死神奇談 =2=
死神奇談
〜 Pure love which begins with the Madness 〜
「今日も疲れたぁ…。」
家の電気は消えていて。
人の気配も無かった。
私以外の家族はみんな寝ているのだろう。
は何時も通り、玄関の鍵が掛かっているかしっかり確認してから自室のある二階に向かった。
彼女は今現在実家で生活しながら二交代制のコンビニのアルバイト等
複数のアルバイトで生計を立てている。
とはいえ家は実家の為色々な面でサポートしてもらっているのは確かだ。
その為親には頭が上がらず先日半ば強制的に行われた"見合い"も断れなかった。
疲れた身体を引き摺り自分の部屋に戻る。
そのままベットに倒れこもうとしたその時。
不意に違和感を感じた。
「?……なんだろ。」
薄闇に浮かぶのは夜、家を出た時と同じ家具の配置。
別段変わった所は無いはずだがどこか本能がざわつくような違和感を感じる。
「……。」
一瞬一昔前の怖い話しを思い出し頭を左右に振って可笑しな思考を振り払った。
「さっさと寝よ…。」
疲れてるんだ。と呟いて暗い部屋の電気を付けた。
「ッ!!?」
その時。違和感の正体が分かった。
部屋が蛍光灯の光で包まれた時彼女の目の前に人が居た。
静かに佇み此方を凝視してくる男はとても背の高い男だった。
闇から生まれたような全身黒い服装に大きな帽子を被っている。
白い肌に黒く長めの髪、酷く整った人形のような男だった。
帽子のつばの切れ目から覗く黒紫の瞳が彼女を見つめて細められる。
「!!」
悲鳴も出ずそのまま踵を返そうとしたのだが。
背後から男に手を掴まれて引っ張られた。
細い印象だが抱きすくめる力は強い。
「いやッッいやぁ!!」
「お帰りなさい。さん。」
「あっ貴方ッ!?」
心地よいテノールが耳元で囁かれ、は瞳を見開いた。
「貴方誰ッ!!離して!」
「‥駄目ですよ。貴女にお仕置きをしにきたんですから。」
「ッ!?」
まるで恋人同士のように身体に触れながら微笑む。
そのまま彼女の躯を抱え上げベットへ降ろした。
事態が全く分からないは見知らぬ男に組み敷かれ死に物狂いで暴れる。
男はそんなの抵抗を無視して馬乗りになったまま微笑んだ。
闇色の瞳の奥に狂気にも似た熱を持って。
「(どうして。こんなに騒いでるのに誰も来ないの!)」
ベットの脇の時計に目が行くと時間は朝方の三時。
幾らなんでも物音を聞き付けて起きてくるはず。
の視線に気づいた男は彼女の耳元で穏やかに囁く。
「誰も来ませんよ。」
「!」
「……貴女が帰ってくる前に、静かにしてもらいましたから、ね。」
「まさか…。」
は改めて目の前の男の服の異変に気付く。
黒一色の服装、そう思っていたがよくよく目を凝らして見ると彼の服に所々赤黒い染みが付いている。
鼻腔には微かな甘い香水と鉄のような香り。
とうとう彼女の瞳から涙が零れた。
男は流れる涙を赤い舌で舐り小首を傾げる。
「何故泣くのですか?」
「ッ…ッこの人殺し!!」
「……」
男は一瞬悲しげに眉を寄せたがすぐに能面のように張りついた笑みに戻った。
「えぇ。そうですよ。私は人殺しだ…。ですがその人殺しに今から犯される貴女はなんでしょうね?」
どこか愉悦に満ちた口調で紡がれた言葉。
の顔から血の気が無くなり暴れ方が激しくなる。
「いや!いやああッ!!」
その時男の手から不意に鋭利なメスが飛び出した。
の目の前に掲げたそれは鈍い光を放つ。
彼女の白い首筋に流れるように滑らせる。
怯えと恐怖での身体はがくがくと震えた。
