半分こ。






半分こ。

















「あれ?じゃねぇか?」

「なに?」


とある日。
ツインズは偶々メロビジアンの護衛から離れ買い物に来ていた。
公園を横切ろうとした時ツインツーが声をあげる。
ツインワンも振り返り彼の指差す方を見ると確かに噴水の近くのベンチに座るの姿。
ツインズは思わぬ遭遇に笑みを浮かべそっと彼女に近づいていった。










「セラフまだかなぁ…。」


はセラフと共に買い物に来ていた。
彼が少々用があると言って行ってしまい、彼女は公園で彼が帰ってくるのを待っていた。
暇そうに足をぶらぶらさせながら溜息を付く。


「う〜〜…暇ァ…。」


この前ツインズに会ってからセラフは絶対に一人で買い物に行かせてくれない…。
セラフは絶対過保護だと思うなぁ…
子供じゃないって言ってるのに…
私のこと何歳だと思ってるんだか;;


なにやら思案していたは大きく伸びをする。


「っ!?なっなにっ!!」


大きく息を吐いた途端何者かが彼女の瞳を背後から覆い隠す。
はびくっと大きく肩を震わせ自身の視界を隠している手を握る。


「だっ誰!!」

「お?分かんねぇか〜?」

「もういいだろ。止めろ。」

「ぇ…その声…ツインズ?」

「「ご名答。」」


の問いかけに彼等は声を揃え同時に手を離す。
がばっと後ろを向き彼等を見上げる。
其処に立つのは予想通り真っ白で瓜二つの彼等の姿。


「どうしたの?珍しい…。」

「偶々な。」

「入り口でお前を見つけてさ。今日は一人か?」

「ううん。セラフが一緒なんだけど…。」

「「セラフ!!?」」

「ん?」

「マジでか…」

「最悪だな。」

「如何したの?」

「いや…。」


ツインズはの両隣に座り徐に嫌な顔をしている。


「にしても二人とも太陽の下で見ると眩しいね〜…。」

「そうか?」

「うん…肌白すぎ…。」

「そういうも十分白いぜ?」

「…そんなに不健康そうじゃないもん。」

「で、セラフは如何したんだ?」

「用事があるってどっか行っちゃった…ここで待ってろって言われたの。」

「そうか……。」

「なぁそれなら暫く俺らと一緒に居ないか?」

「何処かに行くの?」

「いや。別に予定はないが…。」

「久々に会ったんだしいいだろ?」

「う〜…そうだねぇ…うん。そうする!」


はベンチから元気良く立ち上がるとニッコリと笑みを浮かべる。
ツインズも立ち上がり彼女に手を差し出す。


「「行くか。」」

「!…うん!!」


差し出された掌をぎゅっと握るとある種異様な三人組は歩き出した。







「何処に行こうか…。」

「そうだなぁ…。どっか行きたい所無いのか?」

「う〜ん…別にないかなぁ…。」

「とりあえず公園内を歩くか…。」

「そうだね!公園内ならセラフが来ても分かるし…散歩日和だもんね。」

「「(奴は帰ってこなくてもいいんだが…)」」

「どうしたの?」


通る人や散歩をする人々がこぞって彼等に好奇の視線を寄せている。
全身白くコーディネイトされたこれまた見た目そっくりな二人と。
その間に入り彼等と手を繋いだ幼い少女。
考えようによっては彼女のボディガードにも見える。
当の本人達はそんな視線には全く意に介さず歩いて行く。


