我慢できない





我慢できない



















ある日。
はオラクルが珍しく子供達と遊びに出かけている為、暇で仕方なかった。
少し早くセラフが帰ってくる予定だったが…今だ帰ってこず。


「ん〜〜〜〜。」


はソファから立ち上がり大きく伸びをする。


「さてさて。みんなが帰ってきたらお茶にでもするかね!」


はニッコリと笑みを浮かべキッチンへと向かった。














?」


この匂いは…また何か作ってるのか…。
甘い…。


帰ってきたセラフはを探してキッチンへと入る。
彼は入り口に止まり思わず上擦った声で問いかける。


「なっ何をしているんです?」

「ぅう〜〜…ヘルプミー。」

「はぁ…ケーキのデコレーションじゃないんですか?自分をデコレーションして如何するんです…。」


はキッチンの床に座り込んだまま半泣き状態だった。
彼女の服装は部屋着のタンクトップに短パン。
その上にピンクのエプロン(セラフ兼用)を付けているのだが。
彼女の身体は今真っ白くデコレーションされている。


「如何したんです?」

「それがね…。」


事の発端はケーキ作りの最中。
上手く生地が焼きあがり、生クリームを泡立てていた。
ようやく角が立つほどに泡立つといざデコレーションとの時に。
セラフが部屋へ入ってくる音がした。
そして彼の声。
彼女の予定ではセラフはもう少し遅くに帰ってくるはずだったのだ。
それに慌てたは思わず下に泡だて器を落としそれを取ろうと屈んだ所に不安定な場所にあったクリーム入りのボールが落下。
そして今に至る。
セラフは呆れたように深く溜息を付いた。


「ベタベタするぅ…」

「全く…。」


彼女の髪から肩…ほぼ全身が生クリームに覆われている。
下手に動くと周りに付いてしまう為動けない。
セラフはの目前にしゃがみ彼女の頬に指を掠める。
彼の指先には生クリームが付いている。


「セラフ?」

「……丁度いい甘さですね。」

「ッッ。」

?」


指先に絡め取ったクリームをぺろりと舐める。
はその様に思わず赤面してしまう。
セラフは彼女の反応に苦笑するとひょいっと彼女を抱えあげる。
もちろんお姫様抱っこで。


「きゃあっ!ちょっセラフっ!!」

「その格好で居るつもりですか?」

「うぅ…。」

「…………。」


セラフはを抱えたままバスルームへと歩いて行く。
バスルームへ付くとタイルの上に彼女をそっと降ろし自分の上着を脱ぐ。
は思わずセラフに注目してしまう。
普段は長袖のチャイナ服で見えない彼の身体。
黒いタンクトップだけのセラフは始めて見る。


「…………。」

?…掛けますよ?」

「ぇ?っわぁ!?」


ザ――――ッ


セラフは行き成りの上にシャワーを掛ける。
シャワーの生暖かい水が掛かる。


「…やはり水だけでは取れませんね。」

「そうだね。」

「………………。」


セラフは眼を細め彼女を見つめる。
長い黒髪に白い生クリームが絡まり。
水で頬に張り付いた髪。
恥ずかしいのか紅潮した肌。
体中に纏わり付くクリーム。


「セラフ?」

「…我慢できないと言ったら貴女はどうしますか?」

「ぇ?なにが??」


今だシャワーが降り注ぐ中。
セラフはしゃがんだままのに近づく。


「あっ。濡れちゃうよ?」

「…構わない。」

「せっセラフ?っ?」


思わず後退したの背に無常にも壁があたる。
セラフはサングラス越しにを見つめる。
顔を俯いたまま真っ赤になっているに彼の手が伸びる。


「顔を上げてください。」

「っ‥でもっ。」


彼女の頬に手をあてもう片方の手でそっと顎を捕らえる。
ゆっくりと顔を上向かせセラフの顔も近づく。
は恥ずかしくて堪らないらしく顔を真っ赤にして瞳をぎゅっと閉じている。


ザ―――――――――ッ


水音がやけに耳に付く。
どうしていいのか分からない。
目前のセラフは如何してしまったのか?
は消えそうな思考回路を何とか働かせようと必死だ。
そんな彼女の奮闘も全く意に介さずセラフは更に顔を近づける。


「っあ…。」

「…甘いですね…。」


頬に残っていた生クリームをゆっくりとした動作で舐め取る。
セラフの行動にこれでもかというほど真っ赤になったは口元を抑えて固まっている。
セラフはくすりと微笑むとすっと離れる。
その時オラクルの声が水音の合間に微かに聞こえた。


「オラクルが帰ってきたようですね。着替えを取ってきます。」

「うっうん。」


セラフは何事も無かったかのようにバスルームを出て行く。
は放心状態のままセラフの後姿を見ていた。

















「あら。如何したのセラフ?びしょぬれじゃない。」

「えぇちょっと…。着替えてきます。」

「そうしなさい。は?」

「……バスルームです。」


簡単に返事をするとさっさと自分の部屋へ歩いていった。
オラクルはやれやれというように深く溜息を付いた。


「全く…プログラムにも"理性"が必要ね…。」




その後、入浴し着替えたが暫くセラフとは顔を合わせずらかった事は言うまでも無い。

























後記

風間唯斗様に捧げる相互リンク記念夢!
お題56番「我慢できない」でした〜。
セラフでこのお題は少々無理がありました…下手したらエロクなりそうで…抑えました(オィ)
こっこんなんで気に入っていただけますかね??
駄文でスイマセンっ少しでもお気に召して頂けるれば幸いです;
それではこれからこんな奴ですがどうぞ末永く仲良くしてくださいませv




※この作品が気に入って頂けましたら拍手・コメントお願いします↓※