風邪
風邪
今日はネオと一緒に戦闘プログラムの練習をする約束だったけど。
急に具合が悪くなって、中止にしてしまった。
ネオは気にしなくて良いよと頭を撫でてくれたけど、罪悪感は消えなくて。
私は額に乗せられた、タオルを少しだけずらした。
もうすっかり生温くなってしまったそれは、人肌みたいで。
でもやっぱり人肌とは違っていて、何だか寂しくなってしまった。
鼻をすすれば、目がぼんやりとした。
そう言えばもう何年泣いていないんだろう?
変な意味ではなく、悲しい事がなかったから泣く必要がなかった。
小さな咳をして寝返りをうつと、タオルが落ちた。
それを乗せ直す気力も体力もなくて、導かれる様に瞳を閉じた。
―――――
こんこんと微かな音が聞こえた気がする。
朦朧とした頭ではそれを理解するが、どうしても目が開かない。
指を持ち上げるのもだるくてままならず、申し訳ないが寝たふりをする事に決めた。
暫く間があったが、扉が開いた。
ノックの主はそっと中の様子を伺うと、足を踏み入れた。
眠っている―ふりだが―の額に触れると、落ちているタオルを拾う。
何事かを呟くと出て行った。
「・・・・・・誰、だったんだろう」
痛む喉からそう呟けば、途端に酷い咳に襲われた。
悪化しているのかな、そう考えると何故だか無性に泣きたくなってきた。
「―?」
人の声が聞こえて、は慌てて瞳を閉じた。
今は人と話したい気分ではなかった。
おとなしくして、ひっそりと存在していたかった。
「起きてると思ったんだけど・・・」
ネオは呟きながら水の張った洗面器にタオルを浸した。
枕元に椅子と小さな机を移動させ、そこに洗面器を置く。
水の跳ねる音と、強く絞る音が交互に聞こえて、同時に額に冷たいものが乗せられた。
「まだ熱があるから、ゆっくり休むと良いよ」
前髪を優しく掻き上げられて、穏やかな声で囁かれる。
何故だか酷く安心してしまって、笑みすら浮かんできた。
「?―良い夢でも見てるのか?」
それにネオが首を傾げれば、は慌てて笑みを消した。
くすり、と笑い声が聞こえて、ネオが顔を近付けた。
「その夢の中に俺はいる?」
まるで起きている人間に話しかけている様で、はどうしようかと悩んだ。
だがネオはすぐに『返事がある訳ないか』と呟いて顔を離した。
「・・・風邪って、人にうつすと治るって言うよな」
ほっと息をつくのも束の間で、唇に柔らかい感触が広がる。
角度を変えて何度も何度も優しく包み込む様なキスを繰り返す。
名残惜しそうに唇を離せば、ネオが瞳を細めを見つめた。
「君の夢の中に」
耳元で、そっと囁く。
「俺が、存在してると良いんだけど」
最後に一度だけ軽く触れるだけのキスをして、ネオは部屋を後にした。
扉が閉まり、足音が遠ざかるのを確認してから目を開けた。
「・・・・・・うそ」
更に赤く火照った頬に触れて呟く。
彼とは確かにそう言う仲だが、こんな事は一度もなかった。
それに、自分が大人になるまで待つといってくれたのに。
「ネオの・・・ばか」
暫くまともに顔を見れなくなってしまう。
丁度それと同時に、扉に寄りかかる様にして腕を組んでいるネオが
「待つよなんて余裕ぶった事言ったけど」
額に手を当て、参ったなと苦笑する。
「思ったより俺は、君に夢中みたいだよ」
そう呟くと扉から体を離し、歩き出す。
唇に触れれば、柔らかいの感触。
これで暫く頑張るか―ネオは苦笑した。
「愛してるよ、」
一瞬だけ見えた可愛い彼女の笑みを思い浮かべて、微笑んだ。
前に彼女から貰ったネックレスを指に絡めて囁く。
「早く大人になってくれ」
俺の理性が切れないうちにね。
相互リンク記念に書かせて頂きました。
四廃様、こんなんで宜しかったでしょうか?
一応ほのぼの目指してみま・・・した・・・!!
風間唯斗様に相互リンク記念に描いて頂きました!
ネオ夢…かっこいい!!
うちとは違うかっこいいネオですvvうちのはヘタレてますからネェ(笑)
うちでは兄的存在ですが兄弟夢ぽく描いてみようかな。
ありがとうございましたvv