HALLOWE'EN PARTY★☆






「セラフ!みんなに連絡取れた?」

「えぇ…ですが…救世主達以外も呼ぶんですか?」

「うん!他の人には私から連絡入れとくから…セラフはちょっとケーキ見てきて?」

「はぁ…全く…。」


嬉々として受話器へ駆けていくの後姿を見ながらサティとオラクルの声で賑わうキッチンへ向かった。






『あっツインツー?よかった〜ツインワンも居る?…あのね…実は…。』





『スミスさん。もしよければ…‥。』





『ゴースト?ぜひナイオビさんも一緒に…』






ハロウィン当日の夕方・・・午後6時過ぎ。


「オラクル〜料理全部運び終わったよ!」

「そろそろ救世主達が来る時間ですね…。」

「うん!楽しみだね〜。」


キッチンからハロウィン仕様に飾り付けられた居間に皿を運びながらセラフは溜息をついた。
は小首を傾げ彼を見上げる。


「どうしたの?」

「……この格好じゃないといけませんか?」

「うん!ハロウィンなんだから絶対にそれだよ!!セラフは”天使”なの!」

「はぁ…。」


良く見れば部屋に居るオラクル、サティ、、セラフはハロウィンの仮装をしていた。
オラクルは普段のラフな服装ではなく黒く長いローブに尖り帽子の魔女の姿。
サティはオラクルに結ってもらった可愛いお団子に蝶々の羽をつけた妖精の姿をしている。
は茶色の獣の耳に黒を基調としたタンクトップと短パンに腕と足には耳と同じく茶色のカバーを付けて、
ご丁寧にもズボンの後ろにふさふさの尻尾もつけている。彼女曰く狼女だそうで。

そして…この中で最もシンプルなのはセラフだった。
いつぞやにむりやり付けさせられた天使の羽を背負っている。
服装は普段のままなのだが背中に背負った羽が相当本人的に違和感がある様子。


「似合うよ?ねっサティ!」

「うーん……うん。そうだね。似合ってるよ?」

「ほら〜。」

「はぁ…(こんな姿を救世主達に見られるのか…)」


その時不意に玄関の呼び鈴の音が響いた。
は瞳を輝かせ駆けて行った。


「ネオ!トリニティ!!」

「やぁ。。招いてくれてありがとう。」

「あら。可愛いわね?猫?それとも犬かしら?」

「うっわ。トリニティ綺麗〜〜!!ネオもかっこいいね!」


扉を開けた先に立っていたのはネオとトリニティの姿。
二人は普段の服装ではなくサングラスもかけていない。
ネオは漆黒の燕尾スーツとコートにシルクハット。
トリニティは胸元のあいた同じく漆黒のベルベットドレス。
は二人に飛びつきながらも笑みを浮かべる。


の格好はなんだい?」

「猫でも犬でもないよ!狼女です〜。あっ二人とも!''Trick or Treat''!!」


二人は彼女の言葉に顔を見合わせるとカボチャの形をしたランタンをに渡した。
トリニティは楽しそうに微笑みの頭を撫でている。


「わ〜…中にお菓子がいっぱい…ありがとう!」

「他には誰か来てるの?」

「まだだよ。そういえばモーフィアスは一緒じゃないの?」

「モーフィアスはナイオビ達と来るって言ってたよ。」

「そっか…あっそれじゃあどうぞ中へ!」


ネオとトリニティを中へ案内しているとまたしても呼び鈴がなった。
はもらったランタンを持ったままドアを開けた。


「モーフィアス!ナイオビさん!」

「あら。可愛いわね。」

「ランタンか?」

「二人ともすごいねぇ…。」


なるべく仮装して来てくれという彼女の要望に答えてか二人とも普段の服装ではなかった。
モーフィアスは僧侶のような白いローブに身を包み手には骸骨のお面。
ナイオビは砂漠の女王のような煌びやかな衣装に身を包んでいた。


「あっそうだ''Trick or Treat''!!」

「あぁそうだった…。」


モーフィアスは白い箱をに渡した。
中身はケーキのようだ。


「ありがとう!もうネオ達も来てるよ。あ…ゴーストは?」

「もう少ししたら来るんじゃないかしら。一緒に出たから。」

「そっか〜。それじゃあ居間にどうぞ!」


モーフィアスとナイオビも中へ案内してから貰ったランタンと箱をセラフに渡してそそくさと玄関にスタンバイした。
それから程なくして呼び鈴が鳴り扉を開けるとそこにはゴーストが立っていた。


「ゴースト!来てくれてありがとう!」

「あぁ。此方こそ。」

「ゴーストは…もしかして吸血鬼?」

「モーフィアス達に選んでもらったんだが…。」

「うん!似合ってるよ!かっこいい!」

は…猫か?」

「ブ〜ッ!!狼女でした!」

「そうか…それにしてはまた可愛い狼だな。」


彼女の返答に苦笑した彼は柔らかく微笑む。
ゴーストの衣装は彼女が言った通り傍目でも解る姿だった。
裏地が赤い外套に黒いスーツ。全身を黒くコーディネイトしている。


「あっゴースト‥''Trick or Treat''!!」

「ん?……そうだな。悪戯もいいが…やはりこっちだろうな。」

「わっ。すごい〜〜コウモリの形してる。」


彼女の言葉に笑った彼が取り出した物はコウモリの形をしたリュックサック。
どうやらその中にお菓子が入っている様子。
は珍しげに眺めると徐にそのリュックを背負って見せた。