抵抗しないと分かると男は徐に彼女の着ていた服を切り裂き始めた。
「ッ…!」
ついには下着にまでメスが伸びる。
ビクリと震える彼女の躯を咎めるように手袋に包まれた指先が撫でる。
「動いたら傷が付いてしまいますよ。…血に染まる貴女も美しいでしょうねぇ。」
「!」
ブツン
鈍い音が響いて彼女のブラジャーが布切れに変わる。
同様に下着も剥ぎ取ると男はメスを何所かに消してまじまじとの裸体を眺めた。
「綺麗ですよ。さん。」
「やっやだっ!」
「貴女を汚すのは私だけでいい。」
男は着ていたコートと帽子を脱ぎ去りベットの下に放る。
帽子が無くなり男の人形めいた顔がにはっきりと見えた。
やはり見た事も無い、知らない男だった。
恐怖と恥辱に白い肌は震えて男に見つめられている身体は徐々に桃色に染まる。
顔を逸らすに男の薄い唇が弧を描く。
そのままゆっくりとに覆いかぶさり首筋に吸い付いてきた。
鈍い痛みが走り目をぎゅっと瞑った。
男が離れると吸付かれた感部が赤く華を散らしている。
「ん……。」
両の腕を片手で押さえ込み、そのまま耳を舐り顎を掴むと口付けた。
彼女にとって口付けは始めての事で驚いたように目を見開いた。
「んん!?ッッ!!」
口付けだけでも驚いているというのに男は薄く開いた唇から舌を滑りこませた。
顔を振り逃れようとするものの彼女の抵抗等意に介していないようで、そのまま舌を絡ませる。
「ふぁッ!ん…ンン!」
角度を変えて唾液が絡む。
軽く唇を離すとの顎を唾液が伝った。
それを舐めながら頬を染め涙を溜めた彼女を見て男の笑みは深くなる。
「キスも始めてですよね?」
「ッ…。」
何故。見知らぬこの男は私の事を何もかも知っているように話すのだろう。
酸素不足でぼんやりする思考の中は考えた。
男は低く喉で笑いながら彼女の胸に触れた。
は恥辱で頬を染め男を睨んだ。
「ッ。触らないで!!」
ギンっと睨んでも男は楽しげに笑うばかり。
微かに力を込めると小さな胸の形が変わる。
そのまま耳元に唇を寄せると囁いた。
「想像以上に感度がいい。」
「やぁッッ!」
ゆっくりと男の骨ばった指が柔らかな肉に触れた。
その時彼女の躯が大きく揺れる。
「ッッ!!」
「貴女の身体に男が触れるのは始めて…そうですよね?」
「やっ。ッ。」
「クス。‥もう勃っていますよ?」
ピンク色の乳首がピンっと立ち上がっていた。
男は唇を舐めると指先で摘み始めた。
指と指で挟んでクリクリと動かすとの身体がびくびくと震えているのが分かる。
その時とうとうの瞳から再び涙が零れた。
男は先程とは違って彼女の額にキスをして柔らかく笑んだ。
「嗚呼。泣かないで下さい……痛くはしませんから、ね?」
「ふぇ。」
今まさに強姦されかけているに男の言葉は届かない。
首を左右に振り頑なに男を拒む。
彼はそんなを見つつ悲しげに瞳を曇らせて今度は乳首を口に含んだ。
舌先で舐め上げ軽く歯で噛む。
「やっやめッ。んぁッ。」
ちゅぅっと吸うとは身体を大きく震わせた。
男は甘い声を上げ始めた彼女の顔を見上げ片手を徐々に下へ滑らせて行く。
下着も取りさらわれていた為閉じた足を片手で掴むとの身体が大きく震えた。
「では此方はどうでしょう…。」
「やっ!!そこは‥‥やだぁッ!!」
「…嫌ですか…では。」
「えっ?」
不意に男はの身体から離れた。
男は自分でスラックスのチャックを下ろし自身の猛りをとりだした。
にとって始めて見るそれはまるで別の生き物の様に蠢きかなりグロテスクだった。
先が大きく張った亀頭、太く脈が打つ竿。
男の体格に見合った巨大で長い肉棒だった。