「でもこんなにゆったり散歩なんて久しぶりだなぁ…。」

「そうなのか?」

「うん。ツインズは…散歩なんてし無さそうだねぇ…;」

「まぁな。俺達はマスターの護衛だからな。」

「今日は本当に偶々な…。」

「ふ〜ん…あっ…露店が出てる!」


は木陰に設けられた露店へと駆けて行く。
そんな彼女の姿にツインズは苦笑すると彼女を追って露店に近づいた。


「うわ…綺麗。」


露店はアクセサリーや小物を扱っていた。
はしゃがみ込んでその一つ一つを見ていく。
ツインズも彼女の両隣にしゃがむ。


「何かいいのあるか?」

「う〜ん…どれも綺麗だよ。」

「へ〜…おっさん。これらって本物なのか?」


ツインツーは露店の主であろう初老の男に声を掛ける。
男は始めツインズを見て驚いていたものの愛想良く説明してくれる。


「えぇ。これらは輸入物のアンティークなんですよ。宝飾には銀や金を使用しています。」

「嵌ってる石も本物ですか?」

「そうですよ。」


は品物の一つを手に取り良く見る。
手にしたのは大きな花のモチーフのブローチだ。
細工も細かく花弁は一枚一枚薄いルビーを使用している。


「これ、アジアのものですか?」

「はい。色々な所から買い取っていますから詳しくは分かりませんけどね。」

「そうなんですかぁ…。」

「どれか気に入ったのがあったのか?」

「せっかくだから俺達が一つずつ買ってやるよ。」

「えぇ!?いいよ…それにこれ結構高いし…。」


は驚いたように彼等を見る。
確かに品物一つ一つは気楽に買えるような値段ではなかった。
ツインズは笑みを浮かべの頭を撫でる。


「お前と出会えた記念になる。」

の誕生日知らないけど、先にプレゼント。」

「…うん。」

「よし!じゃあ選べよ。」

「どれにするんだ?」

「う〜ん……。」


は改めて黒い布に無造作に置かれた宝飾品を見る。
どれも美しい細工に目を奪われる。
はふと端の方に置かれている小さな籠を見る。


「すいません。この籠の中のは…?」

「あぁ。それはピアスですよ。片方ずつしかないんで半端物です。」

「ピアスか…。」


彼女はその籠の中に入っているピアスを一つ一つ見る。
は二つの小さなピアスを選び取る。


?それでいいのか?」

「バラバラだぞ?」

「うん!これがいいの。」


彼女の掌に乗せられているのは二つのピアス。
片方はシルバーに繊細な細工が施され、青いブルーサファイアがはめ込まれたピアス。
もう片方はホワイトゴールドにシンプルなルビーをはめ込んだピアス。


「こっちの青いのがツインワン。こっちがツインツー…。ね?ツインズに似てるでしょ?」


はニッコリと笑みを浮かべた。
ツインズはそんな彼女の言葉に胸が熱くなるのを感じ二人してぎゅっと抱き締める。


「わわっ!どうしたの?」

「いいや。」

「なんでもないよ。」


ツインズは静かに彼女を離し何時もの薄い笑みを浮かべた。












「でも。ピアスなんて開けてるのか?」

「ん?何言ってんのそれくらい開けてるよ〜。」

「へぇ…知らなかった。」


ツインズとは露店を離れまた歩き出した。
少ししたら公園を一周したことになる。


「あっそうだ。アイス買っていい?」

「ん?あぁ…。」

「本と子供だな…。」

「ムッ。失礼なぁ…。」


噴水の近くにアイスクリームバーがある。


「どれがいいんだ?」

「ぇ??買ってくれるの?」

「あぁ。」

「でもさっきも買ってもらったし…。」

「気にするな。」

「そうそう。俺達がに買ってやりたいんだ。」

「でも…。」

「早く決めないとセラフが帰ってくるぞ?」

「ぅ……。」


は観念したようにアイスクリームの入った容器を見る。
色とりどりの中からは乳白色のそう、バニラアイスを選んだ。


「二人ともありがとう!」

「「どういたしまして。」」


の手にはコーンに乗ったバニラアイスが握られている。
彼女はニコニコと笑みを浮かべそんなを見てツインズも笑みを浮かべる。
何時しか三人は元のベンチへと戻ってきていた。
まだ、セラフの姿はない。


