It tells love in the past to you.
It tells love in the past to you
ある日の裂け谷。
早朝の鍛錬を終えたは館の外の庭園で木陰に座り眠り込んでいた。
すると、其処に彼女を探してかレゴラスがやってくる。
彼は彼女を見ると笑みを浮かべその隣にそっと腰を降ろした。
「…良く眠ってるね…。」
彼はそっとの剣を握っている指に触れる。
彼女の細く白い指は日々の鍛錬のせいでその皮は硬くなり僅かに血が滲んでいる。
起さないようにそぉっと小さな掌を自身へ引き寄せる。
「君が戦う必要なんてないんだよ?」
レゴラスは彼女の指先に触れるだけのキスをしていく。
赤くなった部分や血が出ている所を何度も何度も。
傷を癒すかのように。
「んぅ…。」
「そういえばあの女(ヒト)の指もこんなに傷ついていたなぁ…。」
彼女の絹糸のような漆黒の髪に指を通す。
はうっすらと瞳を開ける。
「レゴラス…?」
「あぁ…ごめん。起こしてしまったね。」
「あの人って…?」
「聞こえてたのかい?」
「…ごめん。」
申訳無さそうに眉を寄せるの体を支えながらレゴラスは笑みを浮かべる。
「聞きたい?」
「……ちょっとだけ。」
「お望みならば。」
彼女の髪を指で梳きながら柔らかな笑みを浮かべる。
ゆっくりと彼は語り始めた。
「あれは‥まだ私が幼かった時。」
闇の森。
『エフィナ?…何処にいるの?』
透けるような金髪を風に靡かせ幼少のレゴラスは緑の木々の中を走る。
暫く走ると開けた場所に出る。
其処には美しい金髪を結った一人の長身の戦士の姿。
『レゴラス様!…如何したのですか?』
『探してたんだよ!弓の練習してくれるんでしょ?』
『あぁそうでしたね。』
レゴラスに合わせて長身を屈め彼の目線に合わせる。
緑色の宝石のような瞳のエフェナは女性の身でありながら剣術を駆使しまた、弓の腕にも長けていた。
普段からエルフの警備隊の服装な為、麗人のようなその姿。
レゴラスの手をとりゆっくりと歩きだす。
『ねぇ…エフェナは…戦いに行くの?』
『オークの討伐ですか?』
『…うん。』
『えぇ。私は隊の主力ですからね。』
『そっか…。』
レゴラスはきゅっとエフェナの掌を握り締める。
彼女はふっと笑みを浮かべる。
『必ず帰ってきます。』
『うん!』
「それで‥エフェナさんは帰ってきたの?」
「うん…彼女は確かに帰ってきたけれど…。」
レゴラスは悲しげに笑みを浮かべる。
「オークの矢から仲間を庇って…帰ってきた時には瀕死の状態だった。」
「そんな……。」
「それから数日で彼女は息を引き取った。」
「……ごめんなさい。」
「ん?なんだい?」
「辛い事思い出させて…。」
「いいんだよ。鍛錬している君を見て思い出したんだ。」
レゴラスは愛しげにを抱き寄せ見上げてくる漆黒の瞳を見つめ優しく微笑む。
「エフェナさんはレゴラスの初恋の人だね。」
「そうなるかな…。」
「強い人だったんだね‥。」
「あぁ。彼女は戦乙女のように美しかったよ。」
「ありがとう‥話してくれて。」
「どういたしまして‥かな?」
「レゴラス?」
レゴラスは抱き寄せた彼女をぎゅっとさらにきつく抱き締める。
彼女の額にゆっくりと口付けると、驚いた彼女は真っ赤になる。
「君まで私の目の前から消えてしまわないで‥。」
「どっどうしたの?」
「‥何があっても私が守ると誓うよ。」
「うっうん。あのさ…離れない?」
「クス。もう少しいいだけ‥だめかな?」
「う〜〜。」
エフェナと。
似ているようで似ていない二人。
けれど、鍛錬をしている君を見ると思い出す。
戦乙女の様に凛々しく勇ましい彼女の姿と重なって。
また、私の前から消えてしまいそうで。
出来る事ならば‥君をずっと私の腕の中に閉じ込めてしまいたい。
戦いからも。
指輪の脅威からも。
守って見せるから。
だから、もう少しだけこうして君の存在を感じさせてくれるかい?
「レゴラス〜‥ご飯食べに行こうよぉ。」
「ん…仕方ないね。」
レゴラスは赤面して俯いたままのに苦笑するとさっと立ち上がり彼女の手をとる。
手の甲に騎士の様にキスをすると花のような笑みを浮かべた。
「さぁ行こうか?私の姫君。」
「っレゴラス!!」
「ふふ‥」
手を繋いだままゆっくりと彼女に合わせて歩いて行く。
頬を桜色に染めるに彼は至極嬉しそうにしていた。
後記
4444Hit。玲凛様よりリクエスト頂きましたvv
過去の恋愛を主人公に話すレゴラス‥恋愛じゃねぇような気が\(゜ロ\)
すいませんっ;;お気に召して頂ければ幸いですvそれでは玲凛様またのリクエストお持ちしておりますv