「ッ!?なっなにを…!」
「咥えて下さい。」
「なっ!!?」
男は徐にの顎を掴むと自信の猛りへ唇を引き寄せた。
はとっさに顔を背けぎゅっと瞳を閉じ男の力に贖う。
「いっいや!!そんなのっ。やだぁッ!」
「我侭な方だ…それでは貴女のを舐めてあげましょうか?……さん。」
「ッ……。」
は彼の言葉にビクリと震えると恐る恐る目の前でそそり立つ物を見た。
コクリと小さく唾を飲み込みそっと手を伸ばした。
恐怖に濡れた瞳が揺れる様を見て男は優美に微笑む。
「……。」
「見るのも始めてでしょう?」
「嫌ッ…。」
「お気にめしましたか?」
は両手で男の物を掴み、その熱さとヌルリとする感触に息を飲む。
「上下に擦って下さい。」
は男の言葉通り手を動かす。
彼女の両手に包まれても十分大きなそれは刺激に反応を示し更に膨張した。
先走りが流れ彼女の手を濡らす。
「……舐めて。」
「ふ……。」
は震えながら舌を近づけた。
小さく開いた唇から赤い舌が覗き竿をぺろりと舐めた。
男は自分の指示通りに動く彼女を愛しげに眺め頬を撫でる。
「んん……。」
「いいですよ。そう…裏も、ですよ。」
竿を舐め上げ裏筋まで舐る。
「…口を開けて咥えて下さい。」
「んく…んふ…。」
大きく膨張した男のモノは彼女の口に半分も入らない。
彼女は辛そうに眉音を寄せ必死に口を動かした。
初々しい舌使いも心地よいが男はもどかしい刺激に吐息を漏らす。
「さん…噛まないで下さいね。」
「ふ?…んんっ!ふっ。ぐっん!」
男は一言漏らすと彼女の頭を押さえ腰を動かし始めた。
喉まで突き刺さる肉棒には嗚咽を漏らしながら耐えた。
「ッ…出ますよ…全部飲んで下さい。」
「んぶ?っっ!!?」
暫く腰の輸送を続け少しして男はぶるりと震えた。
の頭を固定したまま男は射精した。
喉の奥に白濁の精液を流し込まれは言われた通りに必死に飲み込もうとする。
「っ…げほっげほっ。」
飲みきれなかった白濁が彼女の顔を汚した。
は顔を上げ彼から離れようとする。
「おや。……ちゃんと飲むようにいったでしょう?」
「っでも…。」
「お仕置きが必要ですね。」
「やっやだっ!!」
しゃがみ込んだまま腕を掴まれ暴れるを自身へ引き寄せる。
腰を引かれ抱きすくめられると身動きがとれない。
は男の胸を叩き離れようともがいた。
男は少し眉を顰め徐に自分のネクタイを外した。
「なっなにするの!やだ!やだぁッ!」
「貴女が暴れるからですよ。」
彼女の躯を押さえて細い両腕を一括りに纏めるとネクタイで縛った。
それでも身体を振り逃れようと暴れる。
「やっはっ離してッ!!いやぁッ!!」
抵抗が少なくなった為男は彼女の両足を掴み無理やり開き、間に自分の身体を押し込めた。
片手ずつゆっくりと彼女に見せ付けるように白い手袋を唇で挟んで脱ぎ去る。
は恐怖よりも恥辱が勝っているのか頬を染めて身を振る。
手袋を脱いだ白い男の手には痛々しい傷があった。
長い指先が太腿を滑り、割開かれた足の付け根に触れた。
「ひっあっ!!?」
「おやおや。もう濡れていますねぇ?‥‥私のを咥えて感じたんですか?」
「ちっ違ッ。いやっ!」
男は繁々との秘所を見つめうっとりと微笑む。
「クス。…蜜を零して喜んでいますね。」
「っ…みっ見ないでッ!!」
「こんなに厭らしい形は始めてだ。」
「ッ!」
男はの秘肉を指で摘み開いた。
くぱぁっと厭らしく蜜を垂らし秘所が開かれる。
「男を知らないはずの貴女の此処はどうしてこのような形なのでしょうね?」
「そっそんなっ!」
「ご自分で慰めているのでしょう?」
