初夏の出来事
初夏の出来事
「暑い〜〜〜〜っ!!!」
此処は血も凍るドラキュラ城。
盛大な広間に響く少女の声。
豪奢な長椅子にころころと寝転がりながら何事か騒いでいる。
「外に出たいっ!!けど出たら死ぬっ!!あ〜!!」
外は極寒の寒さ。
だが、現在季節を言うならば夏真っ盛り。
部屋の中はもちろん彼女に合わせている為季節の通り夏気温。
そんな彼女の格好は薄いノースリブにショートパンツ。
長い黒髪を高く結い上げている。
「暑いよぉ…マリーシュカ達がいればなぁ…。」
いつもは花の様に楽しげに会話している三人の花嫁達は今はいない。
生憎彼女達は食事の為に城を出ていた。
彼女達が居ればの為にと色々なことをしてくれるのだ。
たとえば氷を持ってきてくれたり、冷たい風を作り出してくれたり…。
「。何をしているのだ?」
「伯爵〜暑いぃぃ。」
「…暑いのなら外に出ては如何だね?」
「死にますからっ。」
起きて来たのか、この城の主ドラキュラ伯爵はの向かいの椅子に座る。
彼女は起き上がり彼を見つめる。
「…………。」
「なんだね?」
伯爵の服装はラフな物だがそれでも季節感無視なのは否めない。
白いシャツに黒の燕尾のジャケット。
「伯爵…暑くないの?」
「私を誰だと思っている。」
「あ〜吸血鬼だもんね…。」
「その通り。私は死人だ。」
はこの城にいる唯一の生者。
彼女の血液は熱く脈打ち。
心臓は規則正しく動いている。
何故、この城に人間である彼女が居るのか…。
それは伯爵が拾ってきたからだ。
どうやって迷い込んできたのか彼女はこのドラキュラ城の前に倒れていた。
彼女の言葉は伯爵達には理解しがたいものだったが、何故だか興味を持った彼は彼女を城においている。
今では花嫁達も妹の様に彼女を可愛がり伯爵も彼女を気に入っている。
あの冷酷なドラキュラの姿が想像できようか。
「…ということは…。」
「?」
彼女は何を思ったのか伯爵の前まで歩いて行く。
すると行き成り彼の膝の上に乗ってきた。
それには流石の伯爵も目を見開いて驚いた。
「なっ!?」
「あ〜!やっぱり冷やっこい。」
彼の胸元に頬を擦り付けるようにしてしがみ付いてくる彼女は一人ご満悦。
伯爵は暫し思考が停止していたのかはっと彼女を見る。
普段、伯爵から彼女を構う事が多い(半ばセクハラ)のだが今は彼女から擦り寄っているという珍しい自体。
彼が驚くのも無理はない。
「…一体なんなんだ?」
「ほら。吸血鬼って体温が無いから冷たいって言うでしょ?だから。」
「………。」
まあいいかと思ったのか伯爵は彼女をほっとく事にしたらしい。
「気持ちいい!あっそれなら…。」
「こっこらっ!?」
は更なる冷たさを求めて伯爵の白いシャツの胸元を肌蹴させ始める。
釦を一つ一つ外す。
「っ……。」
この娘は誘っているのかっ!!
確かにそう考えられるのも仕方ない事だ。
彼女はかなりの薄着をしている。
服越しとはいえの肌はしっとりとしていて熱い。
それ以上に香り立つ甘い香り。
伯爵の理性も際どい。
「この方が涼しいよね。」
「……お前は痴女か。」
「痴女?何それ?」
「はぁ…。」
すっかり彼の胸元を露にした彼女は伯爵の直の胸に擦り寄っている。
確かに傍から見れば痴女だが彼女はその意味を解していない。
彼は深く深く溜息を付いた。
「そういえば伯爵っていい匂いするね〜腐ってないんだね。」
「…お前は…。」
「だって死人でしょ?」
「…………。」
「何だか薔薇というか‥甘いというか。」
彼は薄く微笑む。
「甘いのはお前の方だろう?」
「ふぇ?きゃっ!ちょっと何処触って!」
「誘ったのはそっちだろう。」
「なっ誰も誘ってなんか!やっ!」
彼にすっかり抱き締められ身動きが取れない。
耳元で甘く囁きながら彼の指が彼女の身体を滑べる。
「こんな格好で…甘い匂いをさせているのは誰だ?」
「っ…知らない!!ん…ぁ。」
彼女の身体を片手で拘束しもう片方の手で彼女の露になった項や首筋をなぞる。
その度にの身体はビクリと反応を示す。
「っあ!やっ…。」
「暑かったのだろう?」
「だからって!!触り過ぎっひゃあ!!」
彼女の熱い身体を伯爵の冷たい指が滑る。
するりとタンクトップの中に手を入れると彼女は本気で暴れだした。
「やっやだってば。」
「…全く仕方が無いな。」
そっと手を離した伯爵にはあから様にほっとした顔を見せる。
すると彼はニヤリと笑って彼女の顎を掴み上を向かせる。
「んん!」
「軽く解してやろう。」
「ちょっ!!ふ…」
伯爵は彼女の唇に深く口付けた。
薄く開いた彼女の唇の隙間から舌を差し入れ口内を犯す。
甘い水音が響きは苦しげに眉根を寄せる。
その瞳は涙で潤んでいる。
角度を変え舌で撫で上げれば甘い吐息が漏れる。
「ふ…ん…ぁ。」
「甘いな。」
唇を離し彼女の涙を舌で舐め取る。
先程までの抵抗も無く息も絶え絶えに伯爵の服を掴むことしか出来ない彼女に彼は笑みを浮かべる。
「きゃあ!?」
「さて…続きを楽しもうか。」
「ちょっちょっと伯爵!!」
力の入らない彼女をひょいと抱きかかえると彼は笑みを浮かべたまま歩き出した。
歩いて行く先は当然彼の寝室。
「煽ったのはお前だ。私をお前の熱で溶かしておくれ。」
「ッッ変態―!!!!」
耳元で囁く伯爵を押し返しながら彼女の悲痛な叫びが虚しく響いたのだった。
後記
はっ初伯爵夢っ;;;このお方はへたれかエロしかないような…。
コレも連載書きたいんだけどねぇ…あはは。
このネタ最近急に暑くなったので吸血鬼は冷たくていいな〜なんて会話から来ました(笑)
ともかく伯爵をアイスノン(!)変わりにするのは止めた方がいいですな。
食われます。というかこれお題初じゃんvv
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