COCKROACH★PANIC
COCKROACH★PANIC
「ふんふん〜〜うん。おいし♪」
はキッチンにて晩御飯を作っていた。
今日のメニューはビーフシチューだ。
味見をし、笑みを浮かべると蓋を閉じコトコトと煮込みだす。
「ん〜〜…あっセラフにお洗濯物取って来てもらおうっと。」
伸びをした後、はセラフを呼ぶべく彼が居るであろう居間に向かおうとした。
カサッ
「えっ!?……まさか……。」
ガササッ
「っ!?」
音のした方を恐る恐る振り返ると。
彼女が先程まで立っていた場所に艶やかに光る黒い物体が。
しかもかなり大きい。
はそれを見た途端青冷める。
「わぁぁぁあああああっ!?!??」
ダダダダッ。
「っ!!」
「せっセラフぅ〜〜!」
「一体如何したんです?」
「っ…奴が…奴が出たァ…!!」
の悲鳴を聞きつけ駆け込んできたセラフに彼女はひっしと抱きつく。
彼の胸に顔を埋めながら半ば涙声で彼を見上げる。
「奴?」
「いっ居る?まだ奴はいるの?」
「?」
は後ろを振り返らないようにしながら震える指先で流し場当りを指差す。
セラフは其方を見るものの其処には何も居ない。
「何も居ませんが…?」
「ほっ本当?」
「えぇ。」
「にっ逃げたのかな?…逃げられても困るよぉ。」
「何が居たんですか?」
「ごっ…」
「ご?」
「ゴキブリ!!」
「は…?」
の言葉にセラフは間の抜けた声を出す。
震えながら自分にしがみ付いている彼女を見下ろし困ったように声を掛ける。
「…それは。」
「だっ駄目!!名前を言うのも気持ち悪いっ!」
「………」
尚更ぎゅっと抱きついてくるに呆れと、と共に愛しさが募りセラフは彼女を抱き返す。
彼に抱き締められ安心したのかはセラフを見る。
「本当に居ない?」
「えぇ。居ませんよ。」
「でも。また出てきたら……。」
「そうですね。私が少し見てきますからは居間の方へ行っていてくれますか?」
「うん……。」
優しく問いかけるセラフに軽く頷くとそっと彼から離れる。
「セラフ…気をつけてね?」
「えぇ。」
本当に心配げな彼女にセラフはやや苦笑すると改めて流し場を見る。
周囲にはゴキブリの姿は無い。
「…いないな…。」
それにしても。もっと危険なエージェントは平気なのにまさかたかが虫が苦手とは…。
しかもあの反応では相当嫌いなのだろう。
セラフは先程のの反応に一人笑みを浮かべる。
「オラクルに言ってゴキブリのプログラムを消してもらうか…。」
セラフはとりあえずゴキブリが居ないことを確認しが待つ居間へ入っていった。
彼女はソファに座りクッションを抱き締めて震えていた。(其処まで嫌なのか。)
セラフに気付いた彼女は彼に駆け寄るとまたもギュッと抱き付いた。
「セラフ!!大丈夫?触ってないよね?」
「‥?ゴキブリにですか?」
「ツ!!‥うっうん。(過剰反応)」
「居ませんでしたよ。」
「よかったぁ…セラフがゴキに触ったらって思ったら…。」
「触ったらいけないんですか?」
「セラフが穢れる!」
「ぷっ……。」
「あっなに〜〜笑うなぁ。」
「いっいえ。」
の一言にセラフは口元を押さえ珍しく思いっきり笑っている。
笑われた事に怒って彼を睨むの頭を撫ぜながら笑いが止まらない様子。
「貴女は本当に可愛いですね。」
「ぇ!なっセラフ何言ってんの。」
「思ったまでを言っただけですが?」
「う〜〜〜〜…。そういえば…ゴキは?」
「あぁ。オラクルに言ってゴキブリ自体を消してもらいますから安心して下さい。」
「えぇ!?オラクルってゴキブリ消せるの??」
「正確にはゴキブリもまた、プログラムの一つです。」
「あっそっか。……ゴキブリまでプログラムにすること無いのに…。」
「そうですね。」
は頬を膨らませ誰に言うともなく呟く。
「あっシチューかけてたんだ。……ね。セラフも一緒にいこ?」
彼の手を握りそっと見上げる。
セラフもまた笑みを零し彼女の手を握り返した。
「えぇ。」
セラフを先頭にビクビクしながらキッチンに戻ると何とかコンロの火を止めた。
その間もセラフと手を繋いだままだ。
「ふぅ〜〜。これで今日の晩御飯はOKっと。」
「……!」
の立っている位置からすこし先に黒い物が蠢いた。
セラフは其れに気付き彼女を自身へを引き寄せる。
「うわっ。セラフ?」
「。後ろを向かないで。」
「っ!??いいいいっ居るんだね?」
「えぇ…。」
ひょいとを抱えるとそのまま居間まで戻った。
「怖かった…。」
「仕方ないですね。オラクルを呼んできます。」
「一緒に行く!!」
セラフにしがみ付いたままのと半ば嬉しそうなセラフを見てオラクルは呆れた事は言うまでも無い。
「……セラフ。貴方…楽しんでるでしょう?」
「なにがですか?」
「はぁ……。」
表情も変えず言ってのける彼にまたもオラクルは深い溜息をついたのだった。
それ以降預言者の家に黒い奴を見ることは無かった。
ただし…。
「あぁ。気をつけてください。さっき貴女の部屋に……。」
「やだぁあ!!今日はセラフと寝る!!」
「…構いませんよ。」
時たま居るはずの無いゴキブリに怯えるが居たとか。
その時に限ってセラフは妙に機嫌がよかったそうだ。
後記
何だコレ?(笑)昨日のゴキブリ大量発生から連想して描きました;
オチが無かった(汗)
何気にセラフが黒いきがする…;;
ともかくほのぼの?な日常が描きたかったんですv
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