「!?」
耳元で微かに笑いの含んだ低い声で囁かれは肩を揺らした。
「厭らしい身体ですね。」
幼い印象を受ける彼女からは想像出来ない秘所に男は喉を鳴らした。
男の太く長い指が一本ずるっと進入した。
「ひゃぁあ!」
「クス。中もどろどろですね。」
「っあ。ゃぁッ!」
「こんなに美味しそうに咥え込んで…」
男はもう片方の手で秘所を広げ一気に指を三本捻じ込んだ。
何度が自身の手で慰めていたとしても彼女の其処は男に触れられた事が無い場所。
尚且つ彼女は挿入すること事態始めてだったは微かな痛みに涙を零す。
「やっ。痛ぃ!」
「流石にきついですね。」
ずるっと指を引き抜きの腰を抱えて自身の膝の上に乗せた。
「あっ…ッ」
力がすっかり抜けた彼女の足を掴みM字に開き曝け出された彼女の秘所に顔を近づけた。
は縛られた腕で男の頭を押し返そうとした。
「やっやだっ!!」
「男に此処を舐められるのも初めてでしょう?」
「っっやぁぁあ!!」
卑猥な音が響き男の肉厚な舌が入り口を舐め掌で広げられた秘所の中まで進入する。
丁寧に肉襞を舐め音を立てて啜る。
「やぁ!あんッぁ!!」
の声音は甘い物になっていた。
拒絶しながらも身体は男の妙技に開かれ解されて行く。
ぷっくりと立った華芯に男が吸い付くと彼女は身体をのけぞらし足が小刻みに震える。
脳に直接電気が走ったような強い快感。
男は華芯を舌先で絡め吸う。ゆっくりと口を離せば唾液と彼女の愛液で銀糸を繋げた。
「ふぁあ‥っあ。も…やぁ。」
「。」
彼女の身体は桃色に色付き、涙に濡れた頬は赤く染まっていた。
男は身体を少し離し。先程一度出したにも拘らず熱く勃起した自身を手にした。
「っ!?」
「もういいでしょう。」
「やっやだっ!やめてっ!」
男の指が割れ目に宛てられ擦られた。
溜まらず漏れる甘い声。
熱に浮かされた瞳で男を見つめると、彼の瞳は細められその闇色の瞳が潤んでいることに気付く。
「ひゃんぁあ!」
「こんなに濡らして…厭らしいですね。」
「やぁっ。」
「自慰と本物の違いを教えてあげますよ。」
「やっやだっっっあぁああ!!」
何回か擦り亀頭がぱっくりと口を開けた入り口に宛がわれた。
男はニヤリと笑うとの唇に口付け悲鳴を飲み込むと腰を押し込めた。
濡れた音が響き一番大きな亀頭が挿入される。
「ううっ!んんっ。」
「っは…。」
ぐぐっと腰を推し進め根元まで挿入する。
ズグンっと。最奥まで押し込めると軽く二人は息をついた。
男はの濡れた頬を撫で口付けながらきゅうきゅうと締め付ける秘所の刺激に酔いしれる。
「どうです‥お味は?」
「ぁやっ…いやぁッ。」
「たっぷり味合わせてあげますよ。」
「あぁ!!動かないでぇッ!!」
男は行き成り腰の輸送を開始した。
彼女の腰を掴み激しく腰を振るう。
時に腰の動きを緩くし、緩急を付けて動き、時に腰をくねらせ上壁を擦る。
は今まで味わった事の無い圧迫感と奥まで感じる肉の熱さに身震いした。
「どうです?気持ち良いいですか?」
「ひゃぁッ!あっ。あっあ。ふぁっ。」
男の動きにがくがくと翻弄されながら涙でぼやける視線を目の前の男に向ける。
彼は長身を折り彼女を見つめながら激しく動く。
胎内を激しく穿つ肉の熱には知らず彼を締め付けた。
「何も考えず、快楽に集中なさい。」
「やっ。あんっ。あぁ!」
「可愛らしいですよ…。」
「ひゃあ…!ふ…ぁああ!!」
「これから毎日こうして愛してあげますからね。」
太い竿がズルッと引き抜かれ奥に叩き付けられるたびに少しずつ狭い中は広げられていった。