「こんな感じかな?可愛いね〜。」

「………あっあぁ…可愛いな。」


彼女の背から覗く黒い翼と下から見上げてくる視線にゴーストは視線を彷徨わせた。
彼の頬が赤いのは仕方の無いことだろう。


「ありがとうゴースト!」

「いや…気に入って貰えてよかった。」

「先にみんなの所に行ってて?まだ誰か来るかもしれないから。」

「あぁ。わかった。」


ゴーストが居間に入るのを見届けてから玄関に視線を移した。
その時。本日何度目かの呼び鈴が鳴り響いた。


「…………えっと…ツインズ…だよね?(白いし…)」

「「!''Trick or Treat''!!」」

「うぇ!?あっちょっちょっと待って!!お菓子お菓子〜。」


扉を開けた先に居たのは普段と同じ白いスーツにコートを着たツインズだった。
だが、一応仮装したようで顔の部分に白い包帯を巻き付けている。
但し今日は普段掛けている濃いサングラスが無い為彼等の特徴の赤い瞳と蒼い瞳が楽しげに細められているのが伺える。
不意打ちな彼等の言葉には慌ててゴーストからもらったリュックからお菓子を取り出そうとするが、


「残念。に限り''Trick or Trick''だ。」

「悪戯するぞ?」

「えぇ!?ずるいよ〜〜〜。」

「「!!」」


の叫びを聞きつけてセラフとゴーストが慌てて駆けて来た。
二人は彼女を取り巻くツインズに驚いた様子だ。


「なっ!?…そいつ等まで呼んでたんですか!?」

「何をしているお前ら!!」

「え〜…だってさ。友達だから!」

「「結局友達か…。」」


彼女の言葉にツインズが力が抜けたことは言うまでも無い。





















オラクルとサティとネオ・トリニティは食事を食べながら何事か楽し気に話している。
ネオはトリニティからシャンパンを受け取りながら視線をセラフの背中に向ける


「それより…セラフのあれは…一体誰が?」


彼の最もな疑問にオラクルが笑いながら答えた。


「あぁ…あれね…に決まってるでしょう。」

がね〜。絶対にセラフは天使だからっていって取らせてあげないの。」


サティの言葉を聞いてトリニティは半ば呆れ気味に呟いた。


「……よほど気に入ってるのね。」

的には可愛いんだって。」

「………………って実は変わってるのか?」

「彼女なりのこだわりとかあるんでしょ。」

「にしてもの背負ってるリュックは誰があげたのかしら?」


ツインズと、セラフ、ゴーストが賑やかに話しているのを見ながら話していると
モーフィアスとナイオビが話の輪に入ってきた。


「彼女が背負ってるのはゴーストがあげたのよ。」

「ゴーストが?」

「えぇ。似合ってるわよね。」

「…侮れないわね…ゴースト。」

「でも可愛いよ。似合ってる…。」


ネオの隣に立ったモーフィアスは感慨深げに呟いた。


「それにしてもなんだか変な感じだな。」

「何がだ?」

「今まで敵だった奴等が一緒になって談笑してるんなんてな。」

「そうね。でもこれも全部とネオのお陰ね。」

「俺よりものお陰だと思うな。」


寄り添うナイオビとモーフィアスを見つつネオとトリニティは穏やかに微笑んだ。
話にあがっている達はというと…。


「ひゃっ!ちょっツインツー!!」

「甘いな…まだ悪戯してないだろ?」

「十分悪戯だよ!!」


彼女の頬に付いていた生クリームを隣に居たツインツーが舐め取った。
その行為を凝視していたゴーストとセラフの雰囲気が途端に黒くなる。


「……叩きだすぞお前達…。」

「今すぐ外に出て下さい…。」

「ゴースト?せっセラフ?」


二人がツインツーに詰め寄り何事か話している間今度はの隣にツインワンがやってきた。
彼の手に持つ皿にはクッキーやケーキ等甘い物がのっている。


「あっツインワン…。」

「…何の騒ぎだ?」

「ん〜??さぁ。なんかセラフ達が怒ってるみたい。」

「そうか…。あぁそうだ。は言わないのか?」

「ん?…あぁ!!''Trick or Treat''!!」

「悪戯も可愛いだろうが…今回はこっちだな。」

「ん?」


片手で器用に皿を支えながらツインワンは懐から小さな箱を取り出した。
はそれを受け取りながら小首を傾げる。


「これ…?」

「開けてみろ。」

「うん‥?」


白い箱を開けると現れたのはホワイトプラチナのチェーンとペンダントヘッド。
白い小さな天使の羽にはルビーとサファイアがはめ込まれている。


「わぁ…綺麗…。」

「ハロウィンのプレゼントだ。俺とツインツーからの。」

「貰ってもいいの?」

「あぁ。」


普段は見えない彼の蒼い瞳が柔らかく細められた。
は嬉しそうにネックレスと首に付けた。
涼やかな音を奏でるネックレスを指先で遊びながら花の様な笑みを浮かべる。


「ありがとう!あっ…でもお菓子じゃないから…悪戯します!」

「なに?」


彼女は悪戯っ子のような顔になるとツインワンに飛び掛った。
彼は手にした皿を何とかバランスを保ち支える。


「わっ!」

「お〜〜…器用だね〜。じゃあこれはどうだ!」

「おっおぃ。!」


彼の腰元にしがみついていた彼女はそのまま両の手を彼の首へ絡ませる。
頑張って背伸びしている様が愛らしい。
ツインワンは近くにある彼女の顔と身体に触れる体温に白い頬を僅かに朱に染めた。


「わぁ。ツインワンの眼綺麗だね〜…宝石みたい。」

「ッ。!近いッ。」


























後記

えらく中途半端になってしまいましたが…次に続きます。
まっとうな逆ハー的な短編は始めてですね。
マトでハロウィン書きたかったんスv




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