今だ言葉の意味を解さないに微笑むと耳に唇が付くほど近寄り甘いテノールで囁いた。


「太くて硬い注射がお好きでしょう…昨夜もたっぷりと白い薬を注ぎましたよねぇ?」

「ッッ!!?」


愉悦を込めて、熱い吐息を項に掛けながら囁かれた言葉に、
は一気に耳まで赤くなった。
赤屍は赤く色付いた耳朶を赤い舌で撫で上げながらそっと抱き締める。


「…それでは私の''注射''のお時間ですよ。さん。」


艶然に微笑む笑みは柔らかい微笑でも冷たい笑みでもなく。
押さえ切れない欲情を込めてを抱き上げた。

















後記

注射=お医者さん=赤屍さんという簡単な方程式でした。
しかしえらい季節ネタ+下ネタな気がする…。
こういったストレートな微エロ?物は久々ですね。というか微エロなのか?








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