男は目の前で微かに揺れる小さな膨らみに口付けて腰を振る。
「はっ…ぎゅうぎゅう締め付けて離しませんねぇ。」
「やっああああ。はん!っ。あぁ!」
「ッ……。」
男は白眉を艶っぽく寄せ息を飲む。
彼女の中は予想外に強く彼の欲を疼かせ射精へ導こうとしていた。
ももう辛いのか中が酷く強く締め付ける。
「。いきそうですか?」
「わっわからっ。やぁつ。あぁッ。」
男の先走りとの愛液が溢れて滴りシーツを汚す。
激しい動きで彼女の子宮口をえぐるとは一際高い声を上げた。
彼は彼女の身体を抱き締め一心不乱に突き上げる。
「クス…」
「…やっぁ!あっあぁ。」
「これでようやく貴女を私だけのモノに出来る。」
「あっあぁあ!!」
「っッ。」
男の亀頭がの子宮に突き刺さった。
その瞬間二人は同時に達した。
締め付ける内壁に肉棒は絞り上げられ、ドクドクと白濁の精液が子宮内に大量に吐き出された。
子宮に溜まる濃い熱と快感に彼女は口を半開きで涎を零す。男は今だ射精し続けながら彼女の唇を吸う。
そっと唇を離し下肢をぴったりと張りつけたまま歪んだ笑みを浮かべた。
「愛しています。」
男の笑い声と甘い囁きが耳に響いた。
「やっあぁ!あっ!あん!っあ!!」
「良い声ですねぇ。もっと聞かせてください。」
「っもっもうやめてぇ。」
「駄目、ですよ。これはお仕置きですから。……何度でもいきなさい。」
は男によってあれから何度も何度も犯されていた。今が朝か昼か夜かも分からない。
彼女の両手は既に解放され、壁に手を着くように立たされ背後から獣の交わりの如く貫かれていた。
カーテンの閉まった仄暗い部屋の中は情事の熱気と匂いに満たされていた。
男はの腰を掴み激しく自身を打ち付ける。ぱんぱんと、肉を打つ音が響く。
彼女の秘所はすっかり白く汚れ二人の愛液をぼとぼとと衝撃の度に零していた。
何度中に射精されたかすら彼女には分からなかった。
それほど長い時間彼に犯され続けている。
男は自分の事を赤屍蔵人と名乗っていた。
「やめっ…やめてッ‥ッんあっ!」
は涙を零し背後から攻めて立てる赤屍に哀願した。
そんな彼女の頬を撫でにっこりと笑う。
「駄目です。」
「やっああああッ!!」
ドプっと胎内に白濁の精液が流し込まれる。
赤屍は震えるの体を背後から抱き支えたまま精を吐き出し続ける。
既に彼女の胎内は赤屍の注いだ精液で満たされ入りきらない精が溢れ出している。
ゆっくりと腰を引き肉棒が抜けると勢い良く精液と愛液が溢れた。
赤屍の支えが無くなった為の身体がずるずると倒れこむ。
「さん…?おや。やりすぎてしまいましたね。」
極度の疲労と精神的ショックの制かは意識を飛ばしていた。
赤屍は身支度を整え彼女を抱えあげると音も無く部屋を出て行った。
「ん……。」
「目が覚めましたか?」
「え…っ…!?」
は目の前の怜悧な赤屍の顔をみて飛び起きた。
寝かされていたのは白く大きなベットの上。
彼女は慌ててベットから飛び出ると部屋の隅にまで逃げた。
怯えてカタカタ震えるに先日と同じ黒衣の赤屍は苦笑した。
「おやおや。随分元気なようですね。」
「ッ。なっなんで…。」
彼の言葉を思い出しは血の気を無くす。
赤屍は単なる強姦魔ではない事に。
は隅で怯えたまま此方に歩み寄ってきた赤屍を見上げていた。
彼はの言葉に首を傾げる。
「どうしました?」
「やっ!」
彼の声音と此方に伸ばされた白い手にはびくりと身体を跳ねさせる。
その時先日彼にされた行為を思いだして余計に身体は震えた。
強く押さえる力。
口元の笑み。
甘い声音。
