気になるあの娘






気になるあの娘

















カラン‥カラン…


「あっいらっしゃいませ〜。あれ?ダンテさんお久しぶりですね〜」

「よぉ‥空いてるか?」

「はい。カウンターですけどいいですか?」

「あぁ。」


彼女の名は
このゴロツキどもの集まる小さな酒場兼喫茶店で働いている少女である。
昼間は喫茶店として彼女が店番を務め夜は此処本来の主人が切り盛りしている。


「あっちゃんこっちにコーヒー追加〜。」

「は〜い。」


人懐っこい笑みと可愛らしい姿は人目を引く。
彼女目当てに通っている者も多いくらいだ。かくゆうダンテも例外ではない。


「ダンテさんは何にしますか?」

「…何時もの出来るか?」

「もちろんです♪ちょっと待ってて下さいね。」


昼時を過ぎているため店内はゆったりとコーヒーを飲んだり談笑したりしている者ばかり。
ダンテはカウンターに座り、方肘を突き彼女の小さな後姿を見つめている。
彼女との出会いはほんの偶然。
それは数ヶ月前に遡る。














『ぐっ…ちっ。俺としたことが…あんな雑魚のを食らうとは…しかも毒かよ…。』


彼の根城である便利屋DevilMayCryまであと少しという所の暗い路地。
仕事の帰りふと湧き上がる闇の亡者。
それらは実体も持たぬ下級の悪魔だったらしく彼にとっては造作もないまさに雑魚だったのだが。
壁を突き抜けて現れたそれの攻撃を頬が軽く切られる程度に受けてしまった。
悪魔達を片付けた瞬間彼の身体から力が抜ける。
手足は痺れ力が入らない。どうやらあの悪魔の強みは即効性の神経系の毒にあったようだ。
ダンテは何とか足を踏み出し歩き出す。とその時。


『あの?』

『っ!?』


ガシャン!


『きゃっ!』

『……っ何だ。子供か…。』


通りから此方を心配げに見つめる少女。
見た目的には15〜6位の少女は月光を浴び艶やかな黒髪と深い海のようなディープブルーの瞳。
気配に思わず抜いた銃に怯えつつも彼に近寄ってくる。


『大丈夫ですか?』

『あぁ…俺の傍にいると危ないぜ?』

『えっと…確かDevilMayCryのダンテさんですよね?』

『…そうだ。』

『やっぱりマスターが言ってた人だ‥凄腕の便利屋さん。怪我したんですか?』

『いや…ちょっとな…。』


彼女はダンテに近寄ると彼を支えながら立ち上がらせる。
彼女の身長はせいぜい150センチ。その彼女より遥かに大きいダンテを軽々と支え店の方へ歩き出す。


『おい…。何で…。』

『お店に行けばいいんですよね?』

『あっあぁ。』

『分りました!』


ダンテは驚いた顔でを見つめる。何故自分を助けるのかと。
は笑みを浮かべる。


『それにしても便利屋さんは危ない仕事なんですね。』

『まぁな。…それよりお前は何だってこんな所にいるんだ?』

『私この近くに出来た酒場で働いてるんです。身寄りがなくてソコのマスターに育ててもらってるんですよ。』

『……………。』


そういえば何日か前に自分の店の近くに喫茶店兼酒場が出来たと聞いたことがある等と考えながら彼女に目をやる。


『お前‥日本人か?』

『さぁ?…教会に捨てられていたそうですから…あっでも髪は黒いですね。』

『…………。』

『あっそうだ。ダンテさんも気をつけてくださいね。最近影が沢山出てますから。』


彼女の可笑しな言葉にダンテは目を見張る。
ソレは最近引切り無しに現れ始めた闇の者達を指しているようで。
普通の人間ならば気付かない。伝承や伝説上のものと考えられている悪魔の存在。
相当勘がいいか、ダンテの様に半分悪魔の血を引くものなら感知できるだろうが…。


『お前…見えてるのか?』

『最近多いんですよね‥前は薄かったのに徐々に色が濃くなって今では人型や獣の形になったりしてるんですよ。』


彼女が言っているのは確かに悪魔の事だ。


『お前…』


一体何者なんだ?


『あっ私はっていいます。お店近くなんでよければ来て下さいね。私は昼間しかいませんけど;』


は何事もなかったかのように話す。
もしかしたら彼女にとってはソレは見えて当然の物として扱われているのかもしれない。
生まれつきの霊感のように。ダンテは言いかけた言葉を飲み込む。
と何とか店まで着いた。


『よいっしょ!!』

『っ…。』


扉を開けようやく店の中へ入る。


『えと…ソファでいいですか?』

『あぁ…。悪ぃな…。』

『いえいえ。』


彼をソファに座らせ笑みを浮かべる
自身より遥かに体格の良いダンテを軽々と支え息一つ乱さないに多少訝しがりながらも礼を言うダンテ。
彼を見てはニッコリと微笑む。


『あっそうだ…せっかくだから…それ治して上げますね。』

『あ?』


は不意にダンテの前まで来ると今だ塞がれていない傷口にそっと手を翳す。
すると彼女の掌から温かい蒼い光が溢れる。


『なっ!』

『これで少しは楽なはずですよ。どうです?』

『これは…一体?』

『生れ付きなんです。こんなの出来るなんて可笑しいですよね。』


はアハハと軽く笑うだが、その顔は何処か哀しげだった。
ダンテは眼を細め改めて彼女を見つめる。

『お前が可笑しかったら俺は異常だな。』

『ぇ…。』

『お前だけじゃねぇよ。』

『…はい。あっ私もう帰らないと買出しの帰りだったから‥それじゃあ!』


は慌てて扉へと向かう。
確かにダンテの身体からは先程まであった痺れがなくなっている。


。』

『ぁ…はい?』

『明日店に行く。開いてるよな?』

『…はい!!』


ダンテの言葉には笑みを浮かべる。
此れが彼と彼女の出会い。
















「ダンテさん?お〜い??」

「あ?あぁ…悪ぃ…。」

「出来ましたよ♪特製ビッグストロベリーパフェ!!」

「おう。ありがとな‥。」


ダンテの前に巨大なパフェカップが置かれる。
溢れんばかりに盛られた苺とアイスクリームそして生クリーム。
ダンテは早速スプーンを持ち食べに掛かる。


「やっぱりのが一番だな。此れに限るぜ。」

「えへへ〜そうですか?でもダンテさんだけなんですよこれ食べ上げてくれる人。以外だったけど…」

「以外?」

「いや…男の人ってあんまり甘いもの食べないから…」

「可笑しいか?」


ダンテは口端に生クリームを付けながらくっと笑う。
は彼の口元の生クリームを指で拭って上げながら笑みを浮かべる。


「可愛いです。」

「お前…な。」


好きな女に可愛いといわれて喜ぶ男が何処の世界に居るってんだ…。
こいつの鈍さは如何にかならねぇのか。


黙々とパフェをたいらげていくダンテをにこにこと見つめる
今日もまた彼女をオトスことが出来なかった様子。
凄腕の便利屋が唯一達成できないミッション。


「…ぜってぇオトス。」

「何が?」

「別に。」

























後記

DevilMayCry3発売まじか!!わ〜い待ちに待ったヤングダンテvv
もうウハウハですね(腐)
早速予約してきましたvvこのネタは前々から描きたかったものなんですよね。
因みに連載はこの娘が主人公となります。
今は連載描く気力ないんで…ちまちまと短編?日常的なものを描いていこうかと思っています。




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