「セラフいないなぁ…もしかして先に帰っちゃったかなぁ。」

を置いてか?」

「そりゃ。ありえねぇだろ。」

「う〜ん…。」


ベンチへ座りながらアイスクリームを食べる。


「ぁ。ツインズも食べる?」

「「え?」」

「美味しいよ?」


はニコニコしながらツインズにアイスを進める。
ツインズは顔を見合わせる。


…その…。」

「ぇ。食べちゃ駄目なの?」

「そうゆう訳じゃないんだが…」

「俺らそういうの食べた事が無いんだ。」

「えぇ!?アイスを食べた事が無いの??」

「あぁ。だからあんまり甘いのは…;」


ツインワンは苦笑する。
は眉根を下げ少し悲しそうな顔をする。
其れに焦ったのはツインズだ。


「っ。やっぱり貰おうか。」

「そうだな。食べてみたい!」

「…うん。」

「「っ……。」」


ツインズは意を決したかのように二人してアイスを一舐めする。


「如何?おいしいでしょ?」

「………。」

「甘っ……。」


ツインワンは口を押さえ、ツインツーは顔を顰める。


「苦手だった?」

「俺はこーゆう甘いのは駄目だなぁ…?……兄貴?」

「ツインワンは?」

「あ―…俺は結構好きかも知れない。」

「「えっ!?」」


とツインツーは驚いたようにツインワンを見る。


「もしかして。ツインワンは甘いの好きかな?ツインツーは辛い物が好きじゃない?」

「どうだろうな…。」

「辛い奴は好きだけど…。」

「へ―新発見!!やっぱし味覚も違うんだねぇ。」


は心底驚いたように彼等を見る。


「あれ…もう一時間位経ってる…。」

「早いな。」

「なぁ。そろそろマスターを迎えに行く時間じゃないか?」

「あぁ。」

「ツインズはもう行くの?」

「あぁ。悪いが…」

「ううん。気にしないで。もう少ししたらセラフも来るだろうし。」

「ごめんな…。」


ツインズは立ち上がりを見る。


「こっちこそ。ピアスありがとう。これからもずっと着けるね。」

「あぁ。」

「それじゃあな。」

「うん!またね!!」


ツインズは後ろ髪を惹かれる思いで何度か彼女を振り返りながら公園を出て行った。
は鞄から鏡を出すと自分の耳にピアスを着け始めた。


「青い石はツインワン。赤い石はツインツー…。へへ…。」


自分の両耳でゆらゆらと揺れる左右違うピアスを目で追いにっこりと微笑んだ。













それから少しして慌てたように駆け寄ってくるセラフの姿。


っ!!!此処に居たんですか…。」

「セラフ?」


珍しく息荒く此方に走ってきたセラフには不思議そうに彼を見上げる。
セラフはの肩を引き寄せ徐に抱き締めた。
は真っ赤になってセラフの胸を叩く。


「ちょっセラフッ!!」

「探したんですよ?此処に居るように言っていたでしょう。」

「へ…?ぇっと…もしかしてセラフ一回此処に来た?」

「えぇ。30分位前に此処に戻りました。貴女がいないからどれほど心配したか…。」

「ごめん…。」


は彼の言葉にしゅんとしたように下を向く。
セラフはを離し彼女の頭を撫でてやる。


「無事ならいいです。さぁ帰りましょう。」

「うん!!」


セラフは彼女の手を握り荷物を持ち直すと歩き出した。
暫くして、彼はに声を掛けた。


「そういえば何処に行ってたんですか?」

「ぇ…あ〜…散歩してたの。公園内を。」

「そうですか。……?。ピアスなんてしてましたか?」

「あっあぁ露店が出てたから買ったんだ。」

「あぁ…そういえば何軒か出てましたね。」

「うっうん。」


ばれてないよね?ツインズと一緒に居た事。
ばれてたら…すんごく怒るはずだし…。


は何気に冷や汗を描きながらセラフと共に帰路に着いたのだった。
因みに彼女が青い石と赤い石を選んだのにはちゃんとわけがある。
ツインワンの瞳は青い。ツインツーは赤。
彼等の瞳を模した片割れずつのピアスを選んだのだ。
彼女はそのピアスを何時も肌身離さず着けていた。





































後記

9000Hit。亮様よりリクエスト頂きましたvv
最近微エロ多いんで今回はほのぼのでvv100題から「半分こ。」でした。
でも何気にセラフがいいとこ取りなのは気のせいでしょうか?
こんなんで気に言っていただけますかね?
因みにツインワンが実は甘党でツインツーは辛党ってのは想像です(笑)




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