頬を掠る黒い絹糸のような髪。
体中に這い回る赤いビロードの様な舌。
胎内を穿つ肉塊。
迸る熱。
熱い吐息。
その全てが記憶に焼き付いていた。
赤屍はの様子に苦笑すると彼女を軽々と抱き上げた。
「やっやだっ!やめてっ!離して!」
「まだ辛いでしょう?…食事を持ってきました。食べれますか?」
「ッ?」
ふんわりと壊れ物のようにベットに降ろされたは彼を見上げ困惑した表情になる。
「なん…で。」
「此処は私の家です。ご安心を。」
「どうして私をッ!」
「?‥‥あぁ。何故連れて着たか、ということですか?」
傍らに座った赤屍は彼女の背を撫でながら話す。
「貴女は知らないでしょうね。私と貴女は既に出会っている。」
「え…?」
「先日、都内の大学病院に来られたでしょう?」
「!」
確かには数日前、仕事を休んで親兄弟と共に祖母の入院している東京まで出向いていた。
その時。確かに大学付属の外科病棟に彼女は居た。
とはいえ見舞いに来た彼女はその日の内に自宅へととんぼ返りしている。
ほんの数時間しか病院には居なかったのだ。
「なんで…貴方…誰?」
「私の名前は赤屍蔵人ですよ。」
「あか…ばね?……まさか‥…。」
の脳裏に見舞いに行った際の祖母の言葉が蘇る。
『今度の手術は腕の良い執刀医を呼んで下さったのよ。』
『へぇ…すごいね。』
『確か…赤羽先生といったかしら。』
祖母との何気ない会話に出てきた名前。
それが目の前の男と同じ。
彼女は困惑し瞳を揺らした。
「…貴方…外科医の…?」
「えぇ。そうですよ。」
赤屍はにっこりと微笑むとの頬を撫で触れるだけのキスをすると立ち上がった。
「私は少し仕事がありますから。遅くならないように帰りますね。」
「ちょっちょっと!」
ぱたん。
と、静かに扉が閉まる。は困惑顔のままベットに座りこんでいた。
ふと、鼻腔を擽る美味しそうな香りに唐突にお腹が空腹を訴えた。
「……これ…あの人が…?」
おずおずとベットサイドの小さなテーブルに載せられた食事に近寄る。
湯気を上げる料理はとても美味しそうに見えた。
ひとまずは体力を付けねばと考えたのか、
(可笑しな薬が入っているかもしれないと怪しんだが)空腹も手伝い食事を綺麗に食べあげた。
彼女は食器を手にビクビクと部屋を出る。
次の部屋は広々としたリビングだったその奥にあるキッチンに向かい。
一応食器を洗い適当に乾燥機に入れた。
「広い。」
独り暮らしにしては広すぎる部屋。
モノトーンで纏められたどこか生活感を感じさせない部屋だ。
「…ここ…どこなんだろう。」
はリビングを横切りカーテンを開けた。
眩い光が部屋に差し込み、は瞳を閉じる。
ゆっくりと目を開け見えた景色に愕然とした。
「!?」
見えるのは高層ビル。
彼女の住んでいたのは九州だった。
それが行き成り東京。
しかも部屋はかなり高いマンションの一室のようだ。
「ありえない…。」
それから部屋の中を散策し逃げ道を探すもののしっかり部屋の窓も玄関も鍵が掛けられており、
内側から開かないようになっていた。
は小さく溜息を着くと黒い革張りのソファに座りこんだ。
「………みんな…殺されたのかな…。」
あの男なら確実に殺してる。
もしかしたらおばあちゃんも…。
瞳に涙の粒が盛り上がる。
しゃくりを上げながらポロポロと涙を零す。
「ふぇッ…も…やぁ…ッ。な‥んでこんな事にッ!!」
どうして自分がこんな目に合わなければいけないのか。
は小さな身体を自身の腕で抱き締めて泣き続ける。
あの人…なんで私にこんな事…
私は見た事も逢った事も無いのに!
……始めて…だったのに。
は今だ自身の体内に燻る男の感触に身震いした。
「さん…さん。」
「っ‥‥?‥!!」
軽く肩を揺さぶられてはゆっくりと瞳を開けて目の前にある赤屍の顔に飛び起きた。
彼女はソファの上‥正しくは赤屍が座る膝の上に抱えられていた。
は彼を見た途端一気に色々な感情が込み上げた。
「貴方ッ!!どうして!どうしてッ‥!私の家族を殺したの!!」
「……あぁ。」
「なんで!どうしてっ。」
ぼろぼろと零れる涙。
赤屍のスーツを掴み揺らしながら泣きじゃくる。
彼は表情を変えずに小首を傾げ彼女の涙に濡れた頬を手袋をしていない白い掌で撫でた。
「…何故?邪魔だからですよ。」
声音も変えず紡がれた言葉に血の気が引いた。
赤屍は穏やかな笑みを浮かべたままだ。
「そ‥んな…。」
「貴女がお見舞いに訪れてから数日して貴女が見合いをすると聞きました。」
「!」
「そして貴女の知らない所で結納話が進んでいたのですよ。」
「え…?そんな事…私知らない…」
「貴女が見合いをした相手が私の知人でしてね‥詳しく聞かせてもらいました。」
は驚きで赤屍を見上げる。
「まぁ今となっては彼にも感謝しなくては、ね。こうして貴女の元へ行けたのだから。」
「(見合い相手の人から聞いたの…?)」
「貴女と私を遮る者は全て消し去りました。…私のモノになってくれますよね?」
「そんなッ!なんでッ」
「貴女もいけないのですよ?不用意に見合いなどするから…。」
赤屍はの頬を優しく両手で包んだ。
「さん。私は貴女を愛しています。」
「っ!」
「だから誰にも、触れさせたくない。」
「やっやめてっ!」
「愛してる。貴女だけなのです。」
「ッ…。」
ぎゅっと抱き締めてくる赤屍には眉音を寄せた。
切なく。胸を締め付けるような彼の言葉。
自分は此処まで誰かに求められた事があるだろうか。
家族にまで疎まれ蔑まれ、いらないと言われた自分を。
求めてくれた人はいたか?
どうして…どうして…私…
嫌、じゃないんだろう。
昨日はあんなに怖くて嫌だったのに。
「赤屍‥さん。」
「はい。」
「赤屍さん…。」
少し顔を離した赤屍には恐る恐る始めて自分から抱きついた。
彼のスーツを掴んだまま身を寄せる。
赤屍は驚きに瞳を見開きそして嬉しそうに微笑んだ。
「…愛していますよ。私の。」
「………ありがとう。」
「ようやく。貴女の全てを私のモノにできた‥。」
冷たい美貌が綺麗に微笑む。
彼の言葉は私の全てを捕らえて。
彼の。
愛が。
私を。
絡み取って、離さない。
狂気的な愛に、私は安堵した。
「でも…どうして赤屍さんは私を?」
「貴女が病室から出るのを見たのですよ。…一目惚れですね。」
膝に乗ったままは赤屍の首元に擦り寄った。
先日からは考えられない彼女の可愛らしい行動に赤屍は至極上機嫌だ。
「でも。もし赤屍さんが私をいらなくなったら、殺して‥ください。」
きっと。
彼に与えられる深い愛がなくなれば。
それだけで狂うかもしれない。
絶望に。
それならいっそ。
彼の手で殺されたい。
赤屍はの言葉に瞳を細め長い腕で抱き締めた。
「…私が生涯愛するのは貴女だけ。"死"等に渡しはしませんよ。」
は彼を見上げて小さく呟いた。
「……きっと私は狂ってます。」
家族を殺されて、無理矢理犯されて。
その男に身を委ねるなんて。
赤屍の白い指先がの喉を擽り顔を上げさせる。
唇から顔じゅうに口付けをしながら低く囁いた。
「私も狂っていますよ‥貴女に、ね。」
愛していますよ。
。
。
貴女だけを。
"狂っている"
それならば共に狂いましょう。
愛していますよ。私の。狂おしい程に。
後記
因みに前半らへんは夢で見ました。正直かなり怖かったです(爆)
今回長くて長くて、かなり疲れました。次は短編らしく短くしよう;
無理矢理なのに違和感無い赤屍さん最強です。色んな意味で。
お疲れ様でした。
※この作品が気に入って頂けましたら拍手・コメントお願いします